(3)効率的なコンテナ輸送容器の検討
(1)現況
・コンテナ輸送容器は、様々なメーカー、タイプ、容量があり、統一、標準化されていない。
・リサイクルポート推進協議会の要望事項として、「折りたたみ式コンテナ等の輸送容器の開発の推進や標準化」が要望されている。
(2)関係者の意見
・循環資源の海上輸送において、バルク貨物とともに、コンテナ輸送も重要である(北九州市リサイクル業者、収集運搬業者(船社))。
・コンテナ輸送容器は、様々なメーカー、タイプ、容量があり、統一、標準化されていない(北九州市・長崎県リサイクル業者)。
・コンテナ輸送容器の標準化ができれば、取り扱いの効率化、コストダウンが進むのではないか(北九州市・長崎県リサイクル業者)。
(3)提案の目的
循環資源用のコンテナ輸送容器の標準化等を関係者と検討し、開発・実用化を図ることにより、効率的かつ環境に配慮した循環資源の取り扱いを推進することを目的とする。
(4)提案事項
a 北九州港側の関係者によるコンテナ輸送容器に関する検討
b リサイクルポート推進協議会注における全国的な検討の提案
(5)提案の内容
a 北九州港側の関係者によるコンテナ輸送容器に関する検討
[ポイント]
・循環資源輸送用コンテナについて標準・汎用的な機能、容量等を検討する。
・経済的かつ円滑な利用が可能となるコンテナの所有・利用方式を検討する。
・開発、普及に向けた諸取組を検討する。
[実施]
・平成16年度以降、北九州リサイクルポート研究会注で検討することが考えられる。
b リサイクルポート推進協議会における全国的な検討の提案
[ポイント]
・北九州での先行的な取り組みをベースに全国的な検討、取り組みを提案する。
・循環資源の輸送の効率化・円滑化のシステムとして、国にも働きかけていく。
[実施]
・平成16年度以降、北九州リサイクルポート研究会からリサイクルポート推進協議会へ提案していくことが考えられる。
図−8.4 様々な循環資源の輸送用容器(イメージ)
(6)効果
・機能的、標準的なコンテナ容器の開発・普及が推進される。
・コンテナ容器の開発、普及による循環資源輸送の効率化、コストダウンが見込まれる。
(7)留意事項
・離島からの循環資源輸送においても、標準的なコンテナ容器の導入は重要性をもつ。
II. 規制・制度の緩和
(1)「北九州リサイクル特区」の形成による規制緩和の推進
(1)現況
・北九州市は、「北九州市国際物流特区」として、通関体制の24時間化、産学連携の促進(国立大学研究施設の廉価使用)、安価な電力供給(特定供給事業の緩和)、埋立地の利用規制緩和(用途変更の柔軟化)等を活用した産業再生を推進しているが、循環資源の輸送に係わる規制緩和については、今後の課題である。
・リサイクルポート推進協議会、(社)日本経済団体連合会においては、全国の民間事業者、自治体の声を踏まえて、廃棄物等の輸送についての規制緩和を関係省庁へ要望しているところである。
・自治体等から廃棄物の収集運搬に関する特区の申請は一部出されているが、認められた例はない。
(2)関係者の意見
・北九州市において、規制を緩和した構造改革特区の導入により、他地域にない循環資源の輸送を可能とすることが競争力の確保において重要である(北九州市収集運搬業者)。
・特に、循環資源の海上輸送においては、公共埠頭における積替え・保管施設のための収集運搬業の許可、公共岸壁における一時的仮置きの容認、複数の会社で収集運搬、処理を行う際の代表会社による委託契約の可能化などが重要である(北九州市リサイクル業者、収集運搬業者)。
(3)提案の目的
「北九州リサイクル特区」として、新たな規制緩和内容の提案、特区計画の申請を行い、特区の認定を受けることにより、北九州港の循環資源の輸送に関わる競争力の向上を図ることを目的とする。
(4)提案事項
a 循環資源輸送に係わる規制緩和内容の検討
b 「北九州リサイクル特区」の申請
(5)提案の内容
a 循環資源輸送に係わる規制緩和内容の検討
[ポイント]
・循環資源輸送に係わる規制緩和内容には、以下の2つのタイプがある。
(a):他地域で認められている規制緩和内容
岡山県姫路で認められているタイヤ等の「再生利用認定制度の対象品目」注1の北九州での適用等の検討を行う。
(b):新たに提案する規制緩和内容
「再委託条件の緩和」注2、「公共岸壁における一時的仮置きを積替え・保管と見なさない」、等の新たな規制緩和内容を検討、提案する。
注1:再生利用認定制度により、他地域で認定された廃棄物は廃タイヤ、廃木材等である。平成15年12月に廃棄物処理法が改正され、効率的な廃棄物処理の確保等のための措置として、「広域的なリサイクル等の推進のための環境大臣による特例(広域認定制度)」が創設された( 参考6、 参考7参照)。
注2:平成16年3月時点では、複数の会社で収集運搬、処理を行う際の代表会社による再委託の容認については、廃棄物処理法の改正は行われていない。
b 「北九州リサイクル特区」の申請
[ポイント]
・aの検討結果に基づいて、「北九州リサイクル特区」として国に申請し、規制緩和を推進していく。
[実施]
・平成16年度以降、北九州港の官民の関係者により検討、実施する。
図−8.5 「北九州リサイクル特区」の形成による規制緩和の推進(イメージ)
(6)効果
・公共岸壁における循環資源の輸送の円滑化、効率化、及びコスト削減が見込まれる。
・循環資源の輸送における北九州港の競争力の向上が見込まれる。
・北九州港の循環資源輸送の取組みの先進性を対外的にアピールすることができる。
(7)留意事項
・北九州市の条例で対応できるものについては、北九州市の担当部局と調整、検討しているところである(港湾管理条例、内規の緩和、積替え・保管施設の許可等)。
・北九州市において既に取り組まれているが、リサイクルポート推進協議会と連携し、関係省庁へ働きかけていくことが重要である。
III. ネットワークの形成
(1)港湾連携による海上輸送ネットワークの形成
(1)現況
・循環資源の海上輸送のためには、双方の港湾の公共埠頭が、円滑に利用出来ることが必要であるが、現状では、実現していない。
・公共埠頭を利用した廃棄物の輸送においては、双方の港湾管理者、場合によっては、双方の自治体の環境部局も立ち会うことが求められている。
(2)関係者の意見
・公共埠頭を利用したいと考えている廃棄物の収集運搬業者は多いが、取り扱いを申請した廃棄物とは異なる廃棄物を輸送しようとするなど、トラブルが多いこともあり、港湾管理者が立ち会い、輸送する貨物の現物確認をしないと信頼性が確保できない(東京湾港湾管理者)。
・プライベートバースの場合も、双方の港湾管理者、双方の自治体の環境部局の担当者が立ち会っているが、当初段階では、こういった対応が必要ではないか(北九州市リサイクル業者)。
(3)提案の目的
公共埠頭での循環資源の輸送は、各港が規制を設けており、継続的に利用される港湾間において、連絡協議体制を確立し、公共岸壁の円滑な利用を確保することを目的に、循環資源の海上輸送ネットワークを形成する。
(4)提案事項
a 北九州港と主要な循環資源排出地の港湾の公共埠頭の利用体制の確立
(5)提案の内容
a 北九州港と主要な循環資源排出地の港湾の公共埠頭の利用体制の確立
[ポイント]
・北九州港と相手港の港湾管理者による連絡協議会を設立する。
東京湾港湾(横浜港、川崎港等)、九州離島港湾(厳原港、福江港等)、沖縄港湾(那覇港、中城湾港等)が考えられる。
・信用、実績のある排出業者、船社、リサイクル業者の利用から始める。
・連絡協議会において、トラブル時の対応及び連絡体制を構築する。
[実施]
・平成16年度以降、北九州港の官民の関係者による検討、相手港湾の管理者と話し合うことが考えられる。
・問題点、課題の抽出のために、両港間での循環資源輸送の実証実験を行うことが考えられる(「(2)パイオニアプロジェクトの推進」 参照)。
[備考]
・相手港湾がリサイクルポート推進協議会に参加しているとは限らないが、同推進協議会と連携することが考えられる。
図−8.6 港湾連携による海上輸送ネットワークの形成(イメージ)
(6)効果
・北九州港と主要な循環資源排出地である関東、九州離島、沖縄の港湾との循環資源の輸送が具体的に進展する。
・循環資源の海上輸送の社会的な信頼性が向上する。
(7)留意事項
・循環資源、廃棄物の輸送においては、相手港湾の担当部局とともに自治体の環境部局との連絡・協議も重要である。
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