PART1-3 チェルノブイリ救援・中部 Association to Help Chernobyl, Chubu-District, Japan (Chernobyl-Chubu) Part 1-3
チェルノブイリ原発事故の被害から子どもたちのいのちを守る
A ウクライナの人々の暮らし
野菜や果物が豊富なウクライナ 3
ウクライナは、旧ソ連の一国です。資源と農産物の豊かな国でしたが、ソ連が崩壊し1991年に独立してからは経済が悪化し、人々の生活も苦しくなりました。家財道具や自作の刺繍、庭や畑でとれた野菜、果物などを道端で売って暮らす人々も目立つようになりました。
首都のキエフは歴史あるまちとして知られ、聖ペチェルスカヤ修道院など世界遺産の寺院が二つもあります。ロシア料理として知られている「ボルシチ」はもともとウクライナの「ボルシュ」というスープに由来します。ウクライナは野菜や果物が豊富(写真3)で、特にきのこ料理は人々の大好物ですが、チェルノブイリ原発事故の影響で特に放射能を多く蓄積してしまい常食するのは危険です。
B 直面する問題
今なお体内被曝して生まれてくる未熟児 7
1986年4月26日にベラルーシとの国境近くのチェルノブイリ原発が大爆発を起こしました。その結果、広島の原爆の500倍といわれる放射能が撒き散らされ、人類の歴史始まって以来の災難が人々を襲いました。
事故当時子どもだった人々は、その後甲状腺ガンや白血病など多くの病気に見舞われました。現在生まれてくる赤ちゃんも様々な病気や生まれつきの異常を抱え、未熟児もたくさん生まれてきます(写真7)。
また、現場で事故処理に当った消防士など事故処理作業員約60万人も強烈な放射能で被曝し、すでに死亡者が5万人を超えたと報道されています。事故があった原発から半径30Km以内の汚染地域は今後300年間、人間は住めません。
C チェルノブイリ救援・中部の活動
チェルノブイリ救援・中部は1990年4月の発足以来、汚染地域の人々や事故処理作業員とその家族の支援を続けています。現地では体内被曝(放射能で汚染された食べ物をとることによって体内に放射能が蓄積されること)が最も問題です。
私たちはこうした被害から子どもたちを守るため、発足以来、放射能汚染のない粉ミルクを現地の病院や孤児院に贈っており、二つの病院で生まれる年間1万人の新生児が利用しています。
その他、病気になった事故処理作業員のための無償の医薬品提供や、親が死亡したり働けなくなった学生のための奨学金供与を行っています。また病院へ医薬品・医療機器を提供し、専門家による医療機器の修理技術の移転も行なっています。
D チェルノブイリの子どもたち
生活が苦しく病気の危険があっても子どもたちは元気です。汚染地域の学校に通う子どもたちは「サナトリウム」と呼ばれる保養所で療養します。毎年クラス単位でやって来て、環境の良い保養所で4週間ほど過ごしながら健康診断や軽い治療を受けるのです。すると体内に蓄積している放射能が下がり、また元気になって帰っていくのです。
私たちが現地を訪問した際、このサナトリウムに宿泊することになったので、日本の事を知ってもらおうと「ジャパン・デー」を開催しました。同じく被爆に苦しむ広島の写真展のほか、日本の文化を知ってもらおうと映画上映やお花、お茶、折り紙教室などを行い大好評でした(写真15では子どもたちが折り紙を手にしています)。またこの子どもたちの健やかな成長を祈って「鯉のぼり」をプレゼントしました。
特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部
【所在地】〒466-0822 名古屋市昭和区楽園町137、楽園アパート1-10
【TEL】052-836-1073
【FAX】052-836-1073
【E-mail】chqchubu@muc.biglobe.ne.jp
【海外事務所】Stroiteley st.26/8,ap.72 Kiev 02100 Ukraine tel: +38-044-552-1991
【設立の経緯】1986年の旧ソ連邦(現在のウクライナ国)におけるチェルノブイリ原発事故による放射能被害が深刻化し、被災地への救援を求めるメッセージが届けられた。これに応えて市民組織である当会が発足した。
【組織の目的】チェルノブイリ原発事故の被災者を人道的立場から支援する。具体的な事業としては、1)ウクライナ国ジトーミル州内の子ども、汚染地域住民、汚染地域からの移住者、事故処理作業者などの健康と医療環境の向上のための支援、2)現在汚染地域で働く作業員の被爆防止、3)事故処理作業員や汚染地域出身の子どもの奨学金援助、4)医療機器リサイクル事業(修理済み中古機器提供)、5)医療機器メンテナンス、医療機器修理技術移転・人材育成事業がある。
【代表者】田中良明
【事務局】事務局責任者 山盛三千枝
有給専従スタッフ:国内2名 海外1名
無給専従スタッフ 国内1名 海外0名
【事務局開所日】月・水・金
【事業対象分野】保健医療 教育
【事業形態】資金助成 医療・保健物資供給 現地事業支援
【活動対象国】ウクライナ、日本国内
【海外の主な協力団体】Chernobyl-Hostage Fund
【過去2年間の主な事業】
国内:
(1)ウクライナ講座
(2)アレクシェーヴィチ講演会
(3)チェルノブイリ救援・中部総会と「チェル救デー」イベント
(4)訪問団報告会
海外:
(1)医療機器リサイクル事業、医療機器
(2)医療機器メンテナンス、医療機器修理技術移転・人材育成のため現地小児病院へ専門家派遣
(3)非汚染ミルクの現地の子どもたちへの支給
(4)障害者や病院への車椅子の支援
(5)事故処理作業者、汚染地域病院その他被災者への医薬品支援
(6)奨学金の支給
【設立年月日】1990年4月16日
【意思決定機関】総会(70名)、理事会(10名)、運営委員会(15名)
【会員制度】正会員(個人65名)
【ボランティア制度】国内事務、翻訳、イベント
【財政】(2002年度)
総収入 31,545,978円
会費:0% 寄付金:21.5% その他:29.5% 前年度繰越金:49%
総支出 31,545,978円
事業費:43%(海外事業費:39% 国内事業費:4%)
管理費:10%
次年度繰越金:46.6%
【定期刊行物】
「ポレーシェ」(ニュースレター1300部、隔月)
「事業報告書」(年次報告)
ウクライナ
1. 面積 603,700km2(我が国の約1.6倍で、欧州ではロシアに次いで大きい)
2. 人口 4,800万人(2003年1月1日現在)
3. 首都 キエフ
4. 民族 ウクライナ人(72.7%)、ロシア人(22.0%)、ユダヤ人(0.9%)、ベラルーシ人(0.9%)(1989年ソ連国勢調査)
5. 言語 公用語はウクライナ語
6. 宗教 ウクライナ正教及びウクライナ・カトリック教。ロシア正教等。
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