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2. セネガル
2-1 概要
2-1-1 一般事情
(1)面積:197,161km2(日本の約半分)
(2)人口:950万人(2000年)
(3)首都:ダカール(人口約200万人)
(4)人種:ウォロフ44%、プル23%、セレール15%他
(5)言語:フランス語(公用語)、ウォロフ語等各民族語
(6)宗教:イスラム教95%、キリスト教5%、伝統的宗教
 
2-1-2 政治体制
(1)政体:立憲共和制
(2)元首:アブドゥライ・ワッド大統領
(3)議会:国民議会(一院制)
(4)政府:イドリッサ・セック首相
(5)略史:
 14〜16世紀ウォロフ族のジョロフ王国が存在。1895年フランス領西アフリカ連邦形成で首都ダカールが中心地となり、1904年には、フランスが全土を支配。1960年8月独立。9月初代大統領にサンゴール大統領が就任。1981年1月アブドゥ・ディウフ首相が第2代大統領に就任。2002年9月フェリー船「ジョーラ号」が沈没1,863人の犠牲者を出す。
(6)内政:
 独立以来、内政は安定して推移してきたが、長期政権への不満が高まり、2000年3月の大統領選挙では、ワッド・セネガル民主党党首がディウフ大統領を破り大統領に当選した。2001年4月の国民議会選挙、及び2002年5月の地方選挙で与党連合が勝利を収め、ワッド大統領は安定した政権基盤を築いた。
 ガンビアによりセネガル北部と隔離されている南部カザマンス地方では、分離独立を求める「カザマンス民主勢力運動(MFDC)」が武力闘争化し、不安定な状態が続いている。2000年11月には、MFDCと政府の間で停戦のための協議実施が合意されたが、MFDCの内部対立により政府との交渉は進んでいない。
(7)外交政策:
 旧宗主国フランスとの協調を基軸としつつも、多くの先進国とも友好関係を構築する、穏健な現実路線外交を取っている。最近では、非同盟運動G15やG77グループでの活動を通じ、第三世界諸国との関係が強いが、とりわけアラブ諸国との絆は伝統的に強い。中国との関係では、1996年に中国にかわって台湾を承認。なお、セネガルには、仏・セネガル防衛協定に基づき、約1,300名の仏軍が駐留している。
 また、国際機関、とりわけアフリカ連合(AU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)といったアフリカ地域機関へも積極的に関与している。2002年のマダガスカルでの政治危機においても調停役を務める等、紛争解決や人道援助活動でも国際社会と歩調を合わせ積極的な貢献を行っている。ワッド大統領は、「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」策定においてイニシアティブを取り、2001年9月11日の米同時多発テロ事件を受けて「テロ対策アフリカ協定(Pacte africain contre le terrorisme)」の締結を提唱、同協定策定のための首脳級会合をダカールで開催する等、国際社会におけるアフリカのプレゼンス高揚に指導力を発揮している。また、2002年6月にカナダのカナナスキスで開かれた先進国首脳会議(G8)には、NEPAD提唱国の一つとして招かれる等、アフリカにおけるリーダーの一人として国際的に認知されつつある。
 
2-1-3 経済
 セネガル経済は、落花生栽培等の農業が中心で、一次産品価格の低迷等により、財政赤字、国際収支赤字、対外債務問題が恒常化している。このような状況の中で、1994年1月のCFAフラン切り下げ以降、政府が緊縮財政、構造調整、民営化等に努力した結果、経済は上向き、経済成長率は高水準で安定(1995〜2001年にかけて5%台)、物価上昇率も抑制されている(2000年0.7%)。その一方で、構造調整の影響として失業の増加、都市部への人口の集中、貧富の差の拡大等による社会不安も増大しており、失業、貧困対策や経済の多様化が今後の課題となっている。
 
主要経済指標(EIU2003年見通し)
(1)GDP: 62億米ドル
(2)実質GDP成長率:6.2%
(3)物価上昇率:0.6%
(4)失業率:未公表
(5)国際収支:
・輸出総額(商品):12億2,000万米ドル
・輸入総額(商品):17億3,190万米ドル
・経常収支:-2億8,920万米ドル
(6)主要貿易品目(EIU、2001年)
・輸出:魚介類(2億4,000万米ドル)、燐鉱石・肥料(1億1,700万米ドル)、
落花生製品(1億米ドル)
・輸入:食料品(3億5,900万米ドル)、投資材(2億4,200万米ドル)、
石油製品(3億1,700万米ドル)
(7)主要貿易相手国(EIU、2002年)
・輸出:フランス(16.0%)、インド(13.6%)、イタリア(13.1%)、マリ(6.9%)
・輸入:フランス(24.7%)、ナイジェリア(14.5%)、ドイツ(6.5%)、イタリア(5.4%)
(8)外貨準備高:5億5,000万米ドル(金を除く)
(9)対外債務:31億米ドル
(10)債務返済比率:7.9%
(11)通貨:CFAフラン、1米ドル=588.2CFAフラン、1ユーロ=655.9CFAフラン
 
 セネガル政府は、2015年までに貧困を半減させることを目標に、2000年に中間「貧困削減戦略文書」(PRSP)を採択し、2002年には最終版PRSPを策定した。
 
日本との経済関係
(1)対日貿易(2002年)
対日輸出:23億8,623万円
対日輸入:14億1,344万円
(2)主要品目
対日輸出:水産物、採油用の種等
対日輸入:保存用船舶、ブルドーザー等、合成繊維、鉄鉱板、再輸出品等
(3)進出日本企業
守谷商会、兼松、三菱商事、住友商事、戸田建設、大建設計、北野建設、東亜建設工業、山下設計
 
2-2 海事事情
2-2-1 港湾
 セネガル国内の交通網は殆どが首都ダカールに集中している。ダカールは、その有利な地勢により、アフリカ最西端の港として繁栄している。地域的、国際的に重要な貨物中継地であるが、2001年の取引量は810万トンで、コートジボワールのアビジャン港の1,450万トンに及ばなかった。しかし、1999年12月以来のコートジボワールの政情不安により、従来コートジボワールを中継していたブルキナファッソ、マリ、ニジェール行の貨物が、隣国の港を利用するようになった。その結果、セネガルは2002年9月以降、マリ行きの貨物が増えている。
 
セネガルのコンテナー取扱量
  TEUs* 2001 TEUs 2000 TEUs 1999 2000〜2001の
増減(%)
1999〜2000の
増減(%)
セネガル 136,076 133,325 148,740 2.1 -10.4
世界全体 236,698,406 231,689,448 195,261,458 2.2 18.7
*TEUs: 20フィート(20フィートの長さの貨物コンテナー)に相当する単位
 
 セネガル政府が掲げている10大インフラ整備計画の中に、3件の港湾工事が含まれている。これらの計画は国営開発機関(APIX: Agence nationale chargée de la promotion des investissement et des grands travaux)に委託されている。
 
(1)ダカール未来港
 ダカール港の船舶受入れインフラを充実させ、サービスの料金と質を国際的水準に上げるための拡張と近代化工事。
(2)Bargny港
 鉱石運搬船用の港の建設。4,400メートルの防波堤が予定されている
(3)サンルイ港
 1638年フランスの入植者により建設され、1957年まで植民地時代の首都として栄えた。モーリタニアとの国境まで十数キロに位置する(モーリタニアの植民地時代の首都も兼ねていた)。現在、セネガル第3の都市、第2の港町。同港の改修工事が予定されている。
 
アフリカ全体の海運状況
 2002年現在、アフリカ諸国の商船Merchant fleetの海上輸送取扱量は、全世界の0.6%にすぎず(オープンレジストリー国を除く)、そのシェアーは毎年減少傾向にある。しかもこれらの3分の2は、北アフリカ諸国(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、チュニジア)と南アフリカが占めている。残り3分の1の取扱量のうち、半分(アフリカ全体の6分の1)が西アフリカ諸国による。
 
船舶使用年数
 一方、船舶の平均使用年数は世界の平均が12.6年であるのに対し、サハラ以南諸国の平均年数は22.1年と長い。
 
船舶の平均使用年数
(単位:%)
国名 船舶の種類 0〜4年 5〜9年 10〜14年 15〜19年 20年以上 耐用年数
世界全体 船舶全体 22.0 20.9 15.6 13.2 28.1 12.6
タンカー 26.9 18.5 21.1 9.5 24.0 11.6
ばら積貨物船 19.7 23.9 12.8 17.8 25.8 12.7
貨物一般 9.4 13.6 9.8 16.7 50.6 17.0
コンテナー船 31.1 33.9 13.1 10.0 11.9 9.1
その他 14.9 13.1 13.4 9.4 49.2 16.0
アフリカ・サハラ以南
(オープンレジストリー国を除く)
船舶全体 2.7 1.3 2.4 5.5 88.1 22.1
タンカー 2.6 0.0 0.6 0.0 100.0 23.5
ばら積貨物船 5.3 3.5 0.0 0.0 91.2 21.8
貨物一般 1.0 1.4 5.5 17.9 74.3 21.3
コンテナー船 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
その他すべて 4.7 5.2 5.2 7.8 77.0 20.5
セネガル 船舶全体 1.2 0.0 2.5 12.2 84.2 22.2
タンカー 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
貨物一般 0.0 0.0 0.0 64.5 35.5 19.3
その他すべて 1.2 0.0 2.7 8.6 87.5 22.4







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