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保育界(平成16年2月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


―シリーズ・保育研究(20)―
保育所は重要な時期と実感
 「三つ子の魂百までも」ということわざの通り、人間の性格とは三歳までの間に過ごした生活環境によって大きく変化します。三歳までの間に両親や私たち保育に関わる者達が楽しい雰囲気で、子育てすると子どもの脳が〈楽しい〉と察知し、細胞が活発に発達し将来的には社交的な性格になっていく例が多いそうです。子どもは、生活している環境の中で起こる事柄を敏感に感じ取って反応しています。乳児であっても、両親が近くでケンカをしているとストレスを感じ、脈拍が高くなっていきます。また、幼児期の脳の細胞は叩くなどの強い衝撃を与えられると、連鎖して成長していく細胞が、衝撃で一度途切れてしまい、乳児期の脳の神経細胞の発達が遅くなってしまうそうです。
 私たち保育所は、子ども達が成長していく重要な時期に携わっています。こうした時期に地域や保護者から信頼されて預けられていることを実感するようになりました。子ども達がその多くの事を感じ取り、成長をする時にもっといろんな体験をする機会をつくり、子ども達の活発な発達の一つの助けになればと思っています。
 
ピンク色の雲
 私のいる保育所では、七月末になると年長組の子ども達はお泊まり保育をします。まず親子一緒に遠足へ行き、自分たちでおせんべいを焼いてその場で食べる等の体験や、公園の周りにいくつも伸びる散策路を歩き、山の中でいろんな昆虫を捕まえ、池や小川の流れの中に生き物を探したりと子ども達は大はしゃぎです。そして遠足を終えて保育所に戻ってくるとお泊り保育の準備をします。自分たちで食材を切ったりして晩ご飯のお手伝いをします。天気が良いと外で子ども達とバーベキューをして夕食になります。その日は天気も良く、みんなで園庭に机を並べそれぞれが作ったランチョンマットに、自分たちが作ったおかずを並べて食べているときの事でした。私と同じテーブルに座ったナナちゃんが空を見上げて私に言いました。「先生、空の雲は白いのに、少しだけピンク色した雲があるよ。」私が空を見ると、雲の一部に夕日が当たり薄く赤い色に染まった雲が見えました。「本当だね〜」などと話しをしていると、他の子ども達も空を見上げて「本当だ〜、ちょっとだけピンクの雲がある〜」と、次々と子ども達の間を空の雲の形やピンク色の雲の話題が広がっていきました。風に流されて形の変わっていく雲を見ながら、ナナちゃんは「ピンクの雲が小さくなった。空もお腹が減って食べちゃったのかな?」と言うと、周りからも「そうだね、おにぎりの形してるもんね。」とか、「ちがうよ、ジャガイモの形だよ。」という声が上がります。そんなお泊まり保育での子ども達の反応に改めてビックリし、そして嬉しくなりました。
 子どもの感性をのばすために特別なカリキュラムや定義というものは無いかも知れません。そして、子どもを取り巻く保育環境もそれぞれ違っています。そして保育所に入所した子どもも、保育所だけでその子どもの性格が形成されると思ってはいません。しかし、現代の子育て家庭を支援する代表である保育所として、子ども達に少しでも多くの体験や、発見をする機会を増したいと思っています。
 
子どもは小さな探検者
 私の保育所は青森県にあり、沢山の自然がまだまだ残っています。自然環境については同じ市内の保育所でも、繁華街に近い場所にある保育所に比べ、恵まれた環境の中に立地していると思います。
 保育所の近くに裏山と呼ばれている山が有ります。山といっても子ども達でもすぐに登っていける位の小さな(低い)山ですが、保育所の子ども達が園外保育をする時には、最高の遊び場となります。山の上には三つのベンチと簡単な滑り台しかない小さな公園として整備されています。しかし、子ども達は滑り台には目もくれず、自然の中で自由に遊び道具を見つけます。裏山の公園には林の中に伸びている細い山道が有ります。道は奥へ進んでいくと回ってまた公園に戻れるようになっていて、その細い山道をみんな一緒に小さな探検に出発します。子ども達が二列になって進んでいけるくらいの山道ですが、整地されている訳でもありませんし木の根などでデコボコした道になっています。
 年長組の子ども達と年少組の子ども達で山道を探検に行った時に、私もついて行った事があります。保育士が「年長組さんは、年少組さんが転んだりしないように、一緒に歩いてね。」という言葉で、兄弟の居ない子どもでもお兄さん・お姉さんの表情に変わり「あぶないよ、大丈夫?」「こっちだよ」と声かけが始まります。そんな小さな探検で子ども達は新しい発見をし、「せんせ〜い、あの木の実!取ってきて良い?」「松ぼっくりが落ちてる〜!」と列のあちらこちらで歓声が上がっていきます。木に囲まれてちょっぴり暗くなっている林の中、木漏れ日の中に子ども達の宝物が照らし出されます。山道から戻ってきた子ども達の手は、小さな探検で発見した宝物や遊び道具で一杯になっていて、他のクラスの子ども達や保育士に駆け寄って「きれいな木の実があったからあげる。」「こんな形の葉っぱもあったよ。」と宝物をわけてくれたり、探検での出来事を目を輝かせて話してくれます。
 私たち大人が何気なく見過ごしているようなことも、子ども達にとっては大きな発見になり、沢山の新しい遊びに変わります。時には、「せんせ〜、芝生の植えに寝転がってみて!空がすごく綺麗だよ。」「ものすごいスピードで雲が泳いでるよ。」とクラス全員で、芝生の植えに寝転がることも有るんですよ。
 保育士が目のゆきとどいた保育をしているという事が全てでは無いと思いますが、子ども達が感動する新しい経験をし、そのなかの小さな発見を大事にするということは、保育の中に少なからずともゆとりが必要なのではないかと思います。保育所の行事の中、子ども達と一緒に毎日小さな発見を繰り返している保育士にとても感謝し、これからも保育に対してのゆとりを大切にして欲しいと思います。私もこれからの保育について考えるべき重要な部分になるのではないかと思います。
 
PTAからPTCAへ
 私が保育に携わって五年経ちましたが、保育とはどのように考え保育事業を進めていくかという自分自身の考えが、なかなかまとまらない状態でいます。自分の子どもも保育所に通わせながら、子どものための保育を考えたり、県内や日保協の保育所の先生方と出会いの中で、自分の中の保育の目標を見つけようとしています。
 以前、保育所は子どもに対して日常生活に必要な生活習慣や態度を養ったり、心身の発達をはかるだけではなく、子育てをしている保護者に対してのコミュニケーションも子育て家庭に対しての支援も、これまで以上に大切にしていく必要があるのではないかと聞いたことがあります。保護者から保育所に対しての要望はよく保育所に寄せられますが、他の先生方によると保育所の側から保護者に対しての要望もいろいろ有るのではないでしょうか。
 私の住んでいる地域では、私と同じように保育所を卒園し、今では保護者となっている方も沢山います。そんな方々とは小学校・中学校の同級生であったり、先輩・後輩であったりという関係だったりもします。そんな保護者の方と話すと出てくる話題は、「最近、子ども達の精神的な不安定さが目立つ。」「自分たちが小さかった時には、地域全体が子育てをしていたように思う。」ということがあります。保育関係の研修会などで、これからの保育所はもっと地域密着の活動をしていく必要があると言われます。よく小学校ではPTA(Parent-Teacher Association)と言われますが、小学校や中学校だけではなく、これからは地域コミュニティを含めた、PTCA(Parent-Teacher-Community-Association)の考え方が必要だと思います、学校・保育所と保護者という括りではなく、もっと地域の大人が子ども達(自分の子どもだけではなく、近所の子どもに対しても)に関心を持ち未就学児だけでなく、小学生・中学生に対しても同様に、悪いことは悪い、良いことは褒めて伸ばしてあげるといった事が必要だと思います。学校でのゆとり教育は早々と見直されましたが、これからの日本を背負って立つ子どもたちに対して、ゆとりをもって子育てをそして保育をしていく事が大切だと思います。
(保育内容部会 杉本)
 
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TEL029-292-6868
FAX029-292-3831
Eメール iinuma-n@ans.co.jp
保育総合研究会事務局
 
 
 
国民会議委員として日本保育協会佐々木理事長が出席(首相官邸)
−少子化への対応を推進する国民会議(第五回)−
 平成十五年十二月八日、「少子化への対応を推進する国民会議(第五回)」は内閣総理大臣官邸の大会議室で開催され、保育団体を代表して、佐々木典夫日本保育協会理事長が少子化への取組みについて報告を行った。以下その概要である。
 
 日本保育協会の取組みについて、ご報告申し上げます。
 日本保育協会は、民間保育所を会員として、「児童福祉の増進と保育事業の向上」を目的として活動している団体で、創立四〇年になります。
 保育に関する相談、調査研究、情報提供、研修などを行っていますが、特に保育従事者の研修事業には力を注いできております。また、法定資格となった保育士の登録業務を都道府県知事の委託を受けて今年から開始しており、第一陣として改正法施行日の十一月二十九日付けの保育士証を二一万人の方にお届けする運びとなっております。
 このほか、六千三百施設の会員と全国に五五支部を擁しておりますので、機関紙「保育界」やファクシミリネットワークサービスを活用して、制度や施策の普及啓発を行うなど、国の施策に積極的に協力いたしております。
 以下、三点に絞って申し上げます。
1 まず、保育所待機児童ゼロ作戦の受け皿としての積極的取組みです。
 新エンゼルプランや保育所待機児童ゼロ作戦により、保育所の受け入れ増が図られておりますが、なお、厚生労働省の調査によれば、平成十五年四月一日現在の認可保育所の待機児童は、前年より増えて、二万六千人余、その七割近く(六七・八%)が低年齢児(ゼロ、一、二歳児)であります。
 低年齢児保育や時間延長保育に、これまで、民間の保育所は積極的に取り組んできております。因みに、低年齢児入所児童数の六割弱(五七・三%)は民間の保育所を利用しており、民間の保育所の七割以上(七三・三%)は時間延長保育を行なっております。政府の待機児童ゼロ作戦等の推進方策に沿った予算措置や規制緩和措置を活用して、民間保育所の柔軟さを発揮し、待機児童解消に積極的に取り組んで参る所存であります。
2 第二は、地域子育て支援センターや一時保育の取組み強化であります。
 平成七年からのエンゼルプラン以来、保育所の地域子育て支援の事業が進められておりますが、民間保育所で、地域子育て支援センター事業を行うのは千箇所余(一〇八二)、一時保育は三千箇所弱(二八三七)にとどまります。児童福祉法改正(十五年七月)により、保育所は、保育サービスの供給主体としてのほか、地域の子育て支援の拠点としての期待も大きくなっておりますので、一層の普及拡充に努めたいと考えます。
3 三点めは保育従事者の資質向上のための研修であります。
 研修に関しては、昭和三七年創立以来、理論と実際の現場主義に徹した研修に取り組んできました。(所長研修、主任保母研修など)
 昭和四〇年代後半から、厚生省との共催の国庫補助事業となって発展しまして、民間保育所職員だけでなく公立保育所職員も含めた研修を実施してきております。
 国庫補助事業(即ち、厚生労働省との共同主催研修)としては、初任保育所長などの所長研修、乳児保育研修、障害児保育研修、地域子育て支援センター担当者研修、主任保育士研修などがあります。十四年度の参加者は四千百名(四一二七)。当協会単独及び民間団体補助事業研修を含めると参加者は七千二百名(七二〇六)になります。
 また、それらの中で、児童虐待防止問題などは積極的に取り入れております。
4 以上、三点に絞って申し上げました。日本保育協会は、民間保育所の長所を発揮して、利用しやすく、質の高い、頼りになる保育所作りに、引き続き、会員一丸となって取り組み、次世代育成支援の大切な役割の一端を、しっかりと果たして参りたいと存じます。
 
 
 
教育的配慮を望む
 先日近くのスーパーに買い物に出掛けた時、その店内に張り出されていた市内の幼稚園・保育園の園児達の絵を見ることが出来た。市内全ての園が作品を出している訳ではなく、ある全国的な作品展に応募した市内の作品を展示したものだった。
 入賞・入選した作品は一つのコーナーにまとめて展示されていたが、驚くことに特定の保育園のみが独占していた。色の明るさ、色の種類の多さ、生き生きとしたタッチなど、一般的には幼稚園の方が幼児教育の専門家であるはずなのに、意外な結果を露呈していたのだった。
 しかしよく考えると、何のことはない。幼稚園だから優れていて保育園だから劣っている式の認識が、いかに愚かなものかを物語っているだけなのだ。
 カントの教育学に、「人間とは教育されねばならぬ唯一の被造物である。人間は教育によってのみ人間になることが出来る。同じく教育された人間によって」との一文がある。教育を受け、物事を正しく理解した人の指導を受けた子らは、その『教育的指導』によっておのずと天賦の才能を発揮する様になる。指導者の如何によって変わるとするならば、要するに大切なのは指導者だと言うことになるだろう。
 教員を務めていた両親からは、『教育とは人格の形成である。人格性の核心は道徳性であり、道徳性の根本は自己抑制性能であり、それはすなわち意思の力である。そして意思の力は、理性の中核を成すものである。そのような意思、理性は、本来生まれつきもっている能力ではなく、正に実現すべき後天的な能力に外ならないのである』ということと、それを行うためには、『単なる指導ではなく、教育的配慮に基づいた教育的指導が大切だ』と教わってきた。
 ところで、児童福祉法に基づき保育に欠ける乳幼児を保育する保育園では、養護と教育が一体となった保育を実施することによって、豊かな人間性をもった子どもの育成に努めている。
 仮に、養護と教育を、必要性を縦軸にとり年齢を横軸にとって表してみると、出生後高い位置からスタートした養護曲線は、年齢と共に下降し、出生後低い位置からスタートし年齢と共に上昇した教育曲線と、いずれ交差することになる。養護曲線の延長に教育曲線が続くのではない。教育曲線は序々に上昇し養護曲線は序々に下降するが、人間が生身である以上、養護の必要性は決してゼロにはならない。同じ様に教育曲線はゼロから始まるのではない。ましてや三歳から始まるのではないのだ。母親の胎内で、いろいろな器官が整った時から始まっているのだ。
 そしてここで言う教育とは、当然の事ながら人格形成を目指したものであり、単に知識を習得するというものではない。知識は人格形成の糧ともなるが、知識だけに終わることもあるのだ。
 保育園の保育内容には教育的要素が多分にあるにもかかわらず、一般には養護的側面でのサービスが強調されがちである。実に残念なことだと思う。幼稚園と保育園とは教育に携わると言う点で同じ存在だと思うのだが、利用する家庭の状況などから、「似て非なる存在」であることも否めない。
 「幼保一元化」が論じられているが、仮に、少ない人数で、一つの部屋で、家庭の都合がそれぞれ違う子が、方や早く来て遅く帰り、方や遅く来て早く帰る、そんな中で各種行事を行う保育士など、実に落ち着きのない中で心豊かな子を育成しなければならないとなると、決して教育的配慮があるとは思えない。
 果たしてこれからどんな案が出て来るのだろうか。経済的配慮も必要だが、まずは教育的配慮を望みたい。
(夢井 仁・フリーライター)S







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