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6.2 内航船舶
船舶、船員ともに減少傾向
 
 内航船舶隻数は、昭和49年1万1千隻から減少が続き、平成14年には、ピーク時の約6割に当たる7千隻となった。
 内航船員数も、昭和49年7万1千人から減少が続き、平成14年には、半数以下の3万3千人となった。
 
内航船員数、船舶隻数の推移(船員統計)
 
  S49 S55 S60 H2 H9 H10 H11 H12 H13 H14
内航船員数 71,269 63,208 59,834 56,100 44,959 40,805 38,716 37,058 35,606 32,860
内航船舶数 11,124 9,884 9,434 9,342 9,101 8,216 7,925 7,269 7,085 7,018
 
今後、高齢化等が進むなかこのことが海難発生に影響することが懸念
 
 平成13年における内航船員の年齢別構成をみると、50〜54歳が24.8%、45〜49歳が22.0%など、45歳以上が全体の59.5%を占めており、平成9年より、5.1ポイント上昇している。今後、船員の高齢化、若年船員不足が課題となっている。このことが将来の海難の発生に影響することが懸念される。
 
内航船員年齢構成別内訳
(船員需要総合調査報告書及び賃金構造基本統計調査報告書による)
 
○裁決状況(海難審判庁)
 内航船舶による海難は、平成12年から同14年までの3年間の裁決件数を見ると、643件(712隻)で、毎年横ばい傾向を示している。海難の内訳は、衝突337件、乗揚154件、衝突(単)52件、機関損傷30件などとなっている。
 
内航船海難裁決件数の推移
 
 
内航船海難事件種類別件数
 
○安全対策
 
任意によるISMコード認証取得制度による安全管理対策の推進
 
 内航船社においては、外航海運の動向を踏まえISMコード(国際安全管理規則)に準拠した安全管理対策が推進されている。
 任意によるISMコード認証取得制度は、平成12年7月に告示され、内航海運事業者の安全性向上のため、特に荷主としての石油業界の一部が用船するタンカーの安全性の確保及び海洋環境保護のための安全運航管理体制の確立を求めている。
 
漁業就業者25万人強、高年齢化で後継者不足
漁船隻数21万隻中20トン未満の船舶が9割
 
 我が国の漁業における漁船員及び隻数は、「海面」と「内水面」とに分類され、漁業をやっている者すべてを漁船員と見られている向きもあるが、船員法上は、総トン数5トン未満の船舶、湖・川又は港内を航行する船舶、政令の定める総トン数30トン未満の漁船に乗る者は船員とは言わない。
 我が国の「漁業の種類とその操業上の区分」は、遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業に区分でき、平成13年「水産白書」のデータによると、漁船の数が約21万隻あり、その中で内水面(沼、湖など)で動いているのが5,000隻ほどある。
 内水面ではないところで動く船が20万4,289隻あり、それらの船が総生産量612万7,000トンの魚を捕っている。
 漁業就業者は25万2320人、沿岸漁業就業者が21万4480人、沖合・遠洋漁業就業者が3万7840人となっているが、内水面の漁業就業者は、はっきりつかめない。
 また、男女別では、男性が約21万人となっており、その年齢別の構成は、65歳以上が33.5%を占め、60才以上64才未満が12.6%、40歳以上60才未満が39.2%で、漁業界も後継者不足に悩んでいる。
 無動力船が漁船全体の2.3%、船外機付漁船が39%で、残りその他の動力船が約12万隻あり、その内20トン未満の漁船は約11万隻で、9割強を占めている。
 
○裁決状況(海難審判庁)
 
漁船海難の8割が20トン未満で、衝突事故が6割を占めている
居眠りによる海難も多数発生
 
 平成14年における漁船の海難をトン数別に見ると、5トン未満が全体の44%、5トン以上20トン未満が全体の35%を占めており、これら20トン未満で8割弱を占めている。
 海難の種類別では、衝突が全体の62%で最も多くなっており、死亡・行方不明者は34人となっている。
 
漁船における事件種類・トン数別の裁決状況(平成14年)
(単位:隻)
 
 海難発生の現状としては、「事故発生には注意をしているが、現実は魚を捕ることを第一義の仕事と思っている。」、「見張りをすることなく衝突したときはじめて気付いた。」というケースが多い。特に、夜間に操業する漁船では朝方になって港に帰るとき疲れて自動操舵のまま居眠りをしてしまうことが多くなっている。
 
○安全対策
 
漁業関係団体等で安全対策を呼びかけるが、なかなか効果が上がらない
 
 安全対策として漁業関係団体では、「1人乗りの漁船を何とかなくしたい。」といっているが、採算等の面で現状はそのようになっていない。
 救命胴衣の着用については、漁業協同組合、その上部の全国漁業組合連合会などで一生懸命に取り組んでおり、かつ、平成15年6月の法制化で「適切な連絡手段を確保せずに航行中の小型漁船に一人で乗船して漁労に従事する場合」には、着用することが義務づけられたことは良い方策である。
 また、毎年、海難防止協調運動では、大日本水産会で機関誌「水産界」に掲載したり、毎週、ファックスでニュースレターにより広報するなどして呼びかけているが、なかなか効果的な状況となっていない。
 
(遠洋まぐろ漁船の安全対策)
 
遠洋まぐろ漁船乗組員の半数以上が外国人(ほとんどがインドネシア人)
現地にトレーニングセンターを設け安全衛生教育、日本語教育を実施
 
 まぐろを捕る船は世界中に1,500隻ほどおり、そのうち日本船は500隻である。日本で食べる刺し身用まぐろの6割は外国のまぐろ船が捕ったものであり、外国のまぐろ船の1000隻近くが全て日本にまぐろを送るために操業している。
 日本の500隻のまぐろ船が1,000隻の外国船と経済競争をやっているが、残念ながら日本の相対的に厳しい規制のために、規制コストが非常に高い。船舶安全法や船舶職員法もコストに入り、船舶職員法の18条が適用されるが20条の特例の配乗基準で緩和している。
 遠洋まぐろ漁船は日本に2年に1回あるいは3年に1回帰ってくるかどうかということで、北緯60度又は南緯50度近くまでで活動しており、ほとんどが世界中の港を利用している。
 最近は、日本まぐろ漁船の半分以上が外国人でほとんどがインドネシア人で占めており、安全対策としては現地にトレーニングセンターを設けて、安全衛生教育、日本語教育を行っている。
 まぐろ漁船の運航に関しては、漁労長が実際の決定権を持っていることが多い。経験豊富でベテラン船員であるが、海技免許を受有しいていない者が多いため、試験を受けるよう指導するが、受験期日が合わないこと、なかなか苦手であることなどから受からない。経歴尊重型の資格アップ制度を取り入れてもらいたいと考える。







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