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4: アンケート調査結果
 大肢協 自助具の部屋では20年の活動暦を持っておりますが、データ整備を心がけだしたのは昭和63年からで、今回のアンケートはこの昭和63年からのデータにもとづいて行いました。
 アンケートは、訪問調査を前提に近畿圏2府4県へ487通郵送し、さらに大阪府下56軒へ電話にて調査を行いました。
 調査内容は、
(1)使っていただいているのか、使われてないのか
(2)使われてないならばその理由
(3)訪問の上現状を確認・調査させていただいてよいかどうか
(4)不具合があれば改造・修理いたしましょうかどうか
 の4点を主体に行いました。
 
<表1>アンケート集計
調査方法 郵送 電話 合計
調査件数 487 56 543 -
転居先不明 74 9 83 15.3
回答 174 47 221 40.7
回答なし 239 0 239 44.0
 
 アンケートの集計結果は<表1>の通りです。
 切手付き返信用封筒を同封したにもかかわらず、残念なことに回答率は40%に止まりました。
 さらに残念なことは、転居先不明の方が意外に多かったことです。
 回答いただいた方の中で、死亡された方も6人おられ(ご家族からの回答)、おそらく病状の進行によるものではないかと心を痛めました。
 
<表2>使用実態
(使っていただいているのか、使われてないのか)
 
使用している 165 74.6
使用していない 43 19.4
回答内容なし 7 3.2
死亡 6 2.7
 
 <表2>は使用実態を集計したもので、4人に3人はお使いいただいていることが分かりましたが、逆に言えば4人に1人は何らかの理由でお使いいただいていないことになります。
 今回のアンケート調査の目的は、提供済みの自助具がどうなっているかの実態調査をすることを前提としていましたが、使っていないと言う割合の多いのに正直ショックを隠せませんでした。とりあえず使っていると言う回答をもとにまとめてみました。
 
<表3>使用年数
件数 使用年数 件数
165 3年以内 51 30.9
6年以内 63 38.2
7年以内 51 30.9
 
 提供してから年月が経てば当然使われていないものが多くなると考えていましたが、長年使っていただいていることが分かりました。
 
 <表4>では4年以上使っていただいている自助具を、ジャンル別にまとめてみました。
 4年以上に絞りましたのは、3年以内なら症状の進行もそれほど進んでいないと考えられますし、自助具が破損する確率も少ないと考えたからです。
 
<表4>4年以上使用されている自助具の内訳
CP=脳性マヒ RA=リウマチ ALS=筋萎縮性側索硬化症
食事・家事関連
名称 使用年数 疾患
オレンジしぼり台 10 片マヒ
角度の付いた柄の包丁 8 RA
角度の付いた柄の包丁 8 RA
カンオープナー 8 RA
カンオープナー 8 RA
牛乳パック固定台 7 片マヒ
グリップ付スプーン 6 CP
グリップ付スプーン 8 RA
グリップ付スプーン 7 RA
グリップ付フォーク 6 片マヒ
グリップ付フォーク 6 片マヒ
コップスタンド 4 CP
コップスタンド 10 CP
コップホルダー 6 四肢欠損
コップホルダー 9 RA
コップホルダー 6 CP
コップホルダー 8 CP
コップホルダー 7 CP
皿ガード 7 片マヒ
ストローホルダー 8 CP
手に優しい洗濯バサミ 6 RA
万能カフ 5 脊損
万能カフ 5 CP
ペットボトルオープナー 7 CP
ペットボトルの注ぎ口 9 CP
ボトルオープナー 9 CP
ボトルホルダー 4 CP
ボトルホルダー 4 CP
ホルダー付きスプーン 11 RA
ホルダー付きスプーン 8 CP
ホルダー付きフォーク 8 RA
持ちやすい箸 8 RA
 
余暇活動関連
名称 使用年数 疾患
片手用鉤針編み機 8 片マヒ
片手用刺繍枠 7 片マヒ
片手用棒針編み機 10 CP
片手用棒針編み機 11 片マヒ
片手用棒針編み機 8 片マヒ
片手用棒針編み機 9 CP
車椅子用カメラ三脚 4 CP
読書台 5 片マヒ
トランプ立て 6 CP
リコーダー 5 指関節不全
リリアン風編み機 8 片マヒ
リリアン風編み機 6 CP
リリアン風編み機 6 CP
リリアン風編み機 7 片マヒ
レザークラフトスタンド 6 片マヒ
 
移動関連
名称 経過年数 疾患
車椅子にかごを取付け 11 CP
車椅子用首振り鏡 8 CP
携帯用車椅子テーブル 5 脊損
携帯用車椅子テーブル 6 CP
ジョイスティックの改造 8 脊損
スロープ 7 CP
台車 8 CP
リーチャ― 5 RA
 
整容・更衣関連
名称 使用年数 疾患
かがまずに使える靴べら 8 RA
片手用爪切り 10 片マヒ
片手用爪切り 10 片マヒ
片手用爪切り 8 片マヒ
ソックスエイド 6 RA
台付き爪切り 7 RA
台付き爪切り 10 RA
台付き爪切り 8 RA
台付き爪切り 7 RA
台付き爪切り 7 RA
手に優しい洗濯バサミ 8 RA
手に優しい洗濯バサミ 6 RA
電動歯ブラシのスイッチ 4 RA
長柄クシ 8 RA
長柄クシ 7 RA
長柄首振り鏡 8 片マヒ
長柄首振り鏡 8 脊損
長柄首振り鏡 7 片マヒ
長柄ブラシ 7 RA
長柄ブラシ 10 RA
長柄ブラシ 7 RA
長柄ブラシ 8 RA
長柄ブラシ 7 RA
歯ブラシの柄の延長 4 RA
ボタンエイド 7 RA
ボタンエイド 7 RA
ボタンエイド 6 片マヒ
 
コミュニケーション関連
名称 使用年数 疾患
鉛筆ホルダー 5 CP
鉛筆ホルダー 5 CP
鉛筆ホルダー 6 CP
キーボードカバー 5 CP
キーボードカバー 11 CP
キーボードカバー 11 CP
キーボードカバー 11 頚損
キーボードカバー 5 CP
キーボードカバー 6 CP
キーボードカバー 7 CP
キーボードカバー 7 CP
キーボードカバー 8 CP
キーボードカバー 5 CP
キーボードカバー 8 CP
キーボードカバー 6 CP
キーボードカバー 7 CP
キーボードカバー 4 ALS
キーボードカバー 5 CP
キーボードカバー 4 CP
キーボードカバー 7 CP
キーボードカバー 5 CP
キーボードカバー 6 CP
キーボードカバー 6 CP
キーボードカバー 6 CP
電話機の子機ホルダー 10 頚損
電話機ホルダー 7 CP
握り玉の付いた筆記具 5 CP
ペンのキャップ外し 8 RA
マウススティック 6 CP
マウススティック 6 CP
マウススティック 5 CP
 
 今回のアンケート調査で私たちが一番知りたかったことを<表5>以下でまとめてみました。
 アンケートを実施する前にある程度は予想しておりましたが、病状進行により自助具が使えない方の割合が多いのには驚きました。今回回答いただけなかった方の中にも、そのような方が多いことと想像できます。
 
<表5>使用されていない理由
  件数
使用していない
43
病状進行 17 39.5
壊れた 5 11.6
使い方が分からない 3 7.0
使いにくい 3 7.0
設備改善により不要となった 3 7.0
家族・ヘルパーが手助け 5 11.6
忙しくなった 1 2.3
理由なし 6 13.9
 
<表6>病状進行による不使用の状況
名称 症状
片手用棒針編み機 片マヒ
包丁付きまな板 片マヒ
包丁付きまな板 CP
グリップつきスプーン 全身マヒ
グリップつきフォーク 全身マヒ
手に優しい洗濯バサミ RA
持ちやすい箸 全身マヒ
片手用爪切り CP
片手用爪切り 網膜剥離
片手用まな板 片マヒ
インターホン ALS
電動歯ブラシ ALS
ラジオのつまみ回し ALS
キーボードカバー ALS
キーボードカバー CP
台付き爪切り RA
鉛筆ホルダー 全身マヒ
 
<表7>その他、不使用の理由
名称 製作年 症状 理由
足の爪切り 12 RA ヘルパーに頼む
片手用刺繍枠 7 片マヒ 忙しくなったので
片手用棒針編み機 10 片マヒ 使い方が分からない
片手用まな板 8 片マヒ ヘルパーに頼む
キーボードカバー 9 CP 足で打つようにした
コップスタンド 6 全身マヒ 壊れた
台付爪切り 10 全身マヒ 壊れた
片手用爪切り 12 片マヒ 使いにくい
点眼器 11 RA 家族がやってくれる
電話機スタンド 7 ALS 手ぶらフォンに替えた
ペットボトルホルダー 9 CP 壊れた
包丁付きまな板 13 片マヒ ヘルパーに頼む
片手用棒針編み機 9 片マヒ 使い方が分からない
片手用棒針編み機 5 片マヒ 使い方が分からない
ボタンエイド 7 片マヒ 家族がやってくれる
持ちやすい箸 10 RA 使いにくい
木琴の棒 7 知能障害 壊れた
リーチャ― 11 CP エレベータの設備改善
リリアン風編み機 8 片マヒ 壊れた
 
 このような「使われていない」理由のいくつかを、後に行う訪問実態調査の結果と合わせて、今後の自助具作りにどう生かしていくかが、私たちボランティアグループ「大肢協 自助具の部屋」だけでなく、全国の自助具製作グループの責務と考えております。







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