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1・7 電流
 図1・13のように乾電池の(+)端子と(−)端子とを電線で, 豆電球を介して接続すれば電流は図に示す矢の方向に流れ豆電球は点灯する。この場合自由電子(-e)は1・5・2において述べたように(−)端子から(+)端子へ移動する。
 
図1・13
 
 電流の大きさは導体を1秒間に流れる電気量の多少で決められ, 単位にアンペア〔単位記号A〕が用いられる。
 したがって, 1アンペア〔A〕は毎秒1クーロン〔C〕の割合で電気量(1・3参照のこと)が移動するような電流の大きさである。
注:計算によれば6.25×1018個の電子が毎秒負電荷から正電荷に移動するのが1アンペアといってよい。
 一般に導体の断面積を流れる電流I〔A〕とt秒間にQ〔C〕の電気量が移動すれば次の関係式となる。
 
 
I:電流〔A〕
Q:電荷〔C〕
t:時間〔S〕
 
 電流の方向は電荷の移動する方向によって次のように決められている。
(1)正電荷が移動する場合は, その移動する方向を電流の方向とする。
 
 
上図のようになる。
 
(2)負電荷が移動する場合は, その移動する方向と反対の方向を電流の方向とする。
 
 
上図のようになる。
 
 図1・14においてA水槽の水はB水槽の方へ甲管又は乙管を通って流れ込むものとし, 水は水源池から絶えず補給される。この場合甲管は乙管に比べて5倍の断面積の太さの管であるとすれば, 甲管で水を流す場合は乙管で流す場合より5倍だけ多量の水が流れ, それだけ早くB水槽を満すことができることが想像される。このような考え方を電気の場合にもあてはめることができる。水頭差は電圧差, 管の断面積の太さを導体の断面積の太さにおきかえ, 甲管を甲導体, 乙管を乙導体とすれば甲導体は乙導体より5倍の電流を流しうることになる。
 また, 管の長さを想定すれば長さが長い程水の抵抗も増すと同様に電流の場合も導体の長さが長ければそれだけ電気抵抗も増すことになる。
 このように考えれば導体の中に電流が流れると, これを妨げる性質があってこれを電気抵抗又は単に抵抗という。
 
図1・14
 
 抵抗の単位はオーム(単位記号Ω)を用いる。
 「1オーム(Ω)とは導体の両端に1ボルト〔V〕の電圧を加えたとき1アンペア〔A〕の電流が流れるような導体の抵抗をいう」そして導体の抵抗は次のような関係式がある。
 
 
l:長さ〔m〕
S:断面積〔m2
R:導体抵抗〔Ω〕
ρ:比例定数
 導体の抵抗は導体の材質によって違いがあり(図1・8参照のこと)同じ材質でも, 上式でわかるように, 長さlに比例し, 断面積Sに反比例する。なお, 比例定数ρに比例する。
 比例定数ρは断面積1〔m2〕長さ1〔m〕の導体の抵抗に相当し, 材質と温度で定まるもので, 物質の特有の値である。これをその物質の抵抗率と呼んでいる。(図1・8参照のこと。)
 単位にはオームメートル〔Ωm〕を用いている。
 なお, 抵抗率の逆数
 
 
を導電率といっている。
注:抵抗を電子の移動からみた場合
 導体中原子が整然と格子状に並んでいて, 静止していれば, 電子の移動に抵抗はないが, 実際には原子は己の位置附近で, 不規則に熱運動をしているため, 電子がこれと衝突し運動を妨げられる結果抵抗が生ずる。したがって, 極低温になれば熱運動は弱くなり抵抗は少なくなる。







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