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2. 第2次審査
 第1次審査を通過した11事例について、PSC独自の「パートナーシップ大賞」自己評価シートおよびを用いて、PSC調査員が企業とNPO双方への視察・調査を行い、以下のような方法で評点しました。
 
「パートナーシップ大賞」の評価項目
O1からI4までの20の各項目ごとにNPO、企業それぞれの取り組みの深さや達成度合い、組織的合意などのレベルに応じて4点尺度で採点。 評価項目
事業性 協働性 事業主体 受益者/社会
目標設定 O1 事業で目指すものは明確だったか 目標設定    
O2 ミッションに合致しているかどうかを考慮したか ミッション    
O3 自組織に不足しているものを認識できていたか 自己評価    
O4 パートナーに期待するもの(こと)は明確だったか 相手役割      
O5 パートナーのメリットを認識できていたか 他者認識      
O6 協働事業の受益者を把握していたか 社会認識    
経過 P1 事業の進捗を把握できていたか マネジメント      
P2 十分な危機管理を行っていたか 危機管理      
P3 相互に協働のプロセスを愉しめたか 愉快度        
P4 パートナーは十分に役割分担を果たしたか 役割分担        
事業結果 R1 当初の目標は達成できたか 目標達成    
R2 それぞれのミッションに合致していたか 合致度    
R3 相互に不足しているものを補完できたか 役割補完      
R4 それぞれの組織が成長できたか 成長度      
R5 新たなネットワークをつくることができたか ネットワーク      
R6 この事業を今後も続けたいか 継続度      
インパクト I1 事業は外部にインパクトを与えたと思うか インパクト  
I2 受益者に満足を与えられたと思うか 満足度    
I3 社会に新たな「気づき」を与えられたか 気づき    
I4 新たな発展の可能性を見つけられたか 発展性      
 
 この「評価シート」は、2000年9月にPSCが発表した「パートナーシップ評価表」を基に構築されました。協働事業を(1)目標設定、(2)経過、(3)事業結果、(4)(社会への)インパクトの4つのフェーズに分け、それぞれについて多角的に評価できるように工夫しました。
 これらの項目設定には、事業性そのものを評価する視点と、パートナーシップ(協働)の度合いを評価する視点の二つが盛り込まれています。さらに事業実施の主体としての視点、受益者/社会という視点からも多角的にとらえることができ、これらの視点から協働事業を見直してみることも可能です。
 
<参考>パートナーシップ評価表
I 協働事業を始めるにあたって
1. 何を実現したいか
・協働事業で目指すものは何か
・それはそれぞれの組織のミッション(使命)にどう合致しているか
目的・ミッション
2. そのために自分に足りないものは何か
・自分および自分の組織にとって、事業推進に欠けているもの
自己分析・自己評価
3. 相手に何を求めるか。その役割分担は?
・相手の人・組織がカバーしてくれそうなもの
・相手にとってのメリットは何か
補完的役割の期待
4. 相手を選ぶ基準は何か
組織力、マンパワー、情報力、技術力、仕事力など
優先順位
II協働事業評価
1. 目的達成度(目標は明確であったか)
(1)協働で何が実現できたか
(2)それはそれぞれの組織のミッション(使命)にどう合致しているか
(3)外部に対してどんな影響を与えたか。どんな「評価」を下されたか

実現度
合致度
影響度
2. 自己満足度
(1)それぞれ足りない(かった)ものを埋めることができたか
(2)それぞれにとって前進(成長)したといえるか
(3)それぞれプロセスを楽しめたか

補完度
成長度
愉快度
3. 役割期待度(役割分担は明確であったか)
(1)それぞれどんな役割分担をしたのか。それは十分だったか
(2)互いをカバーした(できた)か

分担感
助け合い度
4. 発展性
(1)新たな発展の可能性を見つけることができたか
(2)次の事業を具体的に計画できる(た)か。継続できるか

発展性
継続性
 
 調査および評価は、基本的にPSCから調査員がNPO・企業双方を別々に訪問し、事業責任者にインタビューしながら、自己評価を行ってもらいました。後日、その自己評価が妥当かどうかを調査員が検討し、改めて点数を付けて評価するという方法をとりました。
 
評価の手順
(1)PSC調査員が2名1組(場合によっては審査員も加わり3名)のチームで、企業・NPOをそれぞれ個別訪問し、当該協働事業に関して掌握しているそれぞれの担当者をヒアリング対象者として聞き取り調査を行います。
(2)担当者に自己評価シートを渡し、その場で自己評価を行ってもらいます。自己評価シートでは、各項目ごとに主観的な基準で、「1、2、3、4」点(1=×、2=△、3=○、4=◎)で採点する方式となっています。組織合意レベルについても1〜4または×、△、○、◎で記入してもらいます。特にコメントや備考があるときは、「記入者コメント」欄への記入を促します。
(3)調査員は担当者に対して、その自己採点の根拠、裏付け、背景を調査員用シートに基づきながら聞き込み、特筆すべき点などをコメント欄にメモします。ここで用いられる調査員用シートでは、各項目についてさらに3つほどの細目があります。
(4)2名の調査員は別々にヒアリング結果を踏まえて、これら細目について×、△、○、◎の評価をし、各項目ごとに組織合意レベルも参考にしながら、1〜4の評価点を付けていきます。NPOまたは企業が複数参加している場合は、それぞれのNPO・企業の評点の平均を取ります。
(5)調査員2名がそれぞれの評価結果を踏まえ、話し合いの上で調査チームとしての評価点にまとめます。この時、各項目の評価点には根拠となるコメントを付記し、最終審査の判断材料となるようにします。最後に20項目すべての点数を合計します(80点満点、NPOと企業の両者を合わせて160点満点)。
 
 以上の評価手続きに基づき、全11事例の評価を行い、その結果を大賞運営委員会に持ち寄って討議しました。調査員たちは各調査から分かったNPO・企業の実情を互いに報告しながら、それぞれの評点の妥当性を吟味して評価レベルのすり合わせを行いました。そして審査委員会において、事業の魅力度、事業関係者の関与の度合いなどを考慮しながら、最終的に上位6事例を選定しました。







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