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新規範発見塾 レクチャー・メモ vol.16

 事業名 先駆的情報の創出・発信事業
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


「インテリジェンス」とは何か
 この悪知恵のことを、向こうの人は「インテリジェンス」と言います。
 日本人が聞いていると、「それは悪知恵、謀略のことではないか」と言いたくなりますが、向こうの人は「とんでもない、これが賢いということだ。こういうことを思いつかない人は愚鈍でアホだ」というのが常識です。
 日本人は「インフォメーション」を大事だと思っていますが、インフォメーションはデータと同じです。そんなものは死んでいるのであって、パソコンを叩けばインターネットからたくさん出てきます。「なんと便利になりました」と言う人が多いのですが、それは「私はアホです」と言っているのと同じなんです(笑)。インフォメーションはインテリジェンスの死骸か中古品です。
 Informationという言葉をもう一度良く見てください。フォーム(form)ですからね。フォームというのは「型にはまっている」ということです。もう死骸になって、命が通ってない、息をしていないものをフォメーションと言う。そんなものをパソコンからたくさん取り出して何の役に立つのですか? まあ、試験には役立ちますよ。ダメな上役に提出するのにも役立ちます。マスコミに説明するのにも役に立ちます。しかし、その程度のことです。
 防衛庁のトップが嘆いていました。「もう防衛庁は国家戦略も防衛のことも、誰も考える人がいない。その力がない」と言うので話を聞いてみると、昔なら参謀職にあたる幹部に言いつけたら「はい、はい」とインターネットを叩いて、今から二〇年も前につくった防衛大綱とか、それの説明書きをたくさん取り出してきた。それをちょこっと直して持ってきたというのです。「防衛の根本から自分で考えろ、今の時代に合わせて根本から考えろと言いたいが、そんなことができる人はいない」と嘆いていたので、「そんな人を探すのは簡単だ、アメリカ人を雇ってお金を払えば考えてくれますよ」と話したことがあります。必ずしも冗談ではありません。考え終わったら、お金を払って去ってもらえばいいのですからね。それからもう一段日本人が相談して、それを“改善”する。
 昔の中国人は偉いとかねて思っていますが、その昔、漢字をつくった人は「知」と「智」を区別していました。後者がインテリジェンスだと思いますが、日本へくるとなぜか一緒になってしまいました。悪だくみを考えないからでしょう。
 インテリジェンスがない人は建前を言うようになります。建前を結論にしてしまうのです。それが一番簡単ですからね。身の回りで思いあたる例が、多いのではありませんか?
 
スエズ運河の先は中国
 話を戻しますが、スエズ運河の先をインテリジェンスで考えると、次は中国ですね。
 最終目的は中国の台頭を叩くということです。
 もっとも私は、本当に中国が台頭するのか疑っています。と言うより、台頭しないと思っています。「中国は将来恐るべし」と言っている人のレポートを読んでみると、何が何でも中国はすごいという結論へ持っていく手品の連続ですね。そうでない要素は書いてない。
 どこの国であれ、近代化するために乗りこえるべき壁はたくさんあって、それをイギリスも日本も韓国も五〇年、一〇〇年かけて順番に乗りこえてきました。乗りこえられなかったときはしばらくお休みでした。バックすることもあります。そういう壁の一つですが、人が言わないことを例示しましょう。
 たとえば、中国は衛生というのがまるでない国です。都市にもないし、さらには人の心にもない。我々とは全然違う世界に住んでいるので、つき合うことがむずかしい。
 私のささやかな経験で言えば、この三〇年ほどたびたび中国へ行きましたが、毛沢東時代は清潔でした。あまり知られていませんが、毛沢東は一生懸命、心と生活の清潔運動をやっていました。不衛生の怖さを知っていたんでしょうね。
 どうして知ったかというと、毎日のように戦争をしたからだと思います。不衛生な軍隊は必ず負けます。だから精神的にも、あるいは装備その他でも、衛生的にしなければ戦争に勝てないということを毛沢東は身に染みて知っていたと思います。蒋介石も「新生活運動」をしましたが、そのときは「日本を手本とせよ」と言って、自分が日本の高田の連隊に兵隊として留学したときの体験を例示しています。
 日本でも、戦前二十歳になった男が徴兵されたとき、真っ先にやらされるのは下着を自分で洗濯しろ、毎朝顔と歯と手を洗え、食べるときはこう食べろと、日常茶飯事を徹底的に叩き込まれました。そういう経験のある人は、今ではすっかり減ってしまいましたが、軍隊というのはまず衛生からやらなければならない。合理精神と自立精神は身の回りから教え込まなければだめなのです。
 
軍隊経験者は「独立した人間」
 また余計な話をしますけれど、調査団を引き連れてアメリカ、ヨーロッパを旅行したことが何回もあります。二十何人を引き連れて、昔は一度海外へ行ったら二度と来られないと思って、時には三五日間もアメリカとヨーロッパをずーっと旅行した。
 そんなことを何回もしているうちに気がついたのは、軍隊経験者と経験していない人はまるで違う。軍隊を経験した人は、ホテルのサービスが乱れても困らない。自分で下着の洗濯をするし、食べるときは食べ、寝るべきときは寝て、二〇日たっても三〇日たっても乱れない。軍隊を経験していない人は、だんだん生活が乱れてきて、そのうち心のバランスが悪くなってケンカしたりします。五十歳前後の部長や取締役が大声をあげたりします。崩れていく順番がわかったので早めにケアしてあげました。
 言いたいことは、軍隊経験者は独立した人間として生きていく方法が身についている。あるいはお互いに助け合う、トラブルはこの辺でやめておこうという知恵がある。人間としてのいろいろなことが、基本的に身についている。
 だから、ホームルームや家庭科で小学校、中学校の男の子にも料理をつくらせる、洗濯をさせるということをやったほうがいいのです。受験に関係ないから廃止してしまうほうが合理的だと思われていますが、それは逆です。そういうことをきちんとやったほうがいいのです。多分、受験にもいいはずです。
 それで偏差値が下がることは絶対ない。むしろ、やったほうが偏差値は上がる。物事を処理するということは、勉強でも仕事でも何でも基本は一緒なのです。
 子供の数が減って学校の校舎が空いていますから、あれを寮にしてもいいですね。給食設備がありますから料理もつくれます。都市と農村の学校を交流すれば、田舎にも行けますね。
 しかるにむやみにカネをかけて、キャンパスや学生食堂や図書館を単に立派にするだけの学校が多くて困ります。教育とは何かが分かっていない人ばかりです。まずそういう学園長を教育しなくてはなりません。
 
テロを大量生産しているのはアメリカ
 また脱線しましたが(笑)、イラクに話を戻せば、表向きはテロ防止のためだ、大量破壊兵器のためだ、民主化のためだと言っていますが、常識で考えればテロの本拠地はサウジアラビアであってイラクやアフガニスタンではありません。だからテロ撲滅を掲げているのならば、いずれサウジヘ兵を出すことになるわけで、サウジとエジプトをこれから狙うのではないかと思います。
 そのとき国際社会が同意しなければ、アメリカは単独行動でやるのかどうかです。そしてその先は新しい国連をつくるという話です。今の国連はすっかり力がなくなってしまいました。辛うじて今の国連がもっているのは、日本が二割も三割もお金をだすからです。それでいて、さんざん踏みつけにされているのですから、日本は国連を脱退すると揺さぶりを言うべきです。かねてよりそう思っています。その決意を秘めて国連改革を提案しなくては、日本も世界も不幸のままです。
 それはともかく、テロ対策をアメリカは国家対国家でやる。だからエジプト政府に圧力をかけて、「これを支持せよ」と言うでしょう。「支持しなければ援助をやらないぞ」と圧力をかけますから、仕方なくエジプト政府は支持する。しかしエジプトの国民は納得していませんから、国民がエジプト政府を見限る。国家対国家で無理やりイエスと言わせても、国民はついてこないが、そのときはどうなるのでしょうか。混乱です。さらに言うと、宗教はもっとついてこない。国民の気持ちはますます宗教のほうへ行ってしまう。
 だからテロが大量に生まれてしまうのです。大量破壊兵器であるテロを、アメリカ自身が大量生産していると私は思います。
 日本でテロが起きないのは政治が良いからです。テロをしたくなるほど腹が立つことがない。テロを無くしたければ、そういうトラブルのない社会をつくることが先なのです。日本人はもうそのことが身についてますから、いちいち言わなくても当たり前だと思っていますが、世界を見渡せば身についていない人がたくさんいる。だから、日本人は彼らに教えてあげなければいけません。それで私はこんな話を長々としているのです(笑)。







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