違法行為に関する苦情(1)
通所介護施設が、痴呆老人を虐待し、財産横領をした
相談者・・・施設職員(内部告発)
●相談苦情の概要
通所介護施設として都道府県の指定を受けたNPO事業者が、施設を託老所として使用し、痴呆状態の高齢者を指定外事業(生活、宿泊)で預かっている。夜間徘徊する利用者を、押入れを改造した監禁室に閉じこめ、日中は怒鳴ったり叩いたりするなど虐待し、食事も満足に与えないなど、不適切な介護を行っている。
更に、16名の入所者の中で、財産のある独居高齢者と事業主の親族との間で養子縁組を結び、財産を横領し、刑法に抵触するような行為を行っている。
●相談受付機関の対応
告発を受けた福祉オンブズマンは都道府県及び保険者に通報。調査の結果、
(1)通所介護の実体がないのに介護保険の請求をしていた、
(2)日常的に利用者を虐待していた、という事実が明らかになった。
都道府県は、事業者の指定を取り消し、NPO法人を解体した。入所していた高齢者は、都道府県及び保険者の措置で他の施設にそれぞれ入所した。
●問題点
【ケアマネジャーの資質の問題】
(1)アセスメントが十分行われていない。
(2)ケアマネジャーが定期的に訪問していない。
(3)サービス提供の確認など給付管理がなされていない。
以上、利用者や事業者の実態を把握していなかったと思われる。
【事業者の問題】
(1)事業者と利用者との間で契約書が作成されていない。
(2)重要事項の説明がない。
(3)事業者の運営理念に問題がある。
【利用者の問題】
(1)介護現場は密室性が高く、現状を把握しにくい。
(2)介護をできない家族が多く、退所させられるのが怖くて疑問や不満を口に出す人が少ない。
(3)入所できる施設が不足している。
介護者がいない、入所できる施設がないなどの高齢者を、介護保険を悪用して食い物にしたと言っても過言ではない事例である。
●特記事項
現在、事業所は解体し、入所高齢者が被害にあった財産については、オンブズマンネットの弁護士が代理人となり、裁判で係争中である。今後の課題は、不正事業者を内部告発した者の保護。事業者は元家政婦、その夫が経営者で、職員は頻繁に退職し、交代が激しかった。
河北新報H15.10.5〜6
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