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5-3 日本政府によるODA実績
5-3-1 日本の援助実績
 日本政府は、ジブチが民主化に向けて努力し、東アフリカ地域において重要な政治的役割を果たしていることから、食糧援助をはじめ、医療、教育、水供給、運輸、放送分野等に対する無償資金協力及びインフラ整備、農業等の分野における研修員受入等の技術協力を実施している。また、同国の構造調整努力に鑑み、1996年度及び1999年度にはノン・プロジェクト無償援助計6億円を供与した。今後とも、同国の経済安定化を支援するため、基礎生活分野、基礎インフラ分野を中心に援助実施を検討していく方針。1999年3月には青年海外協力隊派遣の取極を結び、2000年7月より隊員の派遣を開始した。
 
日本のODA実績
(単位:百万ドル)
  贈与 政府貸付
  無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額 合計
1995年 27.01 1.14 28.15 - - 28.15
1996年 16.75 1.14 17.89 - - 17.89
1997年 10.62 0.81 11.43 - - 11.43
1998年 15.85 1.10 16.95 - - 16.95
1999年 8.54 1.44 9.98 - - 9.98
2000年 12.01 1.92 13.92 - - 13.92
2001年 1.53 1.46 2.90 - - 2.99
出典:「日本政府の政府開発援助、ジブチ」
 
2000年度までの累計
 
・有償資金協力:0円(交換公文ベース)
・無償資金協力:169億9,200万円(交換公文ベース)
・技術協力:13億3,900万円(JICA実績ベース)
  1999年3月に青年海外協力隊派遣取極を締結
  2000年7月青年海外協力隊の派遣開始
 
年度別・形態別実績
年度 無償資金協力 技術協力
90年度までの累計 30.65億円 1.17億円
研修員受け入れ 10人
調査団派遣 32人
機材供与 9.5百万円
91年 6.10億円
放送施設整備計画/医療機材整備計画/食糧援助
0.76億円
研修員受け入れ 7人
調査団派遣 7人
92年 12.24億円
地方村落給水計画(1/2期)/道路機材整備計画/食糧援助/柔道連盟に対する柔道器材
0.88億円
研修員受け入れ 10人
調査団派遣 14人
開発調査 1件
93年 17.22億円
中学校校舎建設計画(1/2期)/清掃機材整備計画/食糧援助/ジブチ・ラジオ・テレビ局に対する教育文化番組ソフト
2.36億円
研修員受け入れ 8人
調査団派遣 33人
開発調査 1件
94年 21.08億円
港湾施設整備計画(1/2期)/中学校校舎建設計画(2/2期)/食糧援助/災害緊急援助
0.33億円
研修員受け入れ 7人
専門家派遣 3人
調査団派遣 2人
機材供与 2.3百万円
95年 7.76億円
地方村落給水計画(1/2期)/港湾施設整備計画(2/2期)/食糧援助
1.31億円
研修員受け入れ 10人
専門家派遣 1人
調査団派遣 23人
機材供与 0.5百万円
96年 22.11億円
地方村落給水計画(2/2期)/食糧援助/道路網整備計画/ノンプロジェクト援助/草の根無償(4件)
1.19億円
研修員受け入れ 11人
調査団派遣 12人
機材供与 11.3百万円
97年 9.53億円
道路網整備計画(1/2期)/消防救急機材整備計画/草の根無償(3件)/食糧援助
0.81億円
研修員受け入れ 13人
調査団派遣 12人
機材供与 224.7百万円
98年 22.10億円
小学校建設計画(1/2期)/食糧援助/道路網整備計画(2/2期)
1.56億円
研修員受け入れ 12人
専門家派遣 2人
調査団派遣 20人
機材供与 17.2百万円
99年 11.35億円
小学校建設計画(2/2期)/食糧援助/ノンプロジェクト無償/草の根無償(4件)
1.16億円
研修員受け入れ 17人
専門家派遣 7人
調査団派遣 11人
協力隊派遣 1人
機材供与 1.9百万円
2000年 3,302万ドル
母子保健強化計画/食糧援助
1,544万ドル
研修員受け入れ -
専門家派遣 -
調査団派遣 -
機材供与 -
2001年 1,426万ドル
ジブチ市都市給水計画
1,242万ドル
研修員受け入れ -
専門家派遣 -
調査団派遣 -
機材供与 -
注)「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力については交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベース
 
5-3-2 海事関係のODA実績
ジブチ港湾施設整備計画
(1)プロジェクトの目的
 ジブチ港の老朽化した港湾整備、特にオイルバースの改修を通ずる船舶の安全・迅速な利用を確保するとともに、利用船舶の増加による収入増加を図る。また、海域の汚染防止や海難事故の未然防止等を充実化させて、ジブチ港の経済的役割の増大を図る。
<プロジェクトの概要>
1. プロジェクト名:港湾施設整備計画
2. 援助形態:無償資金協力
1988〜1989年度 12.03億円
1994〜1995年度 27.27億円
3. 実施機関名:ジブチ港湾局
4. プロジェクト分野:運輸・交通
5. 政策目的または政策の方向性:
経済発展のための基盤整備、基礎インフラの整備
(2)在仏日本大使館による評価報告概要及び外務省の提言
評価実施機関名:在フランス日本大使館
現地調査実施期間:2001年1月29日〜2001年2月2日
 当初の計画通り、ジブチ港のオイルバースが改修され、また、海域の汚染防止・海難救助関連船舶が供与された。今回の現地調査で港湾の関連施設及び船舶を視察したところ、オイルバースは有効に使用されており、関連施設が老朽化により倒壊の危険性に晒されていた状況が改善され、近年の関連貨物取扱量の著しい増大(石油製品の取扱い量は1994年に約35万トンであったが、2000年には約124万トンに増大)が見られた。また、海洋汚染、海難事故の危険性に十分対処する能力が不足していた状況に対しても、日本政府の援助により十分対処し得るようになり、特に大規模な汚染・海難事故等の未然防止に貢献していることが確認された。
 ジブチ港では、自立的運営により諸インフラの整備をある程度自力で進めつつあることから、今後は、港湾インフラの整備等のハード面よりも、むしろ、港湾行政、港湾汚染防止の制度整備等のソフト面に対する支援を考えていくことも有意義であるとの提言がなされた。
 
5-3-3 既供与船舶の現状
現地調査実施機関:ジェトロ・パリ・センター
現地調査実施期間:2004年2月7日〜16日
 ジブチ共和国に対しては、我が国政府開発援助(ODA)により計5隻の船舶を供与している。これらは「港湾施設整備計画(第1期)」(88年度)と「港湾施設整備計画(第2期)」(89年度)の下で無償資金協力として実施された。当時のジブチ側の実施機関は港湾海事省であったが、その後省庁の再編があり、現在は海事局(農業省)と港湾局(設備・運輸省)に分かれ、それぞれが2隻及び3隻の船舶を管理している。(99年5月より、海事局が農業省の傘下となったため、海事局と港湾局の関係が従来ほど密接な関係ではなくなった。)
 供与船舶の概要は以下のとおりである。
(海事局所有船舶)
(1)多目的船「BOURHAN ALI WARKI」号 Ship No. 888
 総トン数:353GT、 L×B×D: 29.5×9.6×4、 引き渡し:1991年2月、
 建造造船所:横浜ヨット
 現状:定期検査のため上架中。よく整備されているが頻繁に使用されている状況とはいえない。
(2)小型救助艇「ALI OUDOUM」号 Ship No. 878
 総トン数:51GT、 L×B×D: 19.2×4.8×2.3、 引き渡し:1989年11月、
 建造造船所:横浜ヨット
 現状:定期検査のため上架中。よく整備されているが頻繁に使用されている状況とはいえない。
(港湾局所有船舶)
(3)油防除船「VEGA」号 Ship No. 880
 総トン数:8GT、 L×B×D: 8.6×3.5×1.6、 引き渡し:1989年11月、
 建造造船所:横浜ヨット
 現状:油防除と言う目的の関係でもともと頻繁に使用されるものではないが、長期間未使用のまま係船されていたため船底が腐食し、2003年夏の強風時に沈船。引き上げ後、廃船処理された。(2000年2月の現地調査時には、操船性がジブチ港湾とマッチングせず、またオイルセパレーターが付いていないことから回収した油が約90%の水分を含んでいるためタンクがすぐに一杯になるとの意見が出された。要請当時はジブチ側にそのような知識が無かったとの由)
(4)パイロット船「ETOILE」号 Ship No. 879
 総トン数:24GT、 L×B×D: 13.9×4.4×1.8、 引き渡し:1989年11月、
 建造造船所:横浜ヨット
 現状:他のパイロット船(2隻)とともに、港内を頻繁に航行し、非常によく利用されていたとのことだが、昨年よりエンジン2機ともに不調のため、係船中。エンジン換装計画中。
(5)もやい船「DORALE」号 Ship No. 887
 総トン数:10GT、 L×B×D: 9.2×3.5×1.6、 引き渡し:1991年2月、
 建造造船所:横浜ヨット
 現状:よく整備されており好調に航行中。
 
<多目的船「BOURHAN ALI WARKI」号>
 
<小型救助艇「ALI OUDOUM」号>
 
<パイロット船「ETOILE」号>
 
<もやい船「DORALE」号>







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