日本財団 図書館


物質循環の円滑さ
 
基礎生産
●透明度/赤潮発生頻度●
 
図2.1.11 大村湾における透明度(上段)と赤潮発生件数(下段)の経年的な変化
 
 
II-5)底質環境
 大村湾の底質は、湾口部を除くと中央粒径0.004mm以下の粘土質の細粒堆積物で占められ、とくに中央南部の海底はきわめて微粒な堆積物が主体となっている。底泥のCODと硫化物含有量の経年的な推移と水平分布を図2.1.12にまとめて示す。右図に網掛けをした領域は、水産用水基準で定められた値(COD:20mg/g、硫化物:0.2mg/g)を越える場所であり、粘土質の海底の大半で底質が悪化していることが分かる。湾の中央部の海底には、春から秋にかけて無生物域がしばしば出現することも報告されており、この項目についての診断結果は明らかに「不健康」である。
 
物質循環の円滑さ
 
堆積・分解
●海底環境(底質)●
 
図2.1.12 大村湾における底質の経時変化
 
全硫化物(mg/g)
 
全硫化物(mg/g dry)0.2mg/g以上
 
COD(mg/g)
 
COD(mg/g dry)20mg/g以上
 
II-6)底層水の溶存酸素濃度
 さきに述べたI-6と同じデータを用いて、大村湾の底層水の無酸素比率(溶存酸素濃度0m1/1の測点数の比率)を求め、図2.1.13に示した。最近、無酸素比率が20−30%に達する例が出現していることが分かる。したがって、この項目の診断結果は明らかに「不健康」である。
 
II-7)底棲系魚介類の漁獲推移
 すでに図2.1.3に示したように、底棲系魚介類(底魚、貝類を含む底棲動物など)の漁獲量は、浮魚類や海藻類ほどは目立たないが、近年減少する傾向を示している。図2.1.14は、1980年、1990年と2000年の漁獲量を比較したものである。基準となっている最近10年間の平均漁獲量と3年間の平均漁獲量を比較すると、それぞれ1414トンと1145トンであり、その減少幅は269トン(10年間の平均漁獲量の19%)である。基準は20%以上減少しているかどうかであるから、この項目の診断結果は「健康」となるが、最近の減少傾向は明瞭であり、少なくとも今後の動向に注意するなど注釈付きの診断を与えることを検討する必要がある。そこで、この項目については「要注意」とすることにした。
 
物質循環の円滑さ
 
堆積・分解
●底層水の溶存酸素濃度(無酸素比率)●
 
図2.1.13 大村湾の底層水(海底上1m)の無酸素比率
 
物質循環の円滑さ
 
除去
●底棲魚介類の漁獲量●
 
図2.1.14 大村湾における底棲系魚介類の漁獲量の推移







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION