図3.1.5.2.4 Break down diagram with regard to ship loss due to hold flooding
3.1.5.2.4 リスクモデル
以上の検討結果から、リスク評価及び安全対策を検討するにあたっては、図3.1.5.2.5に示したリスクモデルに絞り込むことにした。
シナリオ1からAccident group-2の“浸水したと思われる事故(詳細不明)”の件数を除いても、計232件の事故が浸水に至っている。Accident group-2は実際にはシナリオ1-1に含まれる可能性があり且つその事故数は比較的多くないことから、これにAccident group-2を加えた形で重大浸水事故の発生確率(ship-yearあたりの発生件数)の上限値として求まる次の値を事故発生頻度とした。
同様に、過去の事故データから導き出される、シナリオ1のPLL(Potential Loss of Life)(死者数/ship-year)の上限値は次のように計算される。
このPLLをサイズ毎に求めたものを図3.1.5.2.6に示す。また、社会的なリスクを表現する一手法であるF-N Curveについて検討した結果を図3.1.5.2.7に示す。F-N Curve中の右下がり直線はMSC72/16で対案されたIntolerable領域、ALARP領域、Negligible領域の境界線である。尚、これらの図には比較のために今回対象外とした火災、爆発等の事故を含めたケースも併せて描いているが、今回対象としている事故カテゴリーが全体の約50%を占めており、重要度の高いことがわかる。サイズ毎にみると、本研究の対の構造損傷に起因する事故では、Cape-sizeとSmall-handyのPLL比較的高い値を示している。この傾向は、F-Nカーブにも表れている。
事故事例分析結果から、浸水区画毎にPLLを求めた結果を図3.1.5.2.8に示した。尚、浸水した貨物倉番号が不明の場合、No.1,No.2及び他の貨物倉への浸水により人命損失に至った事故件数の船型毎の比率を使用して、浸水貨物倉が不明の事故における死者数を割り振って考えている。これによると、No.1 Cargo Holdが初期事象である事故のPLLが比較的大きいことが分かる。
図3.1.5.2.5 A model of serious casualty involving hold flooding
図3.1.5.2.6 サイズ毎のPLL
図3.1.5.2.7 F-N Curves of Bulk Carrier
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