(4)主要貨物
●石油製品(2,212万8千トン)
石油製品の荷積みは圧倒的にチョンブリの石油精製所で行われているものが多い(同港での荷積みが全体の93%を超えている)。製品全体の約70%は非常に短距離輸送されており、バンコク及びその周辺地域または東部沿岸地域に輸送される。他の主要な目的地は、全体の10%超を占める南部県であり、ソンクラー及びスラータニーの2地点にほぼ同量が輸送される。
●金属製品(34万4千トン)
金属製品の主要な荷積み港は、プラチュアップキリカン(バンサファン)である。製品の60%がバンコク向けであり、約35%がラヨーン向けとなっている。
●ゴム(14万千トン)
ゴムは主にラヨーン(76%)、チョンブリ(22%)で荷積みされている。これらの地点からサムットプラカーン(56%)及びスラータニー(42%)の加工工場へと運ばれる。
●化学製品(19万6千トン)
化学製品の沿岸輸送は、ほぼ全面的にラヨーンからサムットプラカーンへの航路であり、これが全体の95%を占めている。
●セメント(2万トン)
セメントの沿岸輸送もペッチャブリーからチョンブリの一航路に集中している。
●肥料(1万3千トン)
化学肥料は主にラヨーン(67%)、バンコク(21%)で荷積みされ、サムットプラカーン及びチョンブリからも少量発送される。ソンクラー(46%)が主要な荷揚げ地で、バンコク(13%)、スラータニー(10%)に他の荷揚げ地が続く。
●その他の農作物(9万3千トン)
「その他の農作物」の2つの主要な荷積み地点はチョンブリ(25%)及びスラータニー(64%)である。2つの主要な荷揚げ港は、チャチョエンサオ(64%)及びソンクラー(34%)である。それぞれの地域で荷積みと荷揚げ量がほとんど同じレベルであることから、チョンブリ〜ソンクラー及びスラータニー〜チャチョエンサオの二つに主要な航路があることがわかる。
(5)現在の海上輸送サービス分野の政策、法律、規則等
タイにおいて海運による国際貿易は堅調且つ急速に伸びており、特に過去10年においてその傾向は顕著である。然るにタイ国籍船による総取扱量は僅か10〜12%に過ぎない。これは著しく小さい自国籍船隊に起因している。タイ商船隊は1981年時点で133隻、総輸送能力が585,873DWTであったが、2000年には419隻、輸送能力は3,163,908DWT(コンテナ、客船を除く)に増加している。
この結果、タイの海上貿易の大部分が未だに外国海運サービスに大いに依存している事が分かる。このことは時にタイ船主による不公平な運賃の上昇と必要のない手数料等の聴取等が問題点として議論を呼んでいるところである。
表2-12: タイ商船隊の概要
船種 |
隻数 |
合計サイズ |
撤積船 |
93 |
1,505,778DWT |
混載船 |
1 |
43,467DWT |
コンテナ船 |
30 |
23,636TEU |
乾貨物船 |
77 |
789,168DWT |
多目的船 |
15 |
43,288DWT |
海洋作業船 |
4 |
247,051DWT |
客船及びフェリー |
5 |
10,770GT |
冷凍運搬船 |
33 |
73,391DWT |
RO-RO船 |
2 |
20,948DWT |
タンカー |
159 |
430,047DWT |
合計 |
419 |
- |
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出典:ロイド統計(1,000DWT以上を対象)
タイでは海運業及び関連する港湾サービス業務を含む陸上産業は国内、国外業者を問わず民間企業が行っている。また、タイでは国内の主要港湾は政府機関および公的企業が所有しているが、民間企業がこのような主要港の港湾運営または新規港湾の開発及び運営等の港湾サービスに参画することを許可する政策を維持している。
表2-13: 沿岸貨物輸送における積地および仕向地(1998年)
(6)港湾施設等
現在タイには、国際航海に従事する外航船を受入可能な約122の港、埠頭、岸壁がある。コンテナ貨物の殆どは公共港であるバンコク港及びレムチャバン港で取り扱われ、一方通常の貨物は小規模な民間埠頭または岸壁等で取り扱われている。
バンコク港はチャオプラヤ川の川縁にあり、かつてはタイで最大の公共港であり2001年には約160万9,000TEUのコンテナ貨物を取り扱った。現在ではレムチャバン港の使用を奨励する政府方針と、バンコク市街を出入りする貨物を少なくするためにコンテナ取扱量を100万TEUまで減じなければならないが、レムチャバン港は1999年に初めてコンテナの実取扱量が呼称能力の165万TEUを超え182万8,000TEUに達して以来、貨物の取扱い量過多の状態が続いている。2001年のコンテナの実取扱量は更に237万1,000TEUに増え港内の貨物流通停滞の原因となっている。
この問題に対応するため、タイ港湾局(Port Authority of Thailand: PAT)は責任機関として第2港域の開発による港湾拡張計画を実施し、民間企業のBOT方式(Build-Operate-Transfer)による参画を招致している。第2港域の完成によりレムチャバン港のコンテナ取り扱い能力は350万TEUまで拡大されることが見込まれているが、これも急激な貨物量の増加には不十分であるかもしれない。
1)公共港
現在タイは港湾サービス及び施設の提供に対し民間の参入を増加させるべく努力を継続中である。主要港湾は関係の政府機関により管理されている中、タイ港湾局(PAT)により運営、管理されているバンコク港を除いて、ターミナルの運営は民間企業に契約により委託され、監理委員会(Steering Committee)が運営を監査している。
ターミナルの運営を行うにあたり、民間企業はターミナルの建設・運営に関して政府関係機関から許可を得る必要がある。ただしその資格として資本の過半数(51%以上)をタイ国民が所有する事など、これら関係機関の定める諸要求を満足する必要がある。
2)民間港及び埠頭
民間港及び埠頭を運営する民間会社は港の建設及び運営開始の前に海事局(Marine Department)の許可を得なければならない。更に法令“Business Affecting Public Security and Well-being”により海事振興局(Office of the Maritime Promotion Bureau)から経済的な必要性について承認を得なければならない。
3)港への入港
タイは長年、海から運ばれる貨物について“フリーアクセス”の方針を適用してきた。このためタイ国籍、外国籍船を問わず国内の航路、港に入港するに際し何ら制限を設けていない。
表2-14: タイの港湾リスト
港湾名 |
状態 |
バンフアスア |
Sub-Port |
バンサファン |
名称変更 |
バンコク |
Open |
ベンチャマス ターミナル |
Open |
ボンコット ターミナル |
Open |
チャンタブリ |
Open |
チョンノンスリ ターミナル |
Open |
エラワン ターミナル |
Open |
カンタン |
Open |
カーノム |
Open |
クロントイ |
Sub-Port |
コーシーチャン 積替域 |
Open |
コーシーチャンTPP |
Open |
クラビ |
Open |
クランテップ |
名称変更 |
レムチャバン |
Open |
マプタプット |
Open |
パッタニ |
Open |
ペチャブリ ターミナル |
Open |
プーケット |
Open |
プラチュアップ |
Open |
ラヨーン TPI ターミナル |
Open |
サチュプラディット |
Sub-Port |
サタヒップ |
Open |
サイアム |
Open |
ソンクラ |
Open |
シラッチャ |
Open |
シラッチャ 石油ターミナル |
Open |
タンタワン ターミナル |
Open |
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