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PART2-2 ハイチの会 SOCIETY OF HAITI PART 2-2
紛争下で子どもたちの学びを支授する
 
A ハイチの人々の暮らし
 
地方ではロバが交通手段 18
 
 ハイチ共和国は、1804年、世界初の黒人による共和国としてフランスから独立しました。今年は建国200年にあたる記念の年です。しかし強国の圧力や国内の政治抗争が長年続いたため、貧富の差は激しく、国民の9割以上は貧困に苦しんでいます。子どもたちは1日1食を得る事さえ難しい、世界の最貧国の一つです。
 識字率は4割にすぎず、平均寿命は50才弱と短く、失業率は8割にものぼります。鉄道は無く、都会ではタプタプという乗合バス、地方ではロバが交通手段です。文化としては、独特の美しい絵画、コンガのビートが効いた音楽、ゾンビで知られるヴードゥ教が有名です。写真18は国道端でバナナやマンゴを売っているごく普通の地方都市の風景です。
 
B 直面する問題
 
インフラが整わず、国道1号線もガタガタ 22
 
 ハイチの道路のうち舗装道路は4%にすぎず、国道1号線もごらんのとおりガタガタです。写真22には電信柱が写っていますが電気は通じていません。首都においてさえ電気、ガス、水道の生活インフラが整わず、それらを自前で調達できる一部の金持ち(人口の約5%)と一般の貧しい国民との生活はかけ離れています。
 遠方に見える山々の木は燃料用に伐採され、森林被覆率は1%以下です。ハゲ山には保水力が無く、雨は山を下り、国道は泥沼状態です。トラックの荷物は森林伐採によってつくられた炭の袋です。畑の表土も雨に流され作物は育ちません。
 「政権争いを止め、ハイチを救え!」とNGOは訴え続けています。建国200年来、ハイチという国の歩みはこの泥道の様な状況でした。
 
C ハイチの会の活動
 
支援された学校給食が1日の食事のすべて 26
 
 ハイチでは一般に学校の授業は午前中のみです。「ハイチの会」では1986年の設立以来、学校に行くことの出来ないハイチの貧しい子どもたちを集めて、「午後の学校」として識字教育、生活指導、給食等の支援を無償で行っています。
 この学校では、当初30人だった生徒が現在は約200人になりました。入学を待つ子どもたちが多いので止む無く3年で卒業しなければなりません。勉強を続けたい子どもには上級学校の試験を受ける機会を与え、合格すれば入学金等の支援を続けます。貧しいために1日1食さえも得られない子どもたちにとって、学校の給食が1日の食事の全てです。学校の無い日は食事も無い日になります。子どもたちは自分の皿から、こっそり1握りをポケットに入れ、幼い兄弟のために持ち帰ります。
 
D ハイチの子どもたち
 
子どもの6割がHIVに感染 30
 
 「外国人が来たって。行ってみようか」と集って来た子どもたちは屈託なく笑います。でも、レンズのこちら側で私は笑えません。「ごめんね、ごめんね、私は服も靴も見栄え良く、カメラまで持っている」と心が痛みます。「オイ、なんか欲しいなんて言うなよ!」お兄ちゃんは弟妹を諭します。
 首都ポルトープランスの貧しい子どもたちは、ゴミ捨て場の上に出来た街、シテソレイユ(太陽の街)でゴミをアサって生きています。ハイチの平均寿命は50才弱で、老人にさえなれず、子どもの6割はHIVに感染しています。医者は1万人に1人しかおらず、大半は外国人(キューバ人)です。乳児死亡は1,000人に93人と非常に高いです。
 
ハイチの会
【所在地】〒467-0042 名古屋市瑞穂区八勝通2-29-4
【TEL】052-833-2016
【FAX】052-831-7724
【E-mail】nakanonagoya@pop21.odn.ne.jp
【URL】なし
【海外事務所】デリアテトロア識字学校
(住所)エンシュ市 アレキサン通 ピチオン84
(TEL)509-277-0254
【設立の経緯】「ハイチの会」は1986年6月、本郷幸子(シスター)のハイチ共和国における識字教育等の活動を、政治や宗教にこだわる事なく、心から支援することを目的として発足しました。
【組織の目的】ハイチの貧しい子どもたちに識字教育、生活指導、給食、物資等を支援し、現地の人々の生活向上、自立を目指します。国内では、ハイチの現状を知ってもらうため、募金活動、講演会、写真展等の事業を行います。御寄付は全てハイチへの援助に当てます。
【代表者】中野瑛子(会長)
【事務局】事務局責任者:中野瑛子
有給専従スタッフ:国内0名、海外2名
有給非専従スタッフ:国内0名、海外0名
【事務局開所日】月、水、金
【事業対象分野】教育、保健、子ども、農業開発
【事業形態】
(海外)資金助成、物資供給、人材育成
(国内)啓発、開発教育
【活動対象国】ハイチ共和国、国内
【海外の主な協力団体】
SOEURS MISSIONNAIRES DE L'IMMACUIEE-CONCEPTION
【過去2年間の主な事業】
国内(毎年事業):
(1)支援物資コンテナー発送事業
(2)講演会事業
(3)チャリティ・コンサート事業
(4)啓発事業
(5)開発教育事業
海外(通年事業):
(1)ハイチ共和国、エンシュ市で識字教育事業(午後の学校)
(2)同上午後の学校卒業生への支援事業
(3)同上午後の学校に通学する子どもたちと地域住民への給食事業
(4)当会で日本に招致し農業を学んだハイチ青年が帰国後企画する「畜産センター建設」への援助事業
(5)支援物資供給事業
【設立年月日】1986年6月
【意思決定機関】役員相談会、役員9名、名誉役員1名
【会員制度】約300人(会員の区別なし)
他、国内に独立運営の7支部有り
【ボランティア制度】ハイチ視察・報告、支援物資調達・箱詰・発送作業、会報発送作業、英文・仏文・クレオール語翻訳、イベントブース参加
【財政】(2002年度)
総収入 2,526,938円
寄付金:36.7% 事業収入:51.4%
行政補助金:11.9%
総支出 2,558,854円
事業費:88.4%(海外事業費:95% 国内事業費:5%)
管理費:11.6%
【定期刊行物】会報(ハイチ支援レポート)年4回(事業報告・会計報告を含む)
 
ハイチ共和国
1. 面積 27,800km2(四国と九州の中間程度)
2. 人口 867万人(2002年)(国連ECLAC=ラテンアメリカ経済委員会)
3. 首都 ポルトープランス
4. 人種 アフリカ系90%、混血10%
5. 言語 フランス語、クレオール語
6. 宗教 カトリック、ブードゥー、プロテスタント
 







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