日本財団 図書館


―速報―
―日保協速報15・12・24―
総合規制改革会議が答申を提出
 内閣府総合規制改革会議(議長:宮内義彦オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEO)では、規制改革に関して、「規制改革の推進に関する第三次答申−活力ある日本の創造に向けて−」をまとめ、十二月二二日に首相に提出しました。二六日にこのまま閣議決定される予定です。
 具体的な施策としては、総合施設の設置を平成十七年度中に試行事業として先行実施することとし、施設整備、職員資格、幼児受入などに関する規制の緩和を現行の幼稚園と保育園に関する規制の緩い方の水準以下にすべきとしています。また特区において、保育園と幼稚園の行政の一本化、調理室設置義務の撤廃、入所要件の緩和などをすべきとしています。
 総合規制改革会議の設置期限は来年三月までですが、今後はさらに規制改革を推進し、後継組織への業務の移管を図ることとしています。
「規制改革の推進に関する第三次答申−活力ある日本の創造に向けて−」
 
(抄)
5 幼稚園・保育所の一元化
【具体的施策】
 近年の社会構造就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設を設置する。その実現に向けて、平成十六年度中に基本的な考えをとりまとめた上で、平成十七年度に試行事業を先行実施するなど、必要な法整備を行うことも含め様々な準備を行い、平成十八年度から本格実施を行う。【平成十七年度中に措置】
【現状認識及び今後の課題】
(1)少なくとも構造改革特区において直ちに講ずべき措置
 構造改革特区において多くの提案が寄せられている事項(第一次・第二次の提案を合計すれば、文部科学省関係が五〇項目、厚生労働省関係が六〇項目。六月、十一月の「規制改革集中受付月間」においても、それぞれ構造改革特区の提案は二八項目、三二項目、全国規模の要望は九項目、三二項目。)であることにもかんがみ、幼稚園と保育所については、職員資格の併有や施設設備の共用を進めるのみならず、少なくとも構造改革特区においては、両施設に関する行政を一元化し、施設設備、職員資格、職員配置、幼児受入などに関する基準を統一化すべきである。また、行政の一元化、基準の一元化に到達する前段階として、幼稚園と保育所のどちらか一方のみに課されている規制について、緩和・撤廃すべきである。
 例えば、保育所のみに義務付けられている調理室の設置義務については、規制の趣旨に照らして合理的ではないことから、廃止すべきである。また、就業していない専業主婦であっても、その生活・ニーズが一層多様化していることにもかんがみ、保育所について、「保育に欠ける子」のみならず誰もが入所できるよう、入所要件を緩和すべきである。
(2)全国規模において講ずべき措置
 少なくとも三歳児以上については、幼稚園教育要領と保育所保育指針との内容が同一であり、両施設が同等の教育サービスを提供しているのであれば、幼稚園のみに課されている設置主体制限すなわち株式会社等による設置の禁止について、その解禁を図るべきである。
 また、満三歳から(構造改革特区においては、満二歳に達した日の翌年度四月から)とされている幼稚園の入園年齢制限については、多様化する生活者のニーズを踏まえ、構造改革特区の状況も注視しつつ、この一層の緩和を図るべきである。
 なお、「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」については、全国においてできる限り多くのモデル事業を行うとともに、その施設設備、職員資格、職員配置、幼児受入などに関する規制の水準を、それぞれ現行の幼稚園と保育所に関する規制のどちらか緩い方の水準以下とすべきである。
 
―日保協速報15・12・25―
公立保育所運営費一般財源化に関する通知
 厚生労働省保育課では、十二月二四日、公立保育所の運営費一般財源化に関する取扱いを各都道府県あて通知しました。
 公立保育所の運営費の一般財源化の考え方、民間保育所運営費、待機児童ゼロ作戦との関係などの内容であり以下のとおりです。
 
公立保育所の運営費の一般財源化について
 
(事務連絡平成十五年十二月二四日各 都道府県 指定都市 中核市保育所管部(局)長様宛 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課)
 保育行政につきましては、平素から格別のご理解ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、三位一体の改革(国庫補助金の見直し)の平成十六年度における対応として、公立保育所の運営費の一般財源化が図られたところですが、このことについて、別添のとおり資料をお送りしますので、参考にしてくださいますようお願いします。
 
1 公立保育所の運営費の一般財源化について
 
(1)保育所運営費を一般財源化することについては、公立保育所に限るとした場合であっても、厚生労働省としては慎重な態度を取ってきたところである。
しかしながら、
(1)「三位一体改革」の一環として、
(2)公立保育所については、地方自治体自らがその責任に基づいて設置していることから、今回、公立保育所の運営費に限り一般財源化を行うことを決断したものであり、やむを得ないものと考えている。
(2)なお、今回の見直しによって保育施策が後退することはあってはならず、「税源移譲」と「地方自治体間の財政力格差の調整」が適切に行われ、自治体が必要とする財源が確実に担保されるような措置が講じられるべきであると考えており、地方財政当局にもその旨要請しているところである。
 
2 民間保育所の運営費について
 
 民間保育所については、市町村が設置する公の施設とは異なり、今後とも、引き続き国と地方自治体がそれぞれの責任に応じて負担を行うべきものであると考えている。
 
※ 公立保育所の運営費(一、六六一億円)については、三位一体の改革(国庫補助負担金見直し)の平成十六年度における対応として一般財源化を図ることとされたが、その際に、官房長官、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、自民党政調会長及び公明党政調会長の六者の間で「公立保育所については、地方自治体が自らその責任に基づいて設置していることにかんがみ一般財源化を図るものであり、民間保育所に関する国の負担については、今後とも引き続き国が責任を持って行うものとする」と合意された(平成十五年十二月十日)。
 
3 待機児童ゼロ作戦との関係について
 
(1)公立保育所については、地方自治体自らがその責任に基づいて設置していることにかんがみ、一般財源化することを決断したものである。
(2)保育所の運営は民間活力の活用を促進しており、最近の保育所の新設・増設については、民間保育所中心に進んでいる。
(3)こうした中、待機児童ゼロ作戦については、
(1)一般財源化分についてそれに見合う適切な財源措置が行われること
(2)保育所整備に対する支援は、公立・民間含め、今後とも引き続き行うこと
(3)延長保育など多様な保育サービスの提供のための政策的な補助金については、今後とも引き続き補助を行うこと
としており、今後とも引き続き、待機児童ゼロ作戦を強力に推進してまいりたい。
 
―日保協速報15・12・26―
認可外保育施設の現況を公表
 厚生労働省保育課は、十二月二五日、認可外保育施設の現況をまとめ、公表しました。その概要については以下のとおりです。
 届出制が導入されたこともあり、施設数は全国で六、八四九か所と対前年度七三八か所の増、入所児童数は一七八、九四四人で、対前年度九、八二六人の増となっています。都道府県別施設数・入所児童数などの全文は日本保育協会保育情報ファクシミリサービス 各種調査・統計 情報番号三八番に掲載しています。
 本調査は、各都道府県、指定都市、中核市(以下「都道府県等」という。)からの指導監督の実施状況の報告に基づき、厚生労働省保育課でとりまとめを行ったものである。
 なお、市町村が設置しているへき地保育所及び事業所等が職員の福利厚生などのために設置する事業所内保育施設は除いている。
 
認可外保育施設の現況(平成十五年三月三一日)現在
 
《概要》
 
I 認可外保育施設の施設数及び入所児童数の状況
 
1、施設数(六、八四九か所)
●届出制の導入等もあり、施設数は増加。(対前年度+七三八か所、増加率+十二・一%)
※新設七〇二か所、新規把握五八〇か所、廃止等△五四四か所
●少子化が進む中で、認可外保育施設は施設数・入所児童数とも、近年、増加傾向。
2、入所児童数(一七八、九四四人)
●入所児童数は増加。(対前年度+九、八二六人、増加率+五・八%)
●ゼロ−二歳児八一千人、三歳児以上(学童を除く。)九八千人。
〈参考〉事業所内保育施設の状況
●長期的な傾向として、施設数、入所児童数とも緩やかな減少傾向。
 
II ベビーホテルに対する指導状況
 
1、ベビーホテルの保育時間及び時間帯別入所児童数
●ベビーホテルに分類される認可外保育施設のうち約四割が宿泊を伴う保育を実施。
●ベビーホテルに入所している児童の約七割が主に昼間(概ね午前八時から午後八時まで)預けられている。
 
2、ベビーホテルに対する点検の実施状況
(認可外保育施設の届出制の導入、指導監督の強化などを内容とした児童福祉法改正に基づき、平成十四年十月から新たな基準の「認可外保育施設指導監督の指針」及び「認可外保育施設指導監督基準」により立入調査及び指導を実施している)
●ベビーホテル一、三八六か所のうち、立入調査を実施した一、三七六か所の施設について、
・指導監督基準に適合した施設二七〇か所(十九・六%)
・何らかの適合していない点がある施設一、一〇六か所(八〇・四%)
●適合しない項目で多かったのは、
・児童や職員に対する健康診断の実施
・非常災害に対する定期訓練の実施や計画の策定
・保育従事者の常時複数配置 等
●指導監督基準に適合していなかった全施設に対して、文書により改善を指導。
 
III 認可外保育施設に関する情報提供等の取り組み状況
 
●都道府県等は届出制の導入に伴い、認可外保育施設の運営状況に関して、地域住民に情報提供を行うこととされている。
※十三年度末四二か所(八七都道府県等中)→十四年度末八二か所(八九都道府県等中)
 
―日保協速報16・1・15―
総合施設の検討事項が児童部会で示される
 厚生労働省では、本日、第十四回社会保障審議会児童部会を開催し、主要なテーマとして総合施設の具体的な検討に入ることが了解されました。
 同部会では平成十六年度雇用均等・児童家庭局予算と次期国会に提出予定の児童福祉法改正等についての説明があり、その後、別紙の総合施設に関する検討事項案が示されました。
 委員からは「子育て中の方々の選択肢が増えるのであれば意味がある。」「次世代育成支援全体の中で総合施設をどう位置づけていくか。全体の財源のあり方を含めて考えていくべきだ。」「保育の質をどう考えていくか。高い基準を作っていかなければならない。保育士の現任研修の場所をどう保障するか。」など、活発に意見が交換されました。
 今後は、保育園長・自治体関係者・学識経験者らの専門委員を交えて議論がされ、文部科学省中央教育審議会幼児部会と合同での部会の開催も検討する、などが確認されました。
 
総合施設に係る主な検討事項(案)
 
1 総合施設の機能・サービス
・子どもの育ちを支える次世代育成支援及び幼児教育のための施設・サービス
・子育て家庭の多様なニーズに応える施設・サービス
・待機児童の解消に資する施設・サービス等
2 利用
・利用できる者の範囲
・入所の仕組みなど利用方法
3 総合施設の施設・人員・運営の基準
・設置できる主体
・備えるべき構造設備
・従事者が有すべき資格
・職員配置基準
・保育・教育内容及び運営の基準
4 費用負担の在り方
・国と地方の負担など財源の在り方
・利用者の利用料負担の在り方
5 その他
・基盤整備の在り方
・既存制度との関係
・その他
 
 
 
激動の一年と保育予算確保
 昨年は保育界にとって激動の年でした。平成十四年末の予算編成時から保育所運営費の一般財源化の動きがあり、これに対応するため、保育三団体の力を結集して反対活動を展開し、併せて保育議連の先生方のお力添えもあって、十五年度予算では避けられました。
 しかしながら、その後政府の各種審議会で経済効率性重視の観点から幼保一元化、一般財源化問題が再び議論されましたが、このような動きに対し、四月二十三日に保育議連世話人会と予対常任委員会が開かれ、橋本会長が「お金の問題で子どものことを議論するまで、国は落ちぶれたのか」と発言され、大変力強い思いをしました。
 そして、五月二十七日には(子どもの幸せを守るために、日本武道館に八千人の保育関係者が集まり盛大に「子どもを守る総決起大会」が開かれました。会員の皆さんのご協力により、スタッフ一同協会創立してから初めての体験でしたが、大きな大会が無事終了しました。
 その後、六月の骨太の方針(閣議決定)に向け、幼保問題に関し、事前に幼保を統合し最終目標が総合施設という構想が私どもに示されました。急遽我々の見解を強く申し入れるなどの活動を行い、幼・保とは別の総合施設という構想と運営費などの費用負担のあり方を十八年度までに検討すると閣議決定されたものです。日本保育協会のこれまでの運動の成果であり、会員の皆さんのご協力に感謝します。
 九月には、厚労省の研究会が、一般財源化の対抗案の一つとして、保育制度や費用負担のあり方等の提言をまとめ、公表しました。課題もありますが検討に値する内容であるので、検討委員会において提言への意見をまとめるべき現在検討中です。
 そして、十一月十八日の経済財政諮問会議で小泉総理が補助金を来年度一兆円削減すると表明され、厚労省に二千五百億円削減の指示が出されました。このときに、保育所運営費と施設整備費が削減対象になっていたと情報があり、このことが一部の新聞に報道されましたが、保育議連の先生方のご尽力もあって、厚労省では、少子化対策をすすめているときに、保育所運営費は削減できないと生活保護費などを削減する方針が出されました。
 保育所運営費は対象外とされた厚労省案で、三大臣(厚労、総務、財務)交渉が断続的に行われましたが、その席上総務大臣から公立保育所運営費を一般財源化すべきと提案され、同時に一方では地方自治体も税源移譲を前提に保育所運営費削減を提言していました。その後三大臣交渉は平行線のままでしたが、十二月十日政府・与党の協議の場で「公立保育所運営費は一般財源化、民間保育所は国の責任で行う」と合意されました。合意に際し日本保育協会としては、民間保育所運営費への影響を避けるための歯止めが必要であると自民党幹部に強く要請し「民間保育所の負担は今後とも引き続き国が責任を持って行う」と合意され決着したものです。
 補助金削減に際して民間保育所運営費は避けられましたが、来年度でエンゼルプランなどが終了し、併せて総合施設のあり方や子育て支援行動計画がまとまる十七年度予算が大きな山場となり、引き続き保育制度や費用負担のあり方に関し、また一つ厳しい保育の年を迎えるのではないかと思います。
 そして、平成十六年度政府予算は十二月二十日財務省案の内示があり、二十四日政府案が決定しました。保育関係予算は概ね要求が認められ、公立保育所運営費が削減されたことにより総額三五〇七億円と前年度から二八・五%減額となりました。今年の予算も相変わらず厳しい中でしたが、待機児童ゼロ作戦や各保育事業の拡充などが盛り込まれています。
 年末でお忙しいところ予対活動のために上京頂きました予対委員の皆さんには、保育議連の先生方にご報告とお礼をしていただきました。会員の皆さんの日頃の活動は勿論ですが、支部役員の方々の予対活動や各方面への要請活動のお陰であり感謝いたします。
 予算要求は六月二十三日開催の予対常任委員会で要望事項をまとめ、厚労省に要望し、予対活動がスタートしました。与党との連携のもとで、九月上旬財務省に概算要求されました。
 補助金削減の山場を迎えていた十二月二日には、保育議連総会で予算獲得の要請をし、五日に諸先生方が直接財務省に出かけ、保育予算確保のために杉本主計局次長ら幹部に直談判して頂き、その後私ども協会役員が谷垣財務大臣を訪問し、民間補助金を削減しないよう申し入れました。
 このように国会議員の先生方が、真剣に保育問題や予算確保に取り組んで頂けるのも会員の皆さんの日頃の積極的な活動があるからこそ実現できるのです。毎年のことですが、予算の確保運動は日本保育協会にしか出来ない予対活動であり、今年も同様な活動が展開できました。
 会員の皆さんのご支援に感謝するとともに引き続き保育を充実するために組織活動の輪を広げていく必要がありますので、よろしくご協力をお願いいたします。
日本保育協会常務理事
菅原善昭
 
 
 
京都市児童育成計画
―「京(みやこ)・子どもいきいきプラン」について―
京都市保健福祉局 児童家庭課長 岩佐 仁己
 
 近年、少子化の進行や世帯構造の変化、地域コミュニティーの弱体化など、子どもと家庭をとりまく社会環境が大きく変化する中で、家庭や地域における養育機能が低下するとともに、子どもの健やかな成長への影響が縣念されている。
 こうした状況の中で、京都市では平成八年五月に、京都市社会福祉審議会から「子育て支援のための総合的な児童福祉施策のあり方について」の答申を得、また、市民ニーズを把握するために実施した「子育て実態調査」の結果なども踏まえ、平成九年三月に京都市児童育成計画「京(みやこ)子どもいきいきプラン」を策定している。
 この計画は、京都市のすべての子どもたちが元気でいきいきと成長し、また、市民の皆様が“京都で子育てしてほんとうに良かった”と実感できる「子育て支援都市・京都」の実現を目指し、児童福祉施策を中心に、本市が子どもの健全育成と家庭での子育てを支援するために実施する施策についての基本的かつ総合的な計画として策定したものである。
 計画においては、「児童の権利に関する条約」の尊重など五つの基本理念を掲げ、子どもの人権擁護と子育て支援を総合的・一体的に推進するための「子どもネットワーク」の構築、子どもが元気で伸び伸び育つための環境づくり、多様で柔軟な保育サービスの提供、母子保健・医療施策の推進など、二七七項目の事業を盛り込んでおり、児童館の整備などには具体的な目標数値も設定し、平成九年度からの十年間における本市の子育て支援施策の基本指針となるものである。
(参考)
【数値目標設定事業】
(平成十八年度までの目標・資料A
 
資料A
達成率 平成15年度末 目標数値 項目
84.2% 101館 120館 児童館の設置
89.3% 117箇所 131箇所 延長保育の実施
61.1% 22箇所 36箇所 一時保育の実施
 
※当該年度事業完了時の数値
 具体的な施策の例を揚げると、民間施設関係者の協力による保育所の新増設をはじめ、延長保育などの多様な保育サービスの提供また児童館の整備等による児童健全育成のための環境づくり、子育てを総合的に支援する「こどもみらい館」の整備など、安心して子どもを生み育てることのできる環境づくりを推進しているところである。また、京都の伝統を生かした地域や行政区、市域レベルでの重層的な子育て支援のネットワークの構築など、全国的にも注目される多様な取組も進めている。
 さらに、学童クラブ機能を有した児童館については、平成十八年度末までに一二〇館を設置するという目標を掲げ、整備を推進しているところであり、平成十五年度においても、非常に厳しい財政状況の中、新たに二館の整備、二館の設計を行うこととしており、十五年度末には一〇一館を設置し、達成率は八四%となる。
 今後についても、引き続き、子どもの生活圏との関わりや児童数の動向等も考慮しながら、必要性の高い地域での整備を進め、目標の達成に向け、最大限努力していくこととしている。
 また、障害のある児童の学童クラブ事業への受入れについては、ノーマライゼーションの観点から、積極的に進めているところであり、平成十五年度からは、障害のある児童の受入を四年生まで拡充することとし、受入れにあたっては、これまでと同様、障害の状況を把握し、介助者の派遣を基本として実施するとともに、教育委員会の協力も得ながら進めていく。
 なお、放課後対策に関しては、教育委員会が校庭開放や部活動等を、保健福祉局が昼間留守家庭児童に対する学童クラブ事業を担っているところであり、日々の運営において、双方が情報交換を行いながら連携を図っているところである。
 
少子化の現状
 
合計特殊出生率
 急速な少子化は、労働人口の減少、社会保障財政への影響、家族や地域を含めた子どもたちの育成環境の変化など、将来のわが国に多大な影響を与える深刻な問題であり、本市にとっても、都市としての活力や子どもたち自身の健全な育成を阻害しかねない重大な問題であると認識している。
 そのため、子どもを生み育てることに夢や生きがいを持つことができるよう、総合的な少子化対策に取り組んでいく必要があることから、本市においては、平成十三年一月に策定した「京都市基本計画」に基づき、総合的に子育て支援施策をすすめているところであり、延長保育・一時保育等の多様な保育サービスの提供、児童館の整備による健全育成の環境づくり、共助によって子育てを支援するファミリーサポート事業の創設など多様な取組を進めている。
 しかしながら、本市における合計特殊出生率は年々低下しており、平成十三年については一・一六と平成十二年度と比較してもさらに低下し、全国平均の一・三三からは〇・一七ポイント減の状況にあり、様々な子育て支援策を推進しているものの、少子化に歯止めをかけるには至っていない。
(参考)
【合計特殊出生率の推移】(資料B)
 
資料B
13 12 11 10 9 年度
1.33 1.36 1.34 1.38 1.39 全国
1.16 1.21 1.20 1.23 1.23 京都市
 
今後の取組
 このため、これまでの取組をさらに一歩進めた少子化対策が必要であるとの観点から、平成十五年度においては、国において示された「少子化対策プラスワン」も踏まえ、本市独自の少子化対策として「京(みやこ)子どもいきいきプラン・プラスワン」を実施している。
 この事業は、子育てを「共に支え合う」まちづくりに向けて「家庭」「職場」「地域」のそれぞれの視点から、各種の子育て支援施策を実施するものであり、従来の取組の推進と合わせて、総合的な少子化対策に取り組むものである。
 一例を挙げると、前記の各種の子育て支援施策のひとつとして、「共に支え合う『職場づくり』」という視点から育児休業等の普及啓発を積極的に推進していく。
 具体的には、「京都子どもネットワーク連絡会議」内に設置している三つの課題別部会を活用し、新たに企業代表・労働組合代表の参画を求め、「男性・女性がともに子育てをしていくための職場づくり」の実現のための検討や、企業経営者等を対象としたシンポウムの開催なども行っていく。
 さらには、これらの事業を積極的に推進していくための京都市の組織機構として、子育て支援に関する施策を統括し、総合的な推進を図っていくための職として、新たに局長級の「子育て支援政策監」を設置するとともに、「保健福祉局福祉部」を再編し、子育て支援に関する福祉施設を専任する「子育て支援部」の設置を行うことにより、「子育て支援都市・京都」のさらなる推進を図って行く。
 このような状況のなか、平成十五年七月に、地方自治体における新たな行動計画の策定等を盛り込んだ法整備「次世代育成支援対策推進法」が施行され、今後、社会全体出で一層の取組の強化を図っていくことが求められている。
 京都市においても、新たな行動計画の策定を予定しており、すべての市民が安心して子どもを生み育てることができる「子育て支援都市・京都」のさらなる発展を目指していきたい。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION