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3.1.5.3.2 文献調査とブレーンストーミングの結果の例
 RCO候補選定に関する文献調査及び専門家によるブレーンストーミングの結果の一部を、一例として表3.1.5.3.2に示す。
 
表3.1.5.3.2 An example of List of RCMs and Discussion
  No. RCM Convention
/ Standard
Discussions
(A) Current Situation
(B) Concrete measures or example
(C) Cost and effectiveness
(D) Problem in implementation
Notes
Bow
height
1 Review of ILLC ILLC1966 (B) It might be considered with RCM No.2.) - Under consideration in SLF.
- Amendments to rational standards based on ship's motion will be appreciated.
2 Setting up or enhancement of forecastle ILLC1966
(B) Newly setting up forecastle of standard superstructure height or enhancement of height of forecastle with another tier of standard superstructure height
(C) Design trial is needed. Effectiveness may be evaluated in results of tank tests or numerical simulation.
(D) To worsen the navigation bridge visibility. Increase of hull weight in fore part
- ・・・
 
3.1.5.3.3 Step 3の結果
3.1.5.3.3.1 RCO候補の選定
 3.1.5.3.2で取り纏めたRCMの中から、Step 0で設定した問題に対応すること、高いリスク低減効果が期待できること等を考慮してStep 4のCost Benefit Assessmentを実施すべきRCOの候補を絞り込んだ。結果を表3.1.5.3.3に示す。尚、導入済みのRCOの一部(SOLAS XII章等、図中の下線付きのもの)についても、その事後評価並び新RCOとの比較の為に、検討対象に含めている。検討対象としたRCOを簡易なRisk Contribution Treeの中に纏めて図3.1.5.3.1に示した。
 
図3.1.5.3.1 事故原因と事故拡大及びRCOの効果(既に導入されたRCOは下線で示す)
 
●表3.1.5.3.3 List of Risk Control Options used in this analysis
RCO
No.
適用 内容 Included RCMs* 対応する
ハザード
ID in FTA***
11 新造船  150m未満のバルクキャリアに対するRCO10の拡大適用  Same as RCO10  Same as RCO10  Same as RCO10 
11A
11B
21A
21B
就航船
(15年)
150m未満のバルクキャリアに対するRCO20の拡大適用 Same as RCO20 Same as RCO20 Same as RCO20
12 新造船 比重1.00t/m3以下の貨物専用のバルクキャリアに対するRCO10の拡大適用 Same as RCO10 Same as RCO10 Same as RCO10
22A
22B
就航船
(15年)
比重1.78t/m3以下の貨物専用のバルクキャリアに対するRCO20の拡大適用 Same as RCO20 Same as RCO20 Same as RCO20
23
23A
就航船
(15年)
UR S21
(A: +RCO20)
6 1.1.4.7, 4.2.1 WIH000, HCF000 & 020
14
14A
新造船 ハッチカバー固着装置アップグレード
(A: +RCO10)
7, 39 4.2.1 WIH000 & HCF000
24
24A
就航船 ハッチカバー固着装置アップグレード
(A: +RCO20)
7, 39 4.2.1 WIH000 & HCF000
15 新造船 二重船側の強制化
(全貨物倉)
10, 42 1.1.1.1 COR000, CRK000 & DEF000
25A
25B
就航船
(15年)
二重船側の強制化
A案:全貨物倉
B案:1番と2番の貨物倉
10, 42 1.1.1.1 COR000, CRK000 & DEF000
16
****
新造船 倉内肋骨の腐食制御
(新造時に腐食予備厚を増厚、全貨物倉)
9, 41 1.1.1.1, 1.1.4.1 SSF200
51
****
新造船&就航船 倉内肋骨の腐食制御
(10年毎の再塗装を強制化、全貨物倉)
11, 43 1.1.1.1, 1.1.4.1 COR000
52
****
新造船&就航船 倉内肋骨の腐食制御
(船齢20年迄に全ての肋骨下部を新替え、全貨物倉)
11, 43 1.1.1.1, 1.1.4.1 COR000
MSC75/5/2 Annex 6を参照のこと。
** 
See the HAZID Worksheet in MSC72/INF.8.
*** 
ID in FTA means ID number of each branch in fault tree shown in the 図3.1.5.1.1 and 3.1.5.1.2.
**** 
新造時の対策としては腐食予備圧を増加させることを対策としたが、実際の適用にあたっては倉内肋骨下端部における溶接強度の増加も検討する必要がある。
 就航後の倉内肋骨における腐食衰耗進行の制御は、貨物による塗膜損傷等を考慮する場合、これを規則等で要求されている検査のみで維持することは困難で、日常的な保守・整備のみが有効な対策となり得ると考えられる。ここでは日常的な整備をモデル化するものとし、定期的な再塗装を考える。また、整備ができない場合の代替措置としては、腐食早期段階における切り替え(腐食許容衰耗量を小さくする)を考え、これをモデル化するものとして適当な時期が来た時点での一斉切り替えを考える。
Annex7を参照のこと。
 
3.1.5.3.3.2 RCOによるリスク低減量の推定結果
 表3.1.5.3.1及び表3.1.5.3.3に示したRCOについては、リスク低減率及びリスク低減量を推定し、Step 4で検討すべきRCOを決定した。リスク低減率及びリスク低減量の推定結果については、図3.1.5.3.2に示した。尚、前述のHistorical Dataからリスク低減率を求める方法は、専門家判断を用いている。またこの図では、リスク低減量についてはESP導入後のリスクレベルをベースとしたものとしているが、SOLAS XII章適用後の更なる対策を検討する場合には、3.1.5.2で述べたようにXII章適用後のリスクレベルに対応したものとする必要がある。同様に推定したSOLAS XII章適用後を考えた場合のリスク低減量を、主要なRCOについてESP導入後との比較でまとめて表3.1.5.3.4に示す。
 
表3.1.5.3.4 リスク低減量の纏め
RCO ID ESP導入後 SOLAS
XII適用後
備考
RCO10: SOLAS Ch.XII + UR S21 1.40×10-1 ---  
RCO11: RCO10 for small BCs 1.46×10-1 ---  
RCO15: Double side skin
(all C/Hs)
1.47×10-1
(2.27×10-1
5.03×10-2 ( )内の数値はSmall Handyの値
RCO16: 倉内肋骨の腐食制御
(腐食代増)
8.62×10-2
(1.14×10-1
3.07×10-2 同上
RCO51: 倉内肋骨の腐食制御
(塗装管理強化)
7.46×10-2
(9.84×10-2
2.65×10-2
/ 5.98×10-2
( )内の数値はSmall Handyの値
/の後の値は就航船に対するXII章適用船に対する値
RCO52: 倉内肋骨の腐食制御
(切り替え強化)
8.31×10-2
(1.10×10-1
2.95×10-2
/ 6.66×10-2
同上
RCO20: 就航船に対するCh.XII 4.70×10-2 ---  
RCO21: RCO20 for small BCs 8.43×10-2 ---  
RCO23: 就航船に対するS21 5.92×10-3 4.44×10-3 Handy BCのみに対する値
RCO25A: 就航船に対するDouble side skin(all C/Hs) 1.08×10-1
(1.81×10-1
3.77×10-2
/ 8.69×10-2
( )内の数値はSmall Handyの値
/の後の値は就航船に対するXII章適用船に対する値
RCO25B: 就航船に対するDouble side skin(Nos.1 & 2C/Hs) 6.00×10-2
(9.69×10-2
2.09×10-2
/ 4.81×10-2
同上
 
3.1.5.3.3.3 RCOに関する考察及び結論
 最終的には、ステップ2における分析結果を考慮して導入済みのSOLAS XII章関連のRCO(新造船及び現存船)以外に、以下のRCOについてステップ4で費用対効果を検討することとした。
■SOLAS XII章の150m未満のバルクキャリアヘの拡大適用(新造船及び現存船)
■二重船側の強制化(新造船及び現存船)
■単船側構造崩壊による浸水防止対策(新造船及び現存船)
■ハッチカバー構造の強化(現存船)
 
図3.1.6.3.2 RCO適用後のリスクの推定値
(a)新造船用のRCO適用後のリスク推定値
 
(b)既存船用のRCO適用後のリスク推定値
 
3.1.5.4 Step 4; 費用対効果評価
3.1.5.4.1 方法
 FSAガイドラインによればStep4の目的は、Cost Benefit Assessment(CBA)又はCost Effectiveness Analysis(CEA)により、Step3で選択された各リスク制御オプションの適用についての費用対効果を評価し比較することとされている。また、この中では、費用対効果を表す指標として「単位リスク低減量あたりの換算コスト」(CURR)及び、「死者一人を防ぐための換算コスト」(ICAF)等が示されている。
 本研究においては、「死者一人を防ぐための換算総コスト」(GrossCAF又はGCAF)及び「死者一人を防ぐための換算純コスト」(NetCAF又はNCAF)という指標による評価(CEA)を行った。なお、これらの指標は次式にて定義される。
 
 
ここに C: リスク制御オプションの適用にかかる費用
 B: リスク制御オプションの適用による経済的利益
 R: リスク制御オプションの適用によるリスク低減量






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