日本財団 図書館


氏名 T.Y. 性別 女性 年齢 60代 訪問年月 15年9月
疾患 左片マヒ
自助具の種類 読書台ページ押さえ
使用状況 使っている。 作成年月 12年6月
使用期間 3年1ヶ月
問題点 婦人雑誌の新年号のように紙が厚くページ数が多い場合は、本がとじてしまう時がある。
対策 これ以上重りを重くするとページがめくりにくくなるので、そういう本の時はあらかじめページを開いてクセをつけておいてもらうように依頼。
感想 対策欄と同じ。
 
氏名 R.S. 性別 男性 年齢 50代 訪問年月 15年9月
疾患 右片マヒ
自助具の種類 片手用鈎針編み機
使用状況 使用している。 作成年月 7年10月
使用期間 7年11ヶ月
問題点 特になし。
対策 特になし。
自助具の種類 片手用棒針編み機
使用状況 使用している。 作成年月 7年10月
使用期間 7年11ヶ月
問題点 特になし。
対策 特になし。
感想 男性ですが、リハビリを兼ねて挑戦されていました。
 
氏名 M.S. 性別 男性 年齢 60代 訪問年月 15年11月
疾患 リウマチ
自助具の種類 台付き爪切り
使用状況 使用している。 作成年月 7年10月
使用期間 7年11ヶ月
問題点 特になし。
対策 特になし。
感想 リウマチの方に喜んでいただいている他の自助具の提案もしてきました。
 
氏名 H.S. 性別 女性 年齢 63 訪問年月 15年12月
疾患 脳性マヒ
自助具の種類 万能カフ
使用状況 使っている。 作成年月 10年12月
使用期間 5年
問題点 特になし。
対策 特になし。
感想 特になし。
自助具の種類 木製リモコン台
使用状況 使っている。 作成年月 14年4月
使用期間 1年8ヶ月
問題点 特になし。
対策 特になし。
感想 緊張が強く、アクリルでは破損する危険性が高いので木で製作しました。
 
ちょっと聞いて!・・・自助具づくりにまつわる四方山話 Part 2
<B君の場合>
 B君から外国産のリーチャーを延長したものを作って欲しいと、電話で依頼があり、あれこれ必要なことを聞き、材料費もお伝えした。
 技術的にはそんなに難しいものではなく、1mほどの長さのものが出来た。
 ところが、いざ「出来ましたのでお送りしましょうか」と電話をしたところ、「こちらで別のものを入手したので断ってもいいですか」との返事があった。
 その理由をお聞きしてももう一つ要領を得ず、今さら断られても困ると猛烈に抗議をしたが、相手の経済的状況も推測して代金の請求をあきらめてしまった。
 このケースは、お互い顔も知らないまま、技術的にもそんなに難しくもなく、フィッティングの必要もないのでと安易に作ってしまったのが原因であるが、その後よく考えてみると、そんな長いリーチャーを使って遠くの物を掴めても手前まで引き寄せることは健常者であっても少々難しく、ましてや依頼者は脳性マヒだったので、多分引き寄せることが無理とわかったから断って来たのであろうと推測している。当時、改造でもしない限りそんな長いリーチャーは市販品にはなかったのである。
 
<Cさんの場合>
 脳性マヒの息子さん(小学校高学年)が使う机と椅子を作って欲しいとの依頼があった。よく調べてみると、業者のカタログにあるものであった。
 どうして我々に見積もり依頼をされたのかをお尋ねしたところ、「業者に頼むより安いかと思って」と申され、唖然としたケースである。
 もちろんお断りしたのであるが、ボランティアを業者と競争させるような感覚もどうかと思うが、他のグループの皆さんも安さだけが売り物であるような活動は注意が必要です。
 
6: 自助具設計・製作の前に
*対象者の疾患・障害の状態を良く知ること
 
 疾患の状態やその疾患の特徴を良く知らずに、良い自助具が作れないのは当然のことです。そのためには使用する人と作り手はもちろんのこと、その人のことや生活環境を良く知っているO.T、P.T、看護師、家族等との事前の打ち合わせが必要です。病状の進行が早いALSの人や、高次脳機能障害のように症状の現れ方が様々な人には特に必要となります。
 そのような手段を踏まずに製作すると、ただの便利道具(横着道具)になったり、悲惨な場合ではリハビリを阻害する道具となって、せっかくの機能回復の機会を取り上げてしまうことになりますので注意が必要です。
 さらにその自助具を最初に使うのは製作者であるあなたですから、使用者と同じ動作をして出来上がりを確認することも必要です。
 
*素材や市販品の情報を良く知ること
 
 自助具の設計に入る前に形状、重さ、強度、バランス、手入れのし易さを考え、使う人・場所に適した材料を選択しなければなりませんが、使っていて楽しくなるようなデザイン・色の要素も必要です。
 私たちは、手入れが容易で口に入れても毒性がないということでアクリルやステンレスを良く使っています。しかしRAの人にとっては1gでも軽いほうが楽ですし、逆にCPの人の多くはやや重めのほうが使いやすい場合が多いと思います。
 このように色々な対応が必要ですから、常日頃からホームセンター等を訪ねて素材についての知識・経験を養っておくことです。
 さらには製作時間の短縮、コストの低減のため、各地にできている100円ショップの商品を活用する方法もあります。
 例えば、伸縮型のボールペンはほとんどそのままで携帯用リーチャーとして使えますし、縄跳びの柄も少し加工すれば長柄ブラシの柄などに応用できます(ただしこの場合、全体のバランスを考えなくてはなりません)。
 ホームセンターや100円ショップ、いずれに行くにせよ、これは何かに応用できないかという問題意識を持ち続けていることがポイントと言えるでしょう。
 さらにはそういう趣味がない人では普段余り足を踏み入れない、釣具店、手芸用品店、カー用品店などに訪れると案外面白いものが見つかるかもしれません。
 
*正しい作業方法を身に付けること
 
 自宅で手動工具を使って自助具を製作されている方には費用の点からも無理があるかもしれませんが、できるだけ電動工具になれることです。仕上がりの精度、スピード、安全性、どれをとっても手動作業を上回ります。
 電動工具は怖いという人がおられるかも知れませんが、よく知った方に習えばすぐに習熟できます。
 いずれにしても貪欲に色々な製作技術・手法を身に付けることです。そのことであなたが作る自助具の種類が拡がって行くでしょう。
 さらに今後の自助具の方向として、電気・電子を応用したものが拡がって行くのではと感じています。
 メカトロニクスに積極的に挑戦されてはいかがでしょうか。
 
ちょっと聞いて!・・・自助具づくりにまつわる四方山話 Part 3
<D子さんの場合>
 D子さんは難病の方で、すでに眼が見えなくなっており、喋ることができるので電話で話すのが唯一の楽しみである。
 しかし左手で電話の子機は持てるが、右手の感覚がマヒしボタンを押すことができず、唇で押して掛けていたのである。
 ベッドサイドのワゴンの上に子機を置き、隣の建物で仕事をされているご主人への唯一の通報手段である。
 依頼は、ワゴンの上の子機が落ちないようにすることと、比較的近くに親や親戚が何軒かあるので、ご主人と親元や親戚に緊急通報の方法を考えて欲しいというものであった。
 子機が落ちない方法は簡単にできたが、問題は通報装置である。市販品や非合法な物まで、あれこれ検討はしたが、今一つこれといったものに至らず、本人と話をしてみた。すると、もしそれができても、ご主人以外の親戚が通報を受ける装置を置いてくれそうにないことが分かったのである。
 受ける方もそれぞれの事情を持っておられるようで、この依頼はそれで沙汰やみになったが、何とも言えぬ胸の痛みを覚えたケースであった。







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