―資料―
増大する保育需要に対応するための主な規制緩和
(平成15年8月19日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局会議資料より)
1 定員の弾力化
・4月は定員+15%まで・5月以降は定員+25%まで受入許容
・10月以降は保育士数や部屋面積等の基準内で定員と関わりなく受入許容
2 設置主体制限の撤廃
従前・市町村と社会福祉法人に限定していた保育所設置主体の制限を撤廃し、NPO、株式会社、学校法人なども保育所設置が可能に
12年3月〜15年4月 株式・有限会社立28件等合計106件
3 賃貸方式の許容
従前、自己所有が原則だった土地建物について民間からの貸与を許容
12年3月〜15年4月 土地貸与126件、建物貸与51件
4 小規模の保育所の設置促進
(1)保育所分園の導入(10年)
平成14年において、分園の定員規制(従前30人未満)及び分園数規制の緩和(従前2まで)、分園のみの民間委託の容認(公立保育所のみ)、分園を活用した夜間保育の容認
(開所時間の柔軟化)
10年4月〜15年3月 180件
(2)小規模保育所の最低定員を30人から20人に引下げ(12年)
20人〜30人の保育所 12年3月〜15年4月 42件
5 公設民営方式の促進
(1)児童福祉法改正により公設民営促進を規定(13年)
(2)民間貸与を目的とした自治体による保育所整備を補助対象化、公有財産活用・PFIマニュアルを策定(13年)
14年8月現在累計406件
6 家庭的保育事業の導入
保育者の居宅で少人数の低年齢児の保育を行う家庭的保育事業を導入、14年度予算においては、補助者を設置した場合の受入可能児童数を拡大(3人→5人)
7 待機児童の多い地域における設備基準の弾力化
・園庭は付近の広場や公園で代用可とする扱いを明確化
・0、1歳児を受入れる場合の1人当たりの部屋面積を明確化
8 防火・避難基準の緩和(15年)
(1)保育室等2階設置の場合における準耐火建築物の許容(従前耐火建築物)
(2)保育室等2階以上設置の場合における階段等に係る規制の緩和
(3)スプリンクラー等設置の場合における調理室の防火区画制限の撤廃
9 短時間勤務保育士の導入の拡大
保育士定数に占める短時間勤務保育士(1日6時間又は月20日未満)の割合に係る規制(従前保育士定数の2割)を撤廃(14年)
10 会計処理の柔軟化
・保育所施設・設備整備積立金を同一の設置者が設置する他の保育所施設費へ充当することの容認(明確化)
・弾力支出の拡大(賃借料、送迎用駐車場の借上げなど)
・配当については民間施設給与等改善費の性格上、支給しないことの明確化
※ 保育サービスの量的拡充を進める一方、サービスの質の確保のため、14年度から保育所第三者評価システムを導入。
児童虐待防止対策の充実
(平成15年度予算) (平成16年度予算(案))
4,792百万円 → 16,571百万円
児童虐待防止対策の充実については、予防から社会的自立に至るまでの切れ目ない支援体制の確保を図ることとし、発生予防や早期発見を促進する観点から育児支援家庭訪問事業の創設、要保護児童の自立に向けて児童養護施設の小規模グループケアの推進や自立援助ホームの拡充などを盛り込んでいる。また、虐待をはじめとする子どもと家庭に関する相談体制の見直し、児童福祉施設や里親制度の強化などを内容とする児童福祉法改正法案を次期通常国会に提出することとしている。
なお、平成15年度税制改正に関連した「少子化対策施策」においては、平成15年11月19日の与党における合意を踏まえ、児童虐待防止対策についても推進を図ることとされた。
1 平成16年度予算(案)の内容
(1)予防体制の充実
○ 育児支援家庭訪問事業の創設 2,021百万円
出産後間もない時期や様々な原因で養育が困難になっている家庭に対して、育児・家事の援助や、具体的な育児に関する技術支援を行うことにより、個々の家庭の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図る。
※「家庭訪問支援事業」、「産褥期ヘルパー事業」、「乳幼児発達相談指導事業」の各事業を本事業へ統合する。
957市町村
○ つどいの広場事業の推進 1,588百万円
子育て中の親子が気軽に集い、相談・交流できる「つどいの広場」の身近な場所での設置を推進する。
85か所→500か所
○ 子育て支援基盤整備事業の推進 1,930百万円
地域における各種の子育て支援サービスの一元的な情報収集・提供、利用者への助言等を行う「子育て支援総合コーディネーター」の配置を進めるなど、子育て支援事業の基盤整備を推進する。
250市町村→500市町村
○ 子育て支援総合推進モデル事業 202百万円
(市町村事業)の創設
市町村行動計画において子育て支援を先進的・総合的に推進しようとする市町村をモデル自治体として指定し、全国的な子育て支援施策の取組の強化に資する。
50市町村
○ 保健師資格等を有する人材の活用 23百万円
○ 児童ふれあい交流促進事業 280百万円
698市区→700市区(全国の市及び特別区)
(2)早期発見、早期対応体制の充実
○ 子育て支援総合推進モデル事業 195百万円
(都道府県事業)の創設
地域の医療、法律等専門機関の協力を得て、児童相談所が相談機能の強化を図る等地域の養育力を高める先駆的取組へ補助を行う。
○ 児童相談所カウンセリング強化事業 64百万円
181か所→182か所(全児童相談所)
○ 児童虐待対応強化事業 174百万円
181か所→182か所(全児童相談所)
(3)自立に向けた保護・支援・アフターケアの充実
○ 施設の小規模化の推進
地域小規模児童養護施設の拡充 796百万円
被虐待児等を家庭的な環境の中で養育するため、地域小規模児童童養護施設を拡充する。
40か所→100か所
児童養護施設の小規模グループケアの推進 1,502百万円
施設内において他の入所児童への影響が懸念される等手厚いケアを要する児童を対象に、小規模なグループによるケアを行う体制を整備し、これに対応した職員を配置する。
「地域小規模児童養護施設」とあわせ全児童養護施設に少なくとも1単位の小規模ケアを実施。
独立行政法人福祉医療機構融資の特例措置の延長
児童養護施設の改築等及び情緒障害児短期治療施設、児童家庭支援センターを新設するための整備に係る費用を独立行政法人福祉医療機構から借入れた場合、借入金の無利子及び融資率の特例措置の期限を1年延長する。
(特例措置の期限)平成15年度末→平成16年度末
○ ケア担当職員の質的・量的充実
家庭支援専門相談員 1,865百万円
(ファミリーソーシャルワーカー)の配置
児童養護施設等の入所児童の早期家庭復帰等を図るため、施設入所前から退所まで、更には退所後のアフターケアに至る総合的な家族調整を担う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)を配置する。
※児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設の全施設へ配置。
被虐待児個別対応職員の配置の拡充 1,693百万円
虐待を受けている児童の施設入所の増加に対応するため、従来より児童養護施設に配置していた被虐待児個別対応職員の拡充を図るとともに、母子生活支援施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設にも配置する。
※児童養護施設:定員50名以上の施設への配置要件を全施設配置へ拡大母子生活支援施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設は全施設配置。
乳児院への自立支援のための職員の配置 123百万円
乳児院の入所児童の年齢延長を検討することに伴い、平成9年度児童福祉法改正こおいて乳児院以外の施設に配置された入所児童の自立支援のための職員を全ての乳児院にも配置する。
被虐待児受入加算の創設 1,170百万円
児童養護施設等に入所する被虐待児にきめ細かな支援を行うための心理療法担当職員等の確保の経費に充てる加算を創設する。
母子生活支援施設特別生活指導員加算の対象拡大 146百万円
障害のある親等処遇が困難な母子に対する支援を充実するため、現在、定員規模30世帯以上の施設を対象としている特別生活指導費加算の定員規模要件を撤廃し、そうした入所者がいる全ての施設を対象とする。
18か所→151か所
○ 里親支援の拡充
専門里親75人→124人(保護人員) 112百万円
里親への生活援助等や里親相互間の援助 338百万円
里親の養育負担を軽減するため、児童相談所において研修の上登録された者を、里親からの援助の求めに応じて派遣する里親養育援助事業を創設するとともに、里親自身の養育技術の向上等を図る里親養育相互援助事業を実施する。また、専門里親に対する専門的な研修(応用研修)の実施か所数の増を図る。
※ 里親養育援助事業 60県市
里親養育相互援助事業 732か所
専門里親研修 10県市→60県市
○ 総合的な自立支援の拡充
自立援助ホームの拡充 114百万円
自立援助ホームのか所数の増を図るとともに、虐待などを受けた経験から人間関係がうまく築けないなど自立に向けた指導が必要な児童に対し、就労先の開拓や住居の確保、関係機関との調整等対外関係調整について一層の体制を整備するため、対外関係調整事業を創設する。
19か所→40か所
自立促進等事業の創設 112百万円
児童養護施設等の各施設における入所児童の処遇に関する創意工夫や入所児童等の努力を反映した自立促進につながる事業及び早期家庭復帰につながる事業を促進するため、自立促進等事業を創設する。
(例えば、情緒障害児短期治療施設において、施設退所後の生活がスムーズに行えるよう生活指導を行う等の先駆的事業に補助。)
施設退所児童等に対する就職・就学を促進のための生活福祉資金の貸付け
施設退所児童等の自立に資するため、生活福祉資金制度を活用して、退所後の児童がアパートを借りる際の当面の間の賃借料や就学に必要な資金等の貸付けを行う。
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