PART1-2 アジア日本相互交流センター Intercommunication Center for Asia and Nippon (ICAN) PART 1-2
フィリピンの都市スラム住民の健康を守る
A フィリピンの人々の暮らし
庶民の交通手段であるジプニー(手前)はフィリピンの風物詩 2 |
フィリピンは大小7,000以上の島々からなる国です。地域ごとにそれぞれの文化や言葉がありますが、国語はフィリピン語で英語も公用語として使われています。首都はマニラで、高層ビルが立ち並ぶ都会です。ショッピングモールやファーストフードのお店など、外国からの店舗や企業も多数進出しています。
近年ではそうした外国資本のお店がマニラ以外の地方都市へも進出している傾向も見られます。交通は、車やバスや電車もありますが、一般の人たちが良く使う乗り物には、ジプニーと呼ばれる乗合バス(写真2手前)や、トライシクルと呼ばれる自転車タクシーなどもあります。
B 直面する問題
ゴミを拾って生計をたてる人々 (スカベンジャー) 6 |
都市部など一部の地域で生活が豊かになっていく方で、地方では、土地をもたない住民の暮らしが不安定になっています。また都市部においても、仕事がなくて収入が得られず、スラムに暮らす人々が多くいます。
経済活動が盛んなマニラ首都圏では、1日あたり約5,500tもの廃棄物が出されていますが、ゴミを処分場に直接投棄するため、周辺の地域住民に対する影響がとても大きいのです。住民は定職についていないため、ゴミを拾って売る仕事をしながら生計を立てています(写真6)。しかし処分場にはゴミが分別されないまま捨てられているため、悪臭や有毒なガス、汚水などが発生しており、劣悪な衛生環境が続いています。
C ICANの活動
アジア日本相互交流センター(ICAN)では、ゴミ処分場周辺に暮らす住民に対して、医療面のサポートや、ゴミ拾い以外で副収入を得る場を提供するプログラムを行っています。パヤタス地区には、高さ30メートル、広さ10数ヘクタールに及ぶ巨大なゴミ処分場があります。ここには数千世帯の人たちが暮らしており、うち約2,000人がゴミ拾いの仕事をしています。
ICANではこれまで3歳以下の乳幼児への給食や、週一回の無料診療を行ってきました(写真10)。2000年からは、手工芸品の職業訓練を実施し、自立を支援する作業所も運営しています。これらの活動に関して、2003年からは住民たちが直接プログラムに関わるようなシステム作りが始まりました。
D フィリピン・バヤタスの子どもたち
大人たちにまざりながら空き缶などを拾う 14
フィリピンでは生活に不自由なく、当たり前のように学校に通う子どもたちがいる一方で、家族の暮らしを助けるために、学校に通いながら働く子どもたちがいます。
都市部では、渋滞する道路で新聞などを売って働く子どもや、物乞いをする子どもがいます。また、ゴミ処分場がある地区でも、子どもたちが働く姿をよく見かけます。ゴミの山で大人たちに混ざりながら、空き缶など高く売れるゴミを探します(写真14)。集めたゴミをジャンクショップという買取り屋に売るのですが、子どもということで安く買いたたかれたりします。また、ゴミを運ぶトラックに巻きこまれたり、サンダルでゴミの山を歩いて、怪我をしたりと、子どもたちにとって、働く場はとても危険な環境なのです。
特定非営利活動法人 アジア日本相互交流センター(ICAN)
【所在地】〒450-0003 名古屋市中村区名駅南1-20-11 NPOプラザなごや2F
【TEL】052-582-2244
【FAX】052-582-2244
【E-mail】info@ican.or.jp
【海外事務所】109-D, Matatag St, Teachers' Village, Quezon City 1101 Philippines
tel: +63-2-433-8626
【設立の経緯】1993年、フィリピンのマニラ周辺のスラム街やピナツボ火山の被災民キャンプを訪れ、その実状に触れた龍田(代表理事)が友人に呼びかけ、一人の一般市民として出来る(I can)国際協力を目指して設立した。
【組織の目的】アジアの支援を必要とする人々に対して、生活向上、教育、福祉、医療などの活動を行い、これらの人々の自立支援を進めるとともに、アジアの人たちとの相互理解を促進する。
【代表者】龍田成人(代表理事)
【事務局】
有給専従スタッフ:国内2名、海外2名
有給非専従スタッフ:国内0名、海外0名
【事務局開所日】火〜土
【事業対象分野】都市(スラム)開発、農村開発、教育、職業訓練、保健医療、女性、子ども、少数民族
【事業形態】人材派遣、資金助成、物資供給、国際理解教育、フェアートレード
【活動対象国】フィリピン、国内
【海外の主な協力団体】Love&LifeINC.(フィリピン・ミンダナオ)
【過去2年間の主な事業】
国内:
(1)国際理解教育(学校での総合学習、一般向けワークシヨツプ)
(2)パヤタス作業所製作品のフェアトレード
(3)パヤタス、サンイシロへのスタディツアー
(4)書き損じ葉書、未使用テレカの募集
(5)ミンダナオの子どもたちを励ますカードキャンペーン
海外:
(1)ミンダナオの貧困家庭のための里親制度
(2)ミンダナオの少数民族が通う小学校3校での給食提供
(3)パヤタスゴミ処分場周辺住民への医療支援
(4)パヤタスゴミ処分場周辺住民への職業訓練支援
(5)パヤタスゴミ処分場周辺住民(子ども)に対する青少年活動
(6)山村サンイシロでの少数民族への教育支援
【設立年月日】1994年4月
【意思決定機関】総会(200名)、理事会(9名)、運営委員会(15名)
【会員制度】正会員(個人50名)、事業会員(個人:148名、営利団体:1団体、非営利団体:1団体)
【ボランティア制度】国内事務、イベント、ニュースレターの翻訳、手工芸品販売、海外活動
【財政】(2003年度)
総収入 22,792,903円
会費:14.3% 寄付金:10.5% 事業収入:21.0% 委託収入:15.1% その他:0.5% 前年度繰越金:38.6%
総支出 24,632.126円
事業費:23.3% 管理費:26.7% その他0.8%
次年度繰越金:49.1%
【定期刊行物】
「アイキャンだより」(ニュースレター、季刊、1,200部)
「ICAN's news letter」(英、季刊、250部)
「事業報告書」(年次報告書)
フィリピン
1. 面積 299,404km2(日本の8割の広さ)。7,109の島がある。
2. 人口 7,650万人(2000年5月国勢調査値)
3. 首都 マニラ(人口993万人)
4. 人種 マレー系が主体。他に中国系、スペイン系、及びこれらとの混血、更に少数民族等がいる。
5. 言語 国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語と英語。他80前後の言語がある。
6. 宗教 国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%。
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