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国際海事情報シリーズ79 欧州における航海機器のシステム化の現状と動向に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


実例2: 外航RO-PAXフェリー Stena Line「Stena Jutlandica」
 「Stena Jutlandica」は、スウェーデンのヨーテボリ(Göteborg)とデンマークのフレデリクスハウン(Frederikshavn)を結ぶStena Line最大の短距離外航定期フェリー。所用時間は3時間20分。
 
船籍:スウェーデン
建造:Van der Giessen(オランダ)
竣工:1997年
船級:Lloyd's Register(英国)
総トン数:29,691GT
全長・全幅:184×28m
喫水:6m
主機出力:MAN B&W×4 25,920kW
航海速力:21.5kn
 
 搭載されている航海機器システムは、Sperry MarineのVision Integrated Bridge System。Windows NT使用。ECDISはGDPSで位置情報を表示するSperry Voyage Management System(VMS)。レーダーのARPAターゲットはVMS上に表示される。AIS情報の表示も可能。
 
「Stena Jutlandica」:ブリッジ・ウィングのレーダーとECDIS
 
航海士の意見
●混雑した国際海域でレーダー画面上にAIS情報を表示すると、画面が煩雑になるため、AISは主に夜間航海時に使用している。
●6ヶ月前にリプレースしたばかりのレーダー2基のうち1基は故障中。翌日にコペンハーゲンからエンジニアが来る予定。
●電子海図はスウェーデン=デンマーク間のような短距離航路でも複数枚使用しなければならないが、境目が不自然で見づらいことがある。(上の写真参照)
●Autopilot機能は非常に便利。
●同じ航路を定期運航しているStena Linesの高速フェリー「Carisma」もほぼ同様のシステムを搭載。違いは外部デッキがないため、船体側面監視用のビデオ・カメラがあること。
 
トレーニング
●システム設置時にシミュレーター・トレーニングを受けた。
 
実例3: 内航RO-PAXフェリー Mols-Linien「Mette Mols」
 「Mette Mols」はデンマークのオーフス(Aahus)とカルンボー(Kalundborg)を結ぶ定期フェリー。所用時間は2時間45分。
 
船籍:デンマーク
建造:ÖRSKOV CHRISTENSENS Staalskibsvaerft A/S, Frederikshavn(デンマーク)
竣工:1995年
船級:Bureau Veritas(フランス):I HULL MACH Ro-ro passanger ship, Ice class IC, AUT-CCS
全長・全幅:136×24m
喫水:6.00m
主機:MAN B&W 11,700kW
航海速力:20kn
 
 搭載されている航海機器システムは、Kongsberg Simrad Data Bridge 2000。レーダー画面上に電子海図(ラスターチャート)を重ねて表示。レーダーは6ヶ月前にフラット・スクリーンに変更。
 
 同船の特徴は、独立したエンジン・コントロール・ルームがなく、チーフ・エンジニアは船橋でエンジン・モニターを監視する。
 
「Mette Mols」:航海機器システムの背後に
エンジン・コントロール・ワークステション
 
航海士の意見
●システムの機能、操作性には概して満足している。
●フラット・スクリーンのレーダーは光線の加減で見づらいことがある。コンソールにはめ込まれているため、角度の変更ができない。
●浅瀬の多い海域であり、Autopilotが役に立っている。(航路の近くでロシアのタンカーが座礁していた。)
●エンジン・コントロールとチーフ・エンジニアを船橋上に配置することは実験的な試みだったが、航海士とエンジニアのコミュニケーションが容易になり、結果的に満足している。チーフ・エンジニアにも好評。
 
トレーニング
●システム設置時にデンマーク海事研究所(DMI)でシミュレーター・トレーニングを受けた。
 
実例4: 外航RO-PAXフェリー Scandlines「Prins Richard」
 「Prins Richard」はデンマーク南部ルドビー(Rødby)とドイツ北部プットガルデン(Puttgarden)を結ぶ外航シャトル・フェリー。所用時間は往復約1時間30分。
 
(出所:Scandlines)
 
船籍:デンマーク
建造:ÖRSKOV CHRISTENSENS Staalskibsvaerft A/S, Frederikshavn(デンマーク)
竣工:1997年
船級:Lolyd's Register(英国)
総トン数:14,621GT
全長・全幅:142.0×24.8m
喫水:5.8m
主機出力:MAN B&W 12,000kW
航海速力:18.5kn
 
 搭載されている主要航海機器システムは、STN Atlasのフラット・スクリーンのレーダー/ECDIS。AISは、独立したSAAB Transponder Techの「ミニマム・キーボード・ディスプレイ」で、レーダー/ECDIS上にはAIS情報は表示されない。
 
 同船の特徴は、完全同一仕様の船橋が船首と船尾に2箇所あり、進行方向に応じて航海士が移動し、操船を行うこと。その目的は、短距離航路で1日24時間のシャトル運航を行っているため、入港・出港時の時間短縮と燃料の節約である。同船にはラダーがなく、スラスターが4基。
 
 また、半円形の船橋にはウィングがなく、ドッキングは4基のビデオ・カメラ・モニターを見ながら行う。船橋設計時には人間工学が考慮され、航海士のチームも参加した。
 
「Prins Richard」:半円形の船橋
 
航海士の意見
●フラット・スクリーンのレーダー/ECDISは夜間非常に見づらい。
●レーダー画像は天候の影響を受けやすい。
●レーダー画面の変更は常にメイン・メニューに戻らなければならない。航海士がプログラムできるスイッチ操作機能があれば便利だろう。
●AISは「ミニマム・キーボード・ディスプレイ」では大して役に立たない。主に、注意を喚起するため、他船を船名で呼びかけたい場合に利用。レーダー/ECDIS上のAIS表示機能が欲しい。
●同船が運航しているデンマーク=ドイツ間のバルト海域では、AIS搭載率は現在全船舶の25%程度だが、搭載率は日毎に増えている。
●GPS/DGPSによる船位情報は5〜10mの誤差がある。Scandlines社が以前から使用しているSYLEDISシステムの方が情報が正確。
●故障した場合は、ドイツのメーカーからではなく、デンマーク国内の専門エンジニアを呼ぶ。
●アラームの数が多すぎる。また、音がどれも似ているため、混乱する。
●マヌーバリング・パネルにはスイッチが120個もある。普段に使用するのはせいぜい30個くらいのものだ。家電のように使わないスイッチは隠せばいいのではないか。
 
トレーニング
●以前はコペンハーゲン近郊のDMIでシミュレーター・トレーニングを受講していたが、最近、使用港のプットガルデンにScandlines独自のシミュレーター・センターを開設し、非常に便利になった。定期的にトレーニングを受けている。
 
実例5: 外航RO-PAXフェリー DFDS Tor Line「Dana Sirena」
 「Dana Sirena」はデンマーク西部エスビャ(Esbjerg)とイギリス南東部ハリッジ(Harwich)を結ぶ外航定期RO-PAXフェリー。所用時間18時間。
 
船籍:デンマーク
建造:Stocznia Szczecinsna(建造)/Remontowa(改造)(ポーランド)
竣工:2003年6月
船級:ABS(米国): A1, Vehicle Passenger Ferry, AMS, ACCU, OMBO
総トン数:22,382GT
全長・全幅:199.4×25m
喫水:6.8m
主機出力:Wärtsilä 9L46C、9,415kW×2
航海速力:22kn
 
 「Dana Sirena」は2003年6月に就航したばかりの新造船であるが、元々DFDS社ではなくイタリア船主向けに建造されたもので、新造船にしては航海機器のシステム化が進んでいない印象を受けた。
 
 搭載している航海機器のメーカーも様々で、機器間の統合は少ない。レーダーはConsilim Selesmar、ECDIS(2基)はTransas、AntopilotはAnschüz。AISはSAAB Transponder Techの「ミニマム・キーボード・ディスプレイ」、ECDIS上に表示可能。コニング・ディスプレイはない。VDRはConsilium Marine。
 
 また、中央船橋上にはステアリング用のジョイスティックがないため、手動ステアリングはキャプテンの指示に従い操舵手が行う。ブリッジ・ウィングは半屋外に設置。
 
「Dana Sirena」:キャプテンと操舵手
 
航海士の意見
●TransasのECDISは大変使い易い。Transas社の電子海図を使用。電子海図間の境目もスムーズ。ECDIS2基で異なる表示はできない。
●ECDISのフラット・スクリーンは夜間見づらい。
●レーダーは近々Kelvin Hughes社製にリプレースする予定。キャプテンとチーフ・オフィサーが英国のKelvin Hughes本社を訪問し、既にオーダー済み。







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