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新規範発見塾 レクチャー・メモ vol.16

 事業名 先駆的情報の創出・発信事業
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


日本単独で何とでもできる
 小泉首相がアメリカを支持すると言ったとき、その理由は「日本に火急のことがあった場合、助けてくれる国はアメリカしかないではないか」ということでした。
 すると多くの人は黙ってしまいますが、それなら自民党は長いあいだ責任政党だったのに、今まで何の準備もしてないのはどういうことでしょう。アメリカしか助けてくれる国がないという状態をつくった自民党は、深く反省しなければなりません。
 私は北朝鮮は日本単独で何とでもできるし、やるべきだとかねてより言ってきました。アメリカの助けは借りないという道もあるのです。そういう研究をしてないとは、自民党は責任政党失格、小泉さんは日本国首相失格です。
 四月十七日号の『ニューズウィーク』日本語版にカリフォルニア大学のスティーブン・ヴォーゲル、というよりエズラ・ヴォーゲルさんの息子といったほうがわかりやすいでしょうが、こんなことを書いていました。彼が日本問題について講演した後、聴衆から「フランスはイラク侵攻に反対と言ったが、日本は賛成と言った。もし日本がフランスと同じく反対と言うか、あるいは国連決議が先だと言ったら、アメリカはどうだったでしょうか? あなたのお考えを聞きたい」という質問があった。ヴォーゲルさんは「アメリカ人は、フランスに対して憤激しているのと同じように、日本にも憤激するでしょう。ただし、すぐ冷却するでしょう。そして冷却した後には、日本に対する尊敬が残るでしょう」と答えたと書いてありました。
 本当にそうなるかどうかはわかりません。しかしそういうことを外務省の中で検討したかどうかと言いたいのです。外務省に限らず、日本中が思考停止です。だから総理大臣はアメリカ支持をせざるを得ない。「日本はもっと現実主義で考えて、いろんなことを幅広くやったらどうか」と言いたいのです。
 アメリカは日本のことばかり考えているわけではありません。当然ですね。ところがワシントンにいる特派員は「日本をどう思いますか」と、そればかり聞いて歩くのです。それが日本の新聞に載って、日本人はそればかり読んでいますから、情報が偏ってしまいます。アメリカ人は日本の特派員が来て聞くから答えているだけです。さらに言えば、特派員は答えてくれる特定の人にばかり行くのです。いつも同じ人に聞いている。それがアメリカ人全体の意見になっているのですから、冗談ではありません。新聞など読まないほうが良いのです(笑)。
 しかもどんな人がお相手してくれるか。その特徴を言えば、まず野党の人です。与党の人は忙しいから日本人特派員に会ってくれない。今であれば野に下っている民主党系の人は時間があるので喜んで会ってくれる。当然、共和党を批判するに決まっている。それを日本のデスクが喜んで載せている。新聞のポーズは明治以来在野精神だからです。もっと簡単なのは、日本語のできるアメリカ人です。これは一種の癒着です(笑)。そう思いませんか?
 私がそれを痛感したのは、昔のことですが韓国の新聞を読んでいると、日本の有力者の意見といって出てくるのが、いつも同じ早稲田の商学部教授なのです。しかし、本人が悪いわけではない。彼しか会いに行かない韓国の東京特派員が間違っているのです。
 そこで、韓国の東京特派員一〇人近くを集めてご馳走したことがあります。夕食を一緒にして、「あなたがたの取材が偏っている。日本と韓国の関係を狂わせるもとである。もっと広く別の日本人にも会いなさい」と言ったら、「会ってくれません」と言われました。その当時の話ですが、韓国人が来ても日本人は会わない。会っても得はないし、そもそも韓国のことや日韓関係のことはよく知らない。この事件についてどう思いますかと聞かれても、なんと答えていいかわからない。
 「その点、あの先生は用意して待っているのだから、こんな便利なことはない」と言われて苦笑しましたが、「それにしても、あなたがたは仕事不熱心である」と続けたら「私たちは全部有力者の息子です。新聞に身を投じて真実を報道しよう、そのために身を削ろうなどと思っている者はこの中に一人もいません、日本に行って遊んでこいと、お父さんが言うから来ました。お父さんが偉いから来ているんです」と言う。あまりに正直でもう何も言えなくなった思い出がございます(笑)。
 言いたいことは、マスコミに載る記事は決して公平平等などではありません。さまざまな背景事情が影響しているのですから、しっかりと自分のインテリジェンスでチェックしなければいけません。鵜呑みにしてはいけないのです。
 
国民意識がすっかり変わった
 次の話ですが、日本人の国民意識が急に変わったと思います。
 すっかり変わったと思います。例えば防衛問題がタブーでなくなってきましたね。これはアメリカべったりに不安を持つようになったが、さりとてどうしていいかわからないという状態かなと思います。
 国民意識が変化したが、しかし新しいことは誰も教えてくれないという状態です。
 日本の外交三原則は、(1)国連第一主義、(2)アメリカ第一主義、そして(3)アジアの一員であることを忘れるなで、これは岸信介が言ったことですが、そういう外交三原則に沿った解説ばかり聞いてきたので、今これに疑問を持っても、ではどうすればいいかが全くわからない―というのが今の日本人の戸惑いではないかと思います。
 そこへ出てくるのは、「日本は小さな国です、弱い国です、何もできません。だから何事も受け身で暮らしましょう」という態度ですね。これはそもそも日本人の人生態度であって、国家の態度と人生態度とは別だと思うのですが(笑)、それを一緒くたにしているのがおかしいのです。
 人生態度において、日本ではおとなしくしていたほうが得である、無難のほうが得である。すると、いつか誰かが「おまえよく辛抱したな、では、これをやるぞ」と言ってくれる。そういう伝統社会です。自分で欲しがって要求して歩いていると、そのうち誰も何もくれなくなる。要求したら損だから、くださるのを待つ、くださるように仕向ける、という態度が身についている人が、今、社会の上のほうにいる。
 そういう人生態度の人がものを書くと、学問的論文でも、ついそういう態度が出てきてしまう(笑)。日本国家のあり方を論ずるときも、何やらそういうふうに書いてしまう。相手を怒らせたら大変だ、孤立したら困る、とそこで思考停止して、その先を考えようとしないのです。「孤立して何が困るのですか? アメリカとつき合って何の得があるのですか? こんなにふんだくられるなら孤立しようじゃありませんか」と言うと、もう議論から逃げてしまう。
 孤立と言うが、孤立にも程度がいっぱいあるのです。孤立の段階ABCDEF、一番すごい孤立はこれ、その次はこれと書き上げてみるべきなのですが、そういうのは邪魔くさいと思うんでしょう。「早く結論を教えてください」と言う人が多くて困ってしまうのですが、そうやってたくさん他人の考えをコレクションしている間に自分でつくってしまったほうが早いのです。
 他人の考えの集大成など学校でやっている分にはいいのですが、大人の偉い人が実戦の場でやることではありませんね。







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