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第3部 「パートナーシップ大賞」評価と受賞企業
 「パートナーシップ大賞」選考にあたっては、第1次審査、第2次審査および最終審査の3段階の審査が行われました。
 
 まず、応募35事業の記入済み用紙を一冊の冊子にまとめ、大賞運営委員会の調査メンバーがすべての事業に目を通すことから始めました。応募書類に記載された情報に基づき、ドラッカー財団の「企業とNPOのパートナーシップの3類型」を使って、35事業それぞれについての評価を数値化していきました。
 
 このドラッカー財団による「企業とNPOのパートナーシップの3類型」では、協働事業はその発展形態に応じて、以下のように分類されます。(P14表参照
 
第1類型
「チャリティ(慈善)型」
企業からNPOへの一方的な寄付や支援がある場合
第2類型
「トランザクション(交換)型」
双方の意思疎通に基づき、企業とNPOそれぞれにメリットがある場合
第3類型
「インテグレーション(統合提携)型」
対等な関係のもとで協働が実現され、社会に働きかけている場合
 
 さらに、それぞれの類型を、以下の5つの観点から特徴付け、それぞれの事業について、どの段階にあるかを見ていきました。
A 「目的共有度」
B 「対社会への働きかけ」
C 「協働の感覚」
D 「戦略度」
E 「関係期待度」
 応募書類の情報に基づき、A〜Eの各観点ごとに類型を判断し、「チャリティ型」=1点、「トランザクション型」=2点、「インテグレーション型」=3点として、5つの観点での合計点数を出しました。(各類型の中間と判断されるものには0.5点きざみ)
 
 
 そして、応募用紙の記入内容の充実度や、本来の協働とは何か、NPOと企業が対等な関係で、社会にインパクトを与える事業を展開しているかなどについて、活発な議論の結果、11事例が第2次調査対象として残りました。
 
第1次審査における主な議論のポイント
・応募用紙のみによる書類審査であったため、そこから読み込めるものには限度がある。しかし、プレゼンテーション能力も評価基準の一つであり、やってきたことをロジカルにまとめるプロセスを重要視する。応募書類に具体的な例、トピックスなどが書かれていると非常にわかりやすい。
 
・「チャリティ」にとどまっていたとしても、社会的に大きなインパクトを与えると考えられるものは評価する。必ずしも発展段階が未熟なものとしてとらえる必要はない。むしろ、チャリティにとどまって、NPOに任せた方がよい場合もある。「協働」と「公益性」をバランスよく評価することが必要。世の中が求めているものをどれだけ提供できているかが重要。
 
・Win-Winの関係を目指すばかりに、企業の本業(プロフィットゾーン)に直接関わってくるベネフィットをどうとらえるか。企業にとって長期的なメリットがないもの、市場から無視されるようなことをやっても発展性はない。互いにメリットがあるからこそ継続できるものとして考える。但し、企業にプロフィットをもたらさなくても、社会的なインパクトがある活動はポジティブにとらえる。
 
・長期間続いている事業、中小規模のNPOががんばっているものは、評価の対象になり得る。
 
・中間支援団体がうまく機能している事例は評価に値する。インフラを整えていくという観点で、非常にプラス。
 
・幅広い社員の参加、意識改革につながっている活動は高く評価できる。
 
第1次審査通過事例のドラッカー類型点合計
協働事業名 合計
環境アニュアルレポート共同企画 14.5
廃食用油再燃料化装置導入並びに未回収廃油リサイクル促進事業 13.0
近畿ろうきんNPOパートナーシップ制度 12.0
チャリティクリスマスカードによる紛争・被災地域の子ども支援 12.0
「こども科学実験教室」 11.5
だれもが楽しめる「街」づくり事業 11.5
はこび愛ネットおよび車いすの集荷・配送事業 11.0
歩行者のためのデジタル地図情報のユニバーサルデザイン化協働事業 10.5
NPO喫茶「カフェ・アイリス」 10.5
刈谷生活協働組合売店内における「NPO法人パンドラの会」の商品販売 10.5
「恩返しの森」づくり事業 10.0
 
協働の期間とドラッカー評価類型点の相関(全35事例)
協働の期間とドラッカー評価類型点の相関







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