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3.カーボヴェルデ
3-1 概要
3-1-1 一般事情 ―大西洋上に浮かぶ小群島国家―
(1)面積:4,033km2
(2)人口:43.5万人
(3)首都:プライア
(4)人種:ポルトガル人とアフリカ人の混血が70%
(5)言語:ポルトガル語(公用語)、クリオール語
(6)宗教:キリスト教(カトリック)
 
3-1-2 政治体制
(1)政体:共和制
(2)元首:ピレス大統領
(3)議会:一院制(72議席)
(4)政府:ヌヴェズ首相
(5)略史:
 15世紀頃、ポルトガル船が来航。1963年ポルトガルの海外州となる。
 1975年に独立。1985年12月第1回総選挙が行われ、ペレイラ大統領が1991年まで3選された。1991年12月から2001年2月までモンテイロ大統領が2選。2001年2月ピレス現大統領が選出。
(6)内政:
 独立(1975年)以来、カーボヴェルデ独立アフリカ党(PAICV)による一党政治が安定して継続されてきたが、政府が国家建設(行政機構の確立)の基礎が完了したと判断したこと、内外の情勢を考慮した結果、1990年9月、複数政党制が導入された。1991年1月、複数政党制の下で初めての国民議会議員選挙が行われ、新興政党「民主主義のための運動(MPD)」が大勝利を納めた。また、同年2月には大統領選挙が実施され、現職ペレイラ大統領を破りモンテイロ新大統領が選出された。1995年12月国民議会選挙が行われ、大統領の率いる与党(MPD)が大勝、また1996年2月大統領選が行われモンテイロ大統領が再選された。
 2001年1月の国民議会選挙においてはPAICVが勝利を収め、また、同年2月の大統領選挙ではピレスPAICV候補が当選。1991年以降野党の座にあったPAICVが完全に与党の座に返り咲いた。
(7)外交政策:
 独立闘争時代に東側の支援を受けたことはあるが、基本的には穏健な非同盟外交を展開しているが、経済援助を得るための欧米先進国寄りの現実路線を歩む。1998年6月に発生した、ギニアビサウにおける内乱に関しては、当事国間の仲介としての政治的役割を果たしており国際的にも高く評価されている。
 
3-1-3 経済
 小群島国であり、かつ、乾燥気候のため、農業・漁業振興にも取り組んではいるものの、恒常的な食糧不足に直面している他、外国移住者等からの送金がGDPに占める割合が大きい等特徴的な経済構造を有しており、貿易収支の大幅赤字を抱えるが、こうした状況にもかかわらず国際援助を受けつつ経済建設に努めている。
 国家開発計画(第一次(1982〜85)、第二次(1986〜90)、第三次(1992〜95)が順次実施されてきており、続いて経済改善策(国際収支不均衡縮少、行政支出削減等)、社会開発、貧困対策等を目標とした第四次国家開発計画(「1997〜2001年計画の大選択」と命名)を決定した。
 勤勉な国民性であることから、人的資源が開発の原動力であり、アジアNIES諸国を発展のモデルとしている。
 
主要経済指標(EIU、2003年見通し)
(1)GDP: 7億8,170万米ドル
(2)実質GDP成長率:5.0%
(3)物価上昇率:3.0%
(4)失業率:未公表
(5)国際収支:
・輸出総額(商品):4,300万米ドル
・輸入総額(商品):2億8,200万米ドル
・経常収支:-6,500万米ドル
(6)主要貿易品目(EIU、2001年)
・輸出:燃料(2,600万米ドル)、衣類(1,130万米ドル)、魚・魚製品(40万米ドル)
・輸入:食料(9,040万米ドル)、資本財(4,630万米ドル)、燃料(1,540万米ドル)
(7)主要貿易相手国(EIU、2001年)
・輸出:ポルトガル(53.3%)、英(26.7%)、米(13.3%)、
・輸入:ポルトガル(48.9%)、オランダ(9.5%)、イタリア(5.8%)
(8)外貨準備高:8,470万米ドル(2003年見通し)
(9)対外債務:未公表
(10)債務返済比率:未公表
(11)通貨:カーボヴェルデ・エスクード(CVEsc)、1米ドル=98.5CVEsc
 
日本との経済関係
(1)対日貿易(2002年)
対日輸出:293万円
対日輸入:6億1,313万円
(2)主要品目
対日輸出:魚(冷凍)
対日輸入:自動車、バス、肥料
(3)日本からの直接投資(2000年3月末現在)
 特になし
 
3-2 海事事情
3-2-1 港湾
 カーボヴェルデは大西洋上に浮かぶ12の島々からなる小群島国家であり、そのうち3島は無人島である。また、人の住む主要な島は、首都プライアのあるサンチャゴ島(Santiago)、サオ・ヴィセンテ島(Sao Vicente)、サル島(Sal)の3島で、それぞれが約200km間隔で点在している。そのため、これら島間の交通手段及び生活物資の購入は一部小型飛行機によるものを除き、大部分が船舶による海上輸送で行われている。海上輸送は物資の安全かつ円滑な輸送として国民生活・経済により極めて重要となっている。加えて、島々は漁業基地及び遠洋航海路の中継基地として重要な役割を果たしている。船は150〜300GTのものが数隻あり、貨物中心に平均週1回程度これら3島を巡回している。港のない島が4島あり、船は着岸できず沖に停船し手こぎボートで荷物・人をつけるので波の高いこの地域では危険である。もちろん、ボートの出せない日は欠航となる。これまでの海上輸送は不定期であったことと施設の立ち遅れから貿易の発展を妨げてきた。政府は、現在ポルトガル、スペイン、北欧、アフリカ本土の諸国との定期便の設置を手掛けている。
 カーボヴェルデの主要港は、Porto Grande in Mindeloである。首都プライアの港も最近近代化工事が行われた。(その他「3-3 日本政府ODA実績」の項参照)
 
3-2-2 海運
 
船舶の平均使用年数
(単位:%)
国名 船舶の種類 0〜4年 5〜9年 10〜14年 15〜19年 20年以上 耐用年数
世界全体 船舶全体 22.0 20.9 15.6 13.2 28.1 12.6
タンカー 26.9 18.5 21.1 9.5 24.0 11.6
ばら積貨物船 19.7 23.9 12.8 17.8 25.8 12.7
貨物一般 9.4 13.6 9.8 16.7 50.6 17.0
コンテナー船 31.1 33.9 13.1 10.0 11.9 9.1
その他 14.9 13.1 13.4 9.4 49.2 16.0
アフリカ・サハラ以南
(オープンレジストリー国を除く)
船舶全体 2.7 1.3 2.4 5.5 88.1 22.1
タンカー 2.6 0.0 0.6 0.0 100.0 23.5
ばら積貨物船 5.3 3.5 0.0 0.0 91.2 21.8
貨物一般 1.0 1.4 5.5 17.9 74.3 21.3
コンテナー船 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
その他すべて 4.7 5.2 5.2 7.8 77.0 20.5
カーボヴェルデ 船舶全体 3.4 0.0 3.4 3.5 89.6 22.1
タンカー 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 23.5
貨物一般 4.8 0.0 4.7 0.4 90.2 21.9
その他すべて 0.0 0.0 0.0 37.3 62.7 21.1
 
 アフリカ全体の海運状況は、2-2-2 海運(セネガル概要)参照
 
3-3 日本政府ODA実績
 我が国は、カーボヴェルデにおいて市場指向型経済の導入及び民主化が着実に進展していること、依然として開発需要の高いこと等に鑑み、累次の食糧援助、食糧増産援助をはじめとする無償資金協力及び研修員受入を中心とする技術協力により、水産、人的資源、通信等の分野に対して協力を実施している。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針。
 
3-3-1 日本の援助実績
 
日本のODA実績
(単位:百万ドル)
  贈与 政府貸付
  無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額 合計
1996年 3.34 0.30 3.64 - - 3.64
1997年 1.98 0.36 2.35 - - 2.35
1998年 1.75 1.04 2.79 - - 2.79
1999年 6.49 1.97 8.46 - - 8.46
2000年 9.86 0.89 10.74 - - 10.74
2001年 2.63 0.80 3.43 - - 3.43
出典:「日本政府の政府開発援助、カーボヴェルデ」
 
2002年度までの累計
・有償資金協力:0円(交換公文ベース)
・無償資金協力:115億円(交換公文ベース)
・技術協力:13億1,300万円(JICA実績ベース)
 
年度別・形態別実績
年度 無償資金協力 技術協力
90年度までの
累計
40.65億円 4.27億円
研修員受け入れ 14人
専門家派遣 5人
調査団派遣 43人
機材供与 30.2百万円
91年 9.80億円
零細漁業開発計画97/食糧援助/食糧増産援助
0.83億円
研修員受け入れ 1人
調査団派遣 19人
機材供与 5.8百万円
92年 8.79億円
島嶼間輸送船供与/食糧援助
10.71億円
研修員受け入れ 3人
機材供与 10.3百万円
93年 3.00億円
食糧援助/食糧増産援助
0.54億円
研修員受け入れ 6人
調査団派遣 2人
機材供与 7.9百万円
94年 2.50億円
食糧援助/食糧増産援助
0.26億円
研修員受け入れ 6人
95年 3.50億円
食糧援助/食糧増産援助98
0.29億円
研修員受け入れ 7人
調査団派遣 5人
96年 3.55億円
食糧援助/食糧増産援助/草の根無償(1件)
0.17億円
研修員受け入れ 5人
97年 2.96億円
草の根無償(3件)/食糧援助/食糧増産援助
0.92億円
研修員受け入れ 9人
調査団派遣 22人
開発調査 3件
98年 8.50億円
ミンデロ漁港建設計画(1/2期)/食糧援助/草の根無償(5件)
2.02億円
研修員受け入れ 9人
専門家派遣 1人
調査団派遣 37人
開発調査 1件
99年 10.63億円
ミンデロ漁港建設計画(2/2期)/食糧援助/食糧増産援助/草の根無償(6件)
0.57億円
研修員受け入れ 8人
調査団派遣 6人
開発調査 1件
2000年 986万ドル
食糧援助/食糧増産援助/スポーツ機材
89万ドル
2001年 263万ドル
プライア漁港拡張計画/食糧援助/スポーツ機材
80万ドル
注)「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力については交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベース







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