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PART1-4 アジア保健研修財団アジア保健研修所 Asian Health Institute (AHI) PART 1-4
いのちと健康を育む人材を育てる
 
A インド農村の人々の暮らし
 
雨期になるとここは湖の底 4
 
 写真4はインドの農村風景です。一面、畑のように見えるこの土地は、雨季になると湖の底と化します。
 実は、ここは灌漑・生活用水を蓄える貯水池なのです。乾季になって水が引いた土壌は非常に肥沃で作物もよく育ちます。この土を日雇い労働者が周辺の畑へと運ぶのですが、男性が土を掘り起こしてかごに入れ、女性が頭にそれをのせて運搬する方法が一般的です。
 女性にとってが重労働ですが、賃金は1日で男性60ルピー(約120円)に比べ、女性は50ルピー(約100円)です。
 
B カンボジアの直面する問題
 
地雷・不発弾の被害にあってもすぐに治療が受けられない 8
 
 少年の顔から流れる血・・・。カンボジアでの地雷不発弾による被害は深刻です。1970年代からの内戦の結果、地雷が約1000万個残っているとされていると言われています。
 この少年は、友だちと田んぼで遊んでいる時に偶然みつけた不発弾を、それとは知らず突っついて爆発させてしまいました。地域の保健センターへ治療に行くものの、普通の民家と変わらないその建物の中には、設備も整っていません。そこで最寄りの町の病院へ運ばれることになったのですが、この国では病院へのアクセスが悪く患者が病院に到着するまでに平均して約12時間もかかります。医薬品・病院・医師が不十分で、通信や道路も整っていないため治療が後手にまわり、被害に遭った85%の子どもが死亡しています。
 
C AHIの活動
 
アジア各国の保健ワーカーによる参加型国際研修 12
 
 アジア保健研修所(AHI)では、年に1度、国際研修を行っています。アジア各国の農村部で活動するNGOスタッフや住民組織のリーダー15〜16名が愛知県日進市のAHI会館に集まり、5週間宿泊をともにして、お互いの経験を出しあい、共通の課題を議論します。
 参加者一人ひとりの問題意識と経験に基づきながら、グループワークを進める「参加型」の研修です。アジアの草の根の人々が主役となり、よりよい村づくりをすすめるにはどうしたらよいかを探る中で、参加者は自分の組織や活動の問題点を見つめなおします。
 
D カンボジアの子どもたち
 
肥料である牛フンを毎朝拾う 16
 
 朝、牛フンを拾って堆肥小屋まで運ぶのはカンボジアでは子どもの仕事です。フンに刈った草や生ごみなどを混ぜて、化学肥料を使わない有機農業の堆肥として利用します。
 家の周りにいる牛のフンを集めるのは意外と大変で、写真16のようにペアで行います。女の子はヤシの葉の茎を両手に持ち、重いフンを挟む様にして取り、男の子の持つかごへ入れます。
 子どもたちの仕事は他にもたくさんあります。女の子は家畜の餌やりやバケツへの水汲み、男の子は牛飼いといった仕事もしています。もちろん日本の子どもたちと同じように学校に通って勉強もするし、近所の子どもたちとゴム跳びといった遊びもします。
 
(財)アジア保健研修財団アジア保健研修所
【所在地】〒470-0111 愛知県日進市米野木町南山987-30
【TEL】0561-73-1950
【FAX】0561-73-1990
【E-mail】ahi@jca.apc.org
【設立の経緯】1960〜1970年代の海外医療協力の経験と反省から、ただ単に日本からのアジア各国への医師、看護婦などの派遣だけでなく、むしろ現地の人材の育成を重視しています。さらには医療サービスに「遠い」農山村部の人たちの健康を守るため、地域で働く人のための研修所を設立。
【組織の目的】アジア各国の草の根の人々が、自分たちの手で自分たちの健康を守ることができるように、その取り組みを支援する地域開発・保健ワーカーを対象に研修事業を行う。
【代表者】川原啓美(理事長)
【事務局】事務局責任者 佐藤光
有給専従スタッフ 9名
有給非専従スタッフ 1名
【事務局開所日】月〜土9時〜17時(祝日、クリスマス、年末年始除く)
【事業対象分野】教育、農村開発、保健医療
【事業形態】研修生受け入れ、情報提供、市民活動教育、調査研究
【活動対象国】アジア全域(フィリピン、スリランカ、ネパール、韓国、バングラディッシュ、カンボジア)
【海外の主な協力団体】
(1)ダバオ医科大学付属プライマリヘルスケア研修所(フィリピン)
(2)カンボジア保健省国立保健推進センター(カンボジア)
【過去2年間のおもな事業】
国内:
(1)国際研修
(2)JICA委託ミンダナオ・イスラム自治区保健行政官研修
(3)オープンハウス
(4)講演会、学習会などの学習活動
(5)名古屋NGOセンター加盟団体としてNGOネットワーク活動
海外:
(1)NGO及び住民組織の代表による経験交流のワークショップ
(2)元研修生の要請に応じたネットワークづくり
(3)カンボジアにおける保健教育の研修
(4)スリランカの元研修生とのパートナーシップ事業
(5)フィリピン・ミンダナオにおける地域づくり支援
【設立年月日】1980年12月
【意志決定機関】理事会(20名)、常任理事会(5名)、評議員会(20名)
【会員制度】賛助会員5,106名(2004年1月25日現在)
【ボランティア制度】国内事務、イベント、キャンペーン、ニュースレター、翻訳、通訳、手工芸品販売、コンピューター入力、ホームステイ受け入れ、休日の研修生案内、図書・資料整理、料理
【財政】(2002年度)
総収入 302,842,794円
会費:8% 寄付金:37% 事業収入:0.3%
委託収入:2% その他:8%(基本金運用収入、預金取崩収入等)前年度繰越金:44%
総支出 302,842,794円
事業費:21%(海外事業費:41% 国内事業費59%)
管理費:34% 次年度繰越金:45%
【定期刊行物】
「アジアの健康」(ニュースレター、隔月刊、点字版・朗読テープ版もあり)
「アジアの子ども」(ニュースレター、和・英、年2回)
「Asian Health Institute」(ニュースレター、英、年3回)年次報告書」(和・英)







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