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5. ジブチ
5-1 概要
5-1-1 一般事情
(1)面積:23,200km2(四国の約1.2倍)
(2)人口:65.65万人(2002年)
(3)首都:ジブチ
(4)人種:アファール族、イッサ族
(5)言語:アラビア語、仏語
(6)宗教:イスラム教
 
5-1-2 政治体制
(1)政体:共和制
(2)元首:イスマイル・オマール・ゲレ大統領
(3)議会:一院制国民議会
(4)政府:ディレイタ・モハメド・ディレイタ首相
(5)略史:
1946年:仏海外領土となる。
1977年:仏より独立。グーレド大統領就任
1991年11月:政府軍と反政府軍FRUDの武力衝突により内戦が勃発
1994年12月:政府とFRUDの間で和平合意
1999年5月:ゲレ大統領就任
2001年5月:政府とFRUDの間で最終和平案合意
(6)内政:
 1977年の仏からの独立以来、ジブチ住民の大部分が属するイッサ族(ソマリア系)とアファール族(エチオピア系)の対立を背景とする紛争と、国民融和に向けての努力が繰り返されてきた。
 1991年、政府軍と反政府軍FRUD(アファール系)の武力衝突により内線が勃発。両者間の和平対話が行き詰まる中、グーレド大統領は民主化を推進。1992年9月複数政党制を含む新憲法を国民投票により採択。同年12月国民議会選挙を実施。1993年2月内閣改造、5月の大統領選挙でグーレド大統領が四選された。1994年12月26日政府とFRUD間は和平合意に署名。右和平合意成立を受け、政府は、1995年6月8日内閣改造を実施し、FRUD側から2名が入閣した。1996年3月にはFRUDが政党として正式に公認され、同年11月には和平合意に反対しエチオピアに亡命していたFRUD幹部の帰還も実現した。1997年12月には和平合意後初の国民議会選挙が実施され、連立与党のRPP(進歩人民連合)とFRUDが全議席を獲得し、同月29日新政府が発足した。17名の閣僚の内2名はFRUD。
 1999年2月、グーレド大統領が勇退を表明し、後任候補にゲレ大統領府官房長官を指名した。同年4月に行われた大統領選挙は、民主的な政権交替がなされるかどうかが注目されたが、ゲレ候補は、野党統一候補のイドリス候補を大差で破り、予想どおり、大統領となり、同年5月8日、ゲレ新大統領の就任式が行われた。
 2000年2月、政府と武装FRUDの間で和平枠組み合意に署名がなされ、2001年5月、最終和平案が合意された。2003年1月、総選挙で与党連合が国会の全65議席を獲得した。
(7)外交政策:
 旧宗主国フランスをはじめ、全ての国と友好協力関係維持に努力。近年アラブ連盟の一ヵ国として近隣のサウジ・アラビアを中心とするアラブ穏健派との関係が深い。
 フランスはジブチに海外最大の仏軍基地を有している。これはフランス国内と中東・インド洋を結ぶ重要な中間準備基地である。フランス軍の存在は、内戦を抱える近隣国からの潜在的脅威に対する保障となっている。2001年9月の米国同時多発テロ事件以降は、従来から駐留する仏軍に加え、米、独、西等の軍隊が駐留している。
 
5-1-3 経済
 国土の大部分が不毛で農業未発達。主な収入源は、ジブチ鉄道による収入、中継貿易、ジブチ港の港湾施設サービス、仏軍駐留(約3,200入)による利益。
 同国は、1991年よりソマリア等周辺諸国からの難民・避難民を受け入れている。このうちエチオピア難民については1996年4月までに約5万人が帰還したとされるが、依然として2〜3万人のソマリア難民、エチオピア難民が存在し同国経済を圧迫している。また、経済及び財政建て直しのための緊縮財政を余儀なくされている。1996年4月IMFと構造調整計画に係る融資合意が成立し、合意に基づき公務員改革、兵員解除計画の実施、公営企業の改革等が行われた。2000年3月より貧困削減成長ファシリティーを実施。
 
主要経済指標
(1)GDP: 5億7,200万米ドル(世界銀行2001年)
(2)実質GDP成長率:3.4%(EIU2003年見通し)
(3)国民一人当たりGDP: 890米ドル(世界銀行2001年)
(4)物価上昇率:2.0%(EIU2003年見通し)
(5)失業率:不明
(6)主要産業:ジブチ鉄道、ジブチ港湾サービス(運輸サービス)
(7)国際収支(EIU2003年見通し)
・輸出総額:7,500万米ドル
・輸入総額:3億1,000万米ドル
・経常収支:1,300万ドルの赤字
(8)主要貿易品目
・輸出:再輸出品、現地製造品
・輸入:食料、嗜好品、石油製品、機械
(9)主要貿易相手国
・輸出:ソマリア、フランス、イエメン、エチオピア、アラブ首長国連邦
・輸入:サウジ・アラビア、フランス、エチオピア、中国、イタリア
(10)外貨準備高:8,500万米ドル(金を除く)(EIU2003年見通し)
(11)対外債務:3億3,500万米ドル(EIU見通し2002年)
(12)通貨:ジブチ・フラン(FD)、1米ドル=177.7ジブチ・フラン
 
日本との経済関係
(1)対日貿易(2000年)
対日輸出:211万円
対日輸入:19億1,380万円
(2)主要品目
対日輸出:再輸出品
対日輸入:自動車、タイヤ
(3)日本からの直接投資
なし
 
5-2 海事事情
5-2-1 港湾
 小さな国土の大部分が不毛で農業が未発達なジブチにとり、ほぼ唯一の基幹産業といえるのは、インド洋に突き出す地の利を生かし、近隣諸国に対する貿易の中継点としての港湾サービスである。さらに、石油を産出しない途上国である同国にとり、石油の輸入に係わる施設の充実は、近代化、経済成長の鍵として不可欠である。従って、港湾施設が拡充され、今後の経済発展の基盤として中心的役割を果たしていくことが期待されている。
 ジブチの主要港は、首都ジブチにあるジブチ国際自治港Port autonomie international de Djiboutiである。他にTadjourah港、Obock港がある。
 1998年に勃発したエチオピアとエリトリアの戦争をきっかけに、エチオピアがそれまでエリトリアの港を通していた全ての貨物をジブチ港に切り替えたため、エチオピアとジブチの外交関係が強化され、ジブチ港の貨物取扱量が増加した。
 他方、隣国ソマリアの内戦により、隣接するソマリーランドとの関係が悪化したため貨物輸送量が激減したが、2002年6月のソマリーランド新大統領のジブチ訪問をきっかけに回復の萌が見られる。
 
<Djibouti港>
 
<Tadjourah港フェリーターミナル>
 
<Obock港フェリーターミナル>
 
ジブチ港貨物取扱量の推移
(単位:トン)
  1997 1998 1999 2000 2001
一般貨物 1,428,103 1,530,791 2,159,424 2,313,177 2,253,414
ジブチ向け 197,040 296,271 376,061 389,697 292,318
エチオピアへの輸送 278,351 1,217,961 1,774,859 1,917,805 1,960,284
ソマリアへの輸送 32,469 16,559 8,504 5,676 812
 
ジブチのコンテナー取扱量
  TEUs* 2001 TEUs 2000 TEUs 1999 2000〜2001
の増減(%)
1999〜2000
の増減(%)
ジブチ 190,971 157,990 128,791 20.9 22.7
世界全体 236,698,406 231,689,448 195,261,458 2.2 18.7
*TEUs: 20フィート(20フィートの長さの貨物コンテナー)に相当する単位
 
5-2-2 海運
 
船舶の平均使用年数
(単位:%)
国名 船舶の種類 0〜4年 5〜9年 10〜14年 15〜19年 20年以上 耐用年数
世界全体 船舶全体 22.0 20.9 15.6 13.2 28.1 12.6
タンカー 26.9 18.5 21.1 9.5 24.0 11.6
ばら積貨物船 19.7 23.9 12.8 17.8 25.8 12.7
貨物一般 9.4 13.6 9.8 16.7 50.6 17.0
コンテナー船 31.1 33.9 13.1 10.0 11.9 9.1
その他 14.9 13.1 13.4 9.4 49.2 16.0
アフリカ・サハラ以南
(オープンレジストリー国を除く)
船舶全体 2.7 1.3 2.4 5.5 88.1 22.1
タンカー 2.6 0.0 0.6 0.0 100.0 23.5
ばら積貨物船 5.3 3.5 0.0 0.0 91.2 21.8
貨物一般 1.0 1.4 5.5 17.9 74.3 21.3
コンテナー船 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
その他すべて 4.7 5.2 5.2 7.8 77.0 20.5
ジブチ 船舶全体 8.6 0.0 0.0 0.0 91.4 21.6
貨物一般 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
その他すべて 22.2 0.0 0.0 0.0 77.8 18.7
 
 アフリカ全体の海運状況は、2-2-2 海運(セネガル概要)参照







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