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IV. 北九州エコタウン・リサイクルポートのセールス展開
 
(1)混載・帰り荷の集荷システムの構築
(1)現況
・循環資源輸送において、複数の循環資源、一般貨物との混載は、法的には可能であるが、集荷が難しいため、成立は少なく、そのため割高な輸送コストになっている。
・帰り荷の確保がコスト面から重要であるが、往復での貨物集荷は難しい。
 
(2)関係者の意見
・一船で一種類の循環資源で埋めることは難しく、複数の貨物の積載・混載が望ましい(長崎県収集運搬業者(船社)等)。
・とくに帰り荷の確保が進まないと、循環資源輸送は、割高さは解消しない(北九州市収集運搬業者(船社))。
・関東からの循環資源の輸送を受注した時に、関東向けの貨物の確保が難しい(北九州市収集運搬業者(船社))。
 
(3)提案目的
 一船に混載する貨物、帰り荷となる貨物を集荷する仕組みを構築し、幅広い循環資源の取扱いを可能とするとともに、コスト削減を実現することを目的とする。
 
(4)提案事項
a 混載・帰り荷の集荷システムの検討
b 集荷システムの構築・運営
 
(5)提案の内容
a 混載・帰り荷の集荷システムの検討
[ポイント]
・同一船舶による循環資源や一般貨物の混載、複数の循環資源の混載、ばら貨物とコンテナ貨物の混載は、循環資源の海上輸送の取扱い品目を大きく拡大する。
・循環資源輸送における返り荷の確保は、循環資源輸送コストの低減に寄与する。
・循環資源の海上輸送の混載・帰り荷の集荷システムについて、官民の関係者による研究会において検討する。
・研究会における検討項目案は以下の通りである。
混載、帰り荷を必要とする船舶、輸送の整理
法的問題の整理
輸送ニーズの把握(混載、帰り荷、輸送先等)
集荷の仕組みの検討
システム化の検討
事業化の検討
[実施]
・平成16年度以降、北九州リサイクルポート研究会において、次ぎのテーマとして取り組むことが考えられる。
b 集荷システムの構築・運営
[ポイント]
・前記の検討に基づき、運営組織の設立、システム構築・運営を行う。
・必要に応じて、インターネットの利用も検討する。
[実施]
・平成17年度以降、北九州港の官民の関係者により構築、運営することが考えられる。
 
図−8.7 混載・帰り荷の集荷システムの構築(イメージ)
 
(6)効果
・混載、帰り荷貨物の集荷による輸送効率の向上とコストの削減が見込まれる。
 
(7)留意事項
・北九州周辺だけでなく、瀬戸内、大阪等及び、東京圏での集荷も必要となる。
・混載・帰り荷集荷システムの全国的な展開の可能性も考えられる。
・廃棄物に係わる取引は、慎重を要することから、限定会員、関係団体による確認等の信頼性の担保を図る必要がある。
 
(2)提案・営業機能の確立、展開
(1)現況
・北九州における循環資源の集荷のためには、関東や九州離島、沖縄での集荷が重要である。
・関東や九州離島において、北九州でのリサイクル、循環資源の輸送についての認知度は、大きくない。
・北九州でのリサイクル、循環資源の輸送について、何処に問い合わせをしたらよいか分からない、という回答が多い(本調査のアンケート回答)。
 
(2)関係者の意見
・循環資源の場合、担当者による現物確認、処理・輸送の検討、調整が重要である(北九州市リサイクル業者、収集運搬業者)。
・関東などで、北九州のリサイクル、輸送の業者が、排出事業者に営業するためには、北九州市という行政との連携が重要である(北九州市リサイクル業者)。
 
(3)提案の目的
 関東、九州離島、沖縄等の遠く、かつ広域にわたる地域のニーズと北九州側のリサイクル、循環資源輸送を結びつけ、セールスする機能を確立、展開することにより、北九州におけるリサイクルとそれを支える循環資源輸送を拡大することを目的とする。
 
(4)提案事項
a 官民によるセールス体制の確立
b セールス活動の展開
c ニーズの把握
 
(5)提案の内容
a 官民によるセールス体制の確立
[ポイント]
・関東圏等の潜在的な顧客と北九州側(輸送、リサイクル)を結びつける、営業する官民の体制を確立する。
・リサイクル業者、収集運搬業者(船社、港運、JR貨物、トラック会社等)、北九州市(港湾、物流、環境担当)の連携による組織が考えられる。
・「北九州港エコタウン・リサイクルポート推進機構(仮称)」などの名称が考えられる。
[実施]
・平成16年度以降、上述の関係者により設立することが考えられる。
[備考]
・インターネットのサイト上での需要と供給のマッチングシステムがあるが、リサイクル、循環資源輸送においては、「信頼性」が重要であり、先ずは人による直接的な交渉を重視する。
b ニーズの把握
[ポイント]
・本調査をベースに、関東圏、九州離島、沖縄の排出業者、収集運搬業者のニーズを、アンケート、ヒアリング等により把握する。
[実施]
・平成16年度以降、官民の関係者により毎年実施することが望まれる。
c セールス活動の展開
[ポイント]
・把握された潜在顧客に対し、「北九州港エコタウン・リサイクルポート推進機構(仮称)」が訪問し、セールス、調整を行う。民間事業者は、「企画書」、「見積書」を提示する。
・ポートセールスと同様、「同推進機構(仮称)」の企業訪問に、行政が同行することも考えられる。
[実施]
・平成16年度以降、官民の関係者により毎年実施することが望まれる。
[備考]
・関東では、20〜30社の大手の排出業者の把握、セールスが重要である。
 
図−8.8 提案・営業機能の確立、展開(イメージ)
 
(6)効果
・北九州側の民間企業だけによる場合よりも、主要な循環資源排出地である関東、九州離島、沖縄における顧客が開拓される。
・北九州エコタウン等において取り扱う循環資源量、北九州への輸送量が増加する。
 
(7)留意事項
・セールス活動のためには、北九州側で対応できる循環資源、リサイクルの内容、価格等も必要なことから、エコタウン立地企業を中心とする「リサイクル・中間処理」業者の情報を整理、提供する必要がある。







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