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Transas
所在地(国際本部)
Transas Ltd.
International office
10 Eastgate Avenue
Eastgate Business Park
Little Island, Cork
Ireland
 
Tel: +353 21 4 710 400
Fax: +353 21 4 710 410
E-mail: information@transas.com
 
概要
 Transasは、1990年、Baltic Shipping Companyから独立した船長のグループと、数人のソフトフェア・エンジニアにより、ソ連のレニングラード(現ロシア、サンクトペテルブルグ)に設立された若い企業である。
 
 設立後の10年間で、Transasは少数の熱心な社員のグループから、国際企業集団に急成長した。
 
 Transasの成功は、最新のハイテク航海機器分野にPCの導入を実現したパイオニアであることが大きい。その後、大手航海機器メーカーもTransasに続き、PCの利用がスタンダード化した。
 
 現在では、ドイツ、英国、米国、ロシア、スウェーデン、中国、アラブ首長国連邦、シンガポールに営業・サービス拠点を持ち、世界48カ国に販売ネットワークを持つ。その航海機器製品は民間船4,500隻以上、及び30国以上の海軍、沿岸警備隊で使用されている。また、200ヵ所以上のシミュレーション・センターが、Transasのシミュレーター・システムを利用している。同社はシミュレーター等で航空機器分野にも進出している。
 
 さらに、Transasは7,000種以上のベクトル・チャートを製作・販売しており、ユーザー数は4,000人、販売総数は100万枚を超える。OEM供給にも積極的である。
 
 研究開発活動は主にロシアで行っている。サンクトペテルブルグに技術開発センターを置き、100人以上のソフトウェア及びハードウェア・エンジニアが研究開発に従事している。
 
 2003年には、国際本部を英国サザンプトンからアイルランドのコークに移転。売上等の財務データは公表していない。
 
略史
1990年 ソ連のレニングラード(現ロシア、サンクトペテルブルグ)に設立される。
1991年 Navi-SailorシリーズのプロトタイプであるNavi-Masterを発売。
1992年 Transas Marine(UK)を英国サザンプトンに設立。ソフトウェアの開発、営業販売の国際拠点となる。
1993年 総売上げが100万ドルを超える。
1994年 ドイツ、米国に拠点開設。航海シミュレーター開発プロジェクト開始。
1995年 最初のシミュレーターをフィリピンのSubic Bayに設置。スウェーデン、オランダ、フランスに拠点開設。
1996年 Transasフォーマットのベクトル・チャートがMIR衛星ステーションに搭載される。スウェーデン海軍の戦艦117隻にTransas Navi-Sailorシステム搭載。
1997年 米国海軍特殊部隊がTransasのMaritime Navigation Applicationを採用。
1998年 Transas Aviation Ltd.を設立し、航空機器分野に進出。韓国、英国、フランスで大規模シミュレーター・プロジェクトが完成。
1999年 TransasのECDISが業界初の型式承認取得。船隊管理システムTransas Telematicを発表。
2000年 シンガポールにTransas Marine Pacificを設立。
2003年 国際本部を英国からアイルランドのコークに移転。
(出所:Transasカンパニー・プロファイル、Transas Newsより作成。)
 
主要事業分野
●電子海図
●航海及び航空機器統合システム
●航海及び航空用シミュレーター
●船舶管理システム(Vessel Traffic Management System)
●船隊管理システム(Fleet Management System)
●通信サービス
●OEM供給
 
主要製品(航海機器)
電子海図:Transas TX-97フォーマット
ECDIS: Navi-Sailor 3000 ECDIS
INS: Navi-Bridge
AIS: MT-1 UAIS
シミュレーター:Navi-Trainer、PISCES2(海難、油濁事故シミュレーター)
VTS: VTMS Navi-Harbor、Navi-Traffic、Navi-Monitor
船隊管理システム:Navi-Manager、Fleet View
 
ECDIS: Navi-Sailor 3000 ECDIS
特徴
●DNV Wheelmark型式承認取得。
●ECDISの全機能に加え、付加機能を持つ強力な判断援助、情報ツール。
●AISの「Minimum Keyboard Display」として承認済み。
●Transas電子海図TX-97を初めとし、主要電子海図フォーマットに対応。
●多様なディスプレイ・オプション。一画面上の2つのディスプレイ・パネルを表示し、別々にコントロールすることが可能。
●ユーザー・フレンドリーなシステム。
●各種センサーとのインターフェイス可能。(オートパイロット、ARPA、GPS/DGPS、その他NMEA標準機器)
●船種に応じてカスタム化されたバージョンが利用可能。
●多様なハードウェア・オプション。
●全世界でのサービス、サポート体制。
●独自のオペレーター・トレーニング・プログラム提供。
●IMO、IECのINS性能標準(ドラフトIEC61924)に準拠。
 
電子海図TX-97
 Transasは、ECDISとともに主要事業のひとつとしてベクトル電子海図の自社開発・生産を行っている。2003年8月時点で、各国水路部発行の紙海図をデジタル化した電子海図1万枚以上を販売しており、ほぼ全世界の海域をカバーしている。
 
販売実績
 Navi-Sailorは、30カ国以上の海軍、沿岸警備隊を含め、全世界で5,000システム以上を販売。TX-97フォーマットの電子海図は、既に世界の顧客約5,000人に対し、100万枚以上の販売実績がある。(同社発表)
 
 主要民間ユーザは、Maersk Line、P&O Nedlloyd、Princess Cruise Lines、Chevron Shipping、Seariver Maritime、P&O Stena Line、Stena Bulk、Tor/DFDS Line、V-Ships、Holland America Lines、Northern Shipping Co.等。
 
ユーザー例:Algoma Central Corporation
 カナダ五大湖の最大手船社Algoma Central Corporationは、1995年より同社の運航するAlgoma Central Marine船舶24隻にTransas NaviSailorシステムを採用している。
 
 同社のECDIS導入成功は、その導入方法、トレーニング・プログラムによるところが大きい。同社は、初年度にまず船隊の半分にECDISを導入し、IT技術に強い航海士を選んでトレーニングを始めた。その後、Marine Safety International社と共同で独自のトレーニング・プログラムを開発し、今ではそのプログラムはカナダ政府から標準トレーニングとして認められている。
 
 ECDIS導入初期の問題点は、ENCカバレージの少なさと情報の不正確さであった。Transasのシステムはカナダ水路部(CHS)発行のNTXフォーマットの電子海図、及び米国の電子海図を使用することができたが、米国の電子海図は十分にアップデートされておらず、また詳細が不明確であった。しかし、ECDISが普及するにつれ、ユーザーからのフィードバックや最新GDPS技術の利用により水路部のデータベースも更新されたため、現在ではほとんどのエラーはなくなっている。
 
 同社の指摘するENCの問題点は、国際表示標準に準拠した公式ENCであるS-57チャートは、Transas社発行のベクトル・チャートよりも配色やグラデーションの点で見づらいということだ。1990年代後半にカナダ五大湖で行われたトライアルでは、航海士が同様の苦情を呈し、S-57チャートが改善されない限りはその使用を控えるだろうとの結果となった。それまではS-57チャートの配色や表示方法を、メーカー表示に変更して使用するしかない。
 
 ECDISの効果的な活用方法として、同社は特定の水路の航行データを保存し、同じ航路を使う別の船舶が同社のイントラネット経由でそのデータを利用できるようにしている。
 
VTS: Navi-Harbour、Navi-Traffic、Navi-Monitor
(1)Navi-Harbourシリーズ
 Navi-Harbourシリーズは、完成品として販売されるシンプルでコスト・パフォーマンスの良い小規模港湾向け船舶管理システム。アップグレードが可能。
 
構成機器
●レーダー・センサー
●レーダー・プロセッサー(Navi-Harbour2000、3000)
●レーダー・コントロール・ユニット(Navi-Harbour3000)
●ARPAコンソール
●VHF方向探知機
●AISトランスポンダー
●アンテナ
●Ethernet LAN(Navi-Harbour 2000、3000)
●ディスプレイ・ユニット
 
(2)Navi-Traffic
 Navi-Trafficは、規模の大きい港湾向けの、より複雑なテーラーメイドのシステムである。独立した各種センサー(レーダー、AIS、DF、水位・天候センサー、CCTV、VHF無線・他のVTS等)と上記Navi-Habourのインターフェイス機能を利用している。
 
特徴
●オープン・システム・テクノロジー
●モジューラー・デザイン
●ソフトウェア及びハードウェア完成品の利用を最大化。
●専用ハードウェアの使用は最小限。
●ハードウェアよりもソフトウェア・ソリューションの利用を優先。
●24基までのディスプレイ・ユニット(17〜29インチ画面)の接続が可能。
●レーダー、ECDIS、AIS、DFを複数のウィンドウに同時表示可能。
●20基以上のアラームの接続が可能。
●全データのデジタル記録、再生が可能。
●VTSデータベースはMS SQLサーバーを利用。
●オペレーターによるデータ加工が可能。
●Component Object技術により他のデータベースとのデータ交換が可能。
 
(3)Navi-Monitor
 Navi-Monitorは、2003年11月に発表された中小規模港湾及びオフショア施設向けのトラフィック管理、自動モニタリング・システム。特に、フルサイズのVTSが設置されていない施設のIMO船舶・港湾保全コードであるISPSコードに対応する保全管理に役立つ。
 
主要機能・特徴
●沿岸を航海中の船舶、及びその他の物体のモニタリングと識別。
●航行状況分析。
●プレセットされた項目に従ってアラーム及びメッセージを自動的に送信。
●航行状況データの継続的記録と再生が可能。
●Transas Navi-Harbour VTS技術を用いたPCベースの低価格でフレキシブルなシステム。(30,000ユーロ〜)
●Navi-Harbour VTSシステムへのアップグレードが可能。







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