SAM Electronics GmbH
本社所在地
SAM Electronics GmbH
Behringstrasse 120
22763 Hamburg
Germany
Tel: +49 40 8825 0
Fax: +49 40 8825 4000
E-mail: info@sam-electronics.de
略史
1994年、ドイツのAtlas Werke(1903年設立)と、同様の古い歴史を持つAEG、DEBEG系舶用機器メーカーのSTN Systemtechnik Nordが合併し、STN ATLAS Electronikとなる。
1998年、STN ATLAS Electronikの舶用電子機器部門が、STN ATLAS Marine Electronicsとして独立した。
1999年、Rheinmetall Group(ドイツ)とS.A. SAIT-STENTO N.V(ベルギー)が50%ずつ出資し、持株会社EuroMarine Electronics GmbHを設立、STN ATLAS Marine Electronicsはその子会社のひとつとなる。EuroMarine Electronicsは、通信機器メーカーSP Radio及びSkantiを子会社に持つEuroCom Industries A/S(デンマーク)も傘下に持っており、1999年当時、30企業、総従業員2,500人、総売上8億マルク(約456億円)を有する欧州有数の非軍事舶用機器企業となった。
2003年1月、Rheinmetall GroupはZanitel S.A.(旧SAIT-STENTO)の保有するEuroMarine Electronics全株を買い取り、EuroMarine Electronicsの100%株主となる。即ち、持株会社EuroMarine Electronicsを通じて、STN ATLAS Marine ElectronicsはRheinmetallの100%子会社となった。
2003年11月1日、Rheinmetall Groupは、STN ATLAS Marine Electronicsをドイツの投資会社EquiVestに完全売却。伝統のある「ATLAS」の名称はRheinmetall Groupに帰属するため、STN ATLAS Marine Electronicsは「SAM Electronics GmbH」と正式に改称された。製品名からも「ATLAS」の名称が消える。
事業内容
SAM Electronicsは、造船所及び船会社向けに電気、電子機器関連ターンキー・システムの提供と設置を行っている。同社の特徴は、造船所のパートナーとなり、初期設計段階からプロジェクトに参加し、統合システムを提供することによって、コスト削減と機能の最大化を実現することである。
SAM Electronicsは、グループ企業内外から積極的に個々の機器を調達し、航海機器分野では自ら舶用機器メーカーを超えた「システム・インテグレーター」と位置付けている。同社の提供するシステム構成機器は、全てモジューラー・デザインで、機器間のインターフェイスが可能である。その最新の統合システムは、船橋のオペレーションの主要機能を統合したIBS「Ship Control Centre(SCC)」である。
主要事業分野は以下の4分野。
(1)動力、推進システム:軸発電、ポッド推進システム(DOLPHIN)等。
(2)自動化システム:主機遠隔操作システム。AEGとの共同開発。
(3)航海、通信システム:INS、IBS、AIS、VDR、レーダー、ジャイロコンパス、オートパイロット、防火システム等。
(4)サービス:保守整備、予備品提供、船体改造。
業績・規模
(単位:百万ユーロ)
|
2001年実績 |
2002年実績 |
SAM GmbH |
|
売上げ 受注額 受注残 従業員数(人) |
187 186 266 659 |
185 115 195 635 |
SAM Group(ドイツ内外の子会社を含む。)
|
|
売上げ 受注額 受注残 従業員数(人) |
248 274 326 1,015 |
244 159 241 998 |
|
(出所:SAM Electronics GmbHホームページより作成)
主要製品(航海機器)
INS/IBS: NACOSシリーズ、Ship Control Centre
ECDIS、レーダー:CHARTRADAR 1000、RADARPILOT 1000、MULTIPILOT 1000
VDR: VDR-100
AIS: DEBEG 3400
AIS: UAIS DEBEG 3400
特徴
SAM ElectronicsのUAIS Debeg 3400は、AISとしては世界初の独BSH European Wheelmark型式承認取得に加え、日本、米国、カナダ、中国、クロアチア、ポーランドで型式承認済み。IBSの構成機器として、またはスタンドアローンでの使用が可能。
2003年6月には、BSHによるGPS機能の型式承認を追加取得し、測位センサー機能を公式に持つ初のAISとなった。これにより、UAISは、独立したGPSを使用せずに、VHF経由で12チャネルDGPSデータの受信が可能である。
販売実績
2003年4月時点で、Carnival Cruise Lines、Celebrity Cruise Lines、NCL、Holland America Line、P&O Princess Cruises各社の新造クルーズ船、及び既存クルーズ船へのレトロフィットを一括受注。また、2003年8月現在、NSBのコンテナ船77隻へのレトロフィットを実施中。これまでのDEBEG 3400及びディスプレイ&コントロール・ユニットDEBEG 3401の販売数は、全世界で1,000台を超える。(同社発表)
ECDIS: CHARTPILOT 9330
総合的かつシンプルな機能性を持つECDIS。フレキシブルなシステムであるため、新造船のみならず、船種、クラス、サイズにかかわらず、INS NACOSシリーズの一部またはスタンドアローンのECDISとして既存船へのレトロフィットが可能。
特徴
●EU型式承認、IMO及びIECの性能標準に準拠。
●ベクトル・チャート(IHO S-57、C-Map CM93)及びラスター・チャート(ARCS、Seafarer)両方が使用可能。
●航路計画、モニター機能搭載。
●航海記録及び再生機能。
●CHARTRADAR 1000にチャートと航路を自動転送。
●ECDISとコニングの同時ディスプレイ。
●CHARTPILOTオペレーター・ステーション5基まで接続可能。
●リモート・アクセス機能。
●AIS表示機能を統合。
●UAIS DEBEG 3400の「ミニマム・キーボード・ディスプレイ」として型式承認取得済み。最高50までのAISターゲットの表示が可能。
レーダー:CHARTRADAR 1000
レーダー、コニング、ECDIS機能を統合したシステム。BSHによる型式承認取得済み、及びIMO、IECの性能標準に準拠。
販売実績
2003年6月時点での販売実績200台以上。(同社発表)
レーダー、ECDIS、コニング:MULTIPILOT 1000
レーダー、ECDIS、コニング機能を統合したシステム。スタンドアローンまたはINSの一部として使用。
特徴
●IMO、IEC性能標準に準拠。
●チャート機能付き250mm/340mm RADAR ARPA。
●CHARTPILOT 9930との組み合わせでECDISとして型式承認取得。
●高解像度カラー・グラフイック表示
●最大50までのAISまたはARPAターゲットを自動またはマニュアル・トラッキング。
●ARPAとAISターゲットのデータ統合。
●ビジビリティのユーザー操作オプション機能。
●ENC、C-Map、DirectENC、ARCSの電子海図の使用が可能。
●コニング機能搭載。
●リモート・アクセス機能。
●VDRとのインターフェイス。
●UAIS DEBEG 3400の「ミニマム・キーボード・ディスプレイ」として型式承認取得。
●TRACKPILOTのジョイスティック操作。
VDR: VDR-100
特徴
●IMO決議861(20)に準拠。
●BSH型式承認取得。
●ハードディスク及び最終記録装置に最高24時間までのデータ記録可能。
●多様なバックアップ・データ保存機能。
●緊急バックアップ機能。
●操作が簡単なデータ再生ソフト。
●MSオフィス・アプリケーションで多機能グラフィック分析ツールの使用が可能。
INS: NACOSシリーズ
SAM Electronicsは、1985年以来、INS NACOS(Navigation and Command System)シリーズでINS業界をリードしており、現在のシリーズは、第四世代NACOSである。
同社発表によると、NACOSシリーズは2003年現在、世界の民間船の35%、フェリー及びクルーズ船のINS需要では65%のシェアを誇っている。
NACOSシステムの構成器及び特徴
●標準操作及びワンマン操作用の機能統合。
●RADARPILOT: レーダーとオートパイロット機能を統合した新世代RADARPILOT 1000シリーズを搭載。
●CHARTPILOT: 型式承認済みECDIS。1基、またはバックアップを合めた2基搭載が可能。コンソール型とデスクトップ型。
●MULTIPILOT: ARPAレーダー、ECDIS、コニング、操舵機能の全表示、コマンドを完全統合。
●TRACKPILOT: 船位、進行方向、速度情報を受信し、最適ラダー・アングルを計算。
●CONNINGPILOT: 航海情報の中央表示装置。MULTIPILOT及びCHARTPILOT上でも同様の表示が可能。
●SPEEDPILOT: 自動速度制御装置。到着予定時刻に合わせて航路の一部または全部の航行速度を設定。
●レーダー、チャート、操舵状況を常に表示。
●レーダー画面上でのインタラクティブ操作。
●多様な航路計画機能。
●BAS/WAS 40M: アラーム集中管理機能。テキスト・メッセージ表示。
●AIS、VDR機能。
●通信ネットワーク:CAN(Controller Area Network)、及びEthernet-LANを使用。
●5基のレーダー、RADARPILOT、MULTIPILOTワークステーションの相互接続が可能。
ATLAS NACOSシリーズ:標準仕様及びオプション
シリーズ名 |
ナビゲーション・コンソール、ワークステーション |
デスクトップ |
機能 |
サーベイランス レーダー、TM-X 24/29”モニター |
コニング ポジション 21”モニター |
ナビゲーション レーダーARPA-S 24/29”モニター |
ナビゲーション チャートモニター 21”モニター |
プランニングECDIS 21”モニター |
34-4 |
RADARPILOT |
|
RADARPILOT |
CHARTPILOT, CP |
CHARTPILOT DP |
35-4 |
RADARPILOT |
CONNINGPILOT |
RADARPILOT |
CHARTPILOT, CP |
CHARTPILOT DP |
45-4 |
RADARPILOT |
CONNINGPILOT |
RADARPILOT |
MULTIPILOT 1022 |
CHARTPILOT DP |
55-4 |
RADARPILOT |
CONNINGPILOT |
MULTIPILOT 1029 |
|
CHARTPILOT DP |
65-4 |
MULTIPILOT 1029 |
CONNINGPILOT |
MULTIPILOT 1029 |
|
CHARTPILOT DP |
|
(出所:SAM Electronics GmbH)
販売実績
2003年6月時点での販売実績は、最近の中国、ドイツ、イタリア、韓国の造船所からの受注32ユニットを含めると、850システム以上になる。最近受注したシステムと受注元は以下の通り。(世界の新造船INSの35%、クルーズ船INSの60%以上。同社発表。)
●NACOS Series 45システム:Flensburger Schiffsbauで建造中のDFDS Tor Lineの38,000GT級RO-ROフェリー5隻。2003〜2004年に引渡し予定。
●NACOS Series 35システム:韓国Hanjin及び現代造船所で建造中のMediterranean Shipping(MSC)のコンテナ船8隻。2003年中に引渡し予定。
●NACOS Series 35システム:上海造船所で建造中のJSC上海の多機能船4隻。
●NACOS Series 35システム:金陵造船所で建造中のRigel Schiffahrtsのケミカル・タンカー数隻。
●NACOS Series 65システム:Fincantieri Marghera造船所で建造中のHolland America Lineの82,000GT級のクルーズ船3隻。2003〜2005年にかけて順次引渡し予定。
●NACOS Series 65-4を含むShip Control Centre: BremerhavenのLloyd Werftで建造中のNorwegian Cruise Lineのクルーズ船「Pride of America」。2004年4月に引渡し予定。
|