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別紙2 標準化が予期される分野・項目の補足
 
(1)救命胴衣装着用小型軽量SART
(2)NOxの船上における測定方法
(3)糞尿処理装置
(4)油水分離器
(5)総合ビルジ処理システム
(6)TBT塗料の検査方法
(7)バラスト水交換・バラスト水処理
(8)船舶のリサイクル
(9)船舶からの大気汚染の防止(温室効果ガス(GHG)の削減)
(10)船内におけるアスベストの適切な管理に関するガイドライン
 
標準化が予期される分野・項目の補足(1)
分野 国際競争力強化分野
項目 救命胴衣装着用小型軽量SART
現況 (1)開発の現状
・(社)日本船舶品質管理協会(品管)は、小型船舶が沿岸から比較的近い海域で海難事故を起こしている我が国の実態を考え、救命胴衣装着に適し、かつ手頃な価格で供給できる汎用性の高い小型軽量SART(捜索救助用レーダートランスポンダー)の開発を行った。
・平成14年度に試作された救命胴衣装着用小型軽量SARTは、実海面でSART応答波のレーダによる視認性の評価試験を実施し、プレジャーボート、小型漁船等からの海中転落者の救助向上に極めて有効であることが確認された。
・現在IMOで規定されているSARTの水平偏波式に代えて、新たに採用した円偏波送受信式による優位性が実証された。
・試作品は電気部制御回路のチップ集積化などを図るとともに大きさをタバコ箱大、約180gからタバコ箱の半分、約100gにすることが十分可能であり、小型軽量、低廉価の汎用性の高い救命胴衣装着用SARTの実用化が期待されている。
・新しい性能要件を備えたSARTの実現には、国際(IMOやITU)・国内の関係法令の改正等の問題がある
(2)開発の今後の予定
・電波法上の問題点を解決する必要があり、IMOとITUに働きかけている。
・現行の水平偏波方式より探知距離を相当に向上させることができる円偏波方式を認めるように、IMOにSART性能要件の見直しを提案したが、COMSAR 7での審議で、性能基準の改正には新規作業項目であり、MSCの承認を得ることが必要であること、ITU規則でも水平偏波を規定しており、これを変更する必要があること、あらゆる環境下(波浪条件等)での試験を行う必要があることの指摘がなされ、新規事項として扱われることとなった。
・品管はIMOの指摘に対処するため、荒天時の追加試験を予定している。(荒天時における船舶用SARTの円偏波と水平偏波の性能比較評価試験)
・実用化のためには、相当の開発費が必要であるため、メーカはSO財団等へ補助金申請を予定している。
・品管では救命胴衣装着用SARTについて先ず国内での普及を図ることを考えている。任意で装着することとし、強制化の要望は考えていない。SARTの要件に全て合致していない簡易型である。国際的に提案することは現在のところ考えていない。
・ノルウエーが同様なものの必要性を言っている。
規格化の可能性  小型軽量、低廉価の汎用性の高い救命胴衣装着用SARTの実用化が期待されている。
 実用化を更に進めるため、製品開発は民間等に期待することとするが、普及を図るために国際標準に提案することも重要と思われる。なお、新しい性能要件を備えたSARTの実現には、国際(IMOやITU)・国内の関係法令の改正等の問題があるので、ISOでの標準化とともにIMOへの提案も並行的に行う必要がある。
規格の内容  救命胴衣装着用小型軽量SARTについて、性能基準(要件)、試験基準、製品基準等を規定した規格案を作成する。規格作成にあたり、性能確認試験を行う。
 また、ISOへの標準化提案とともにIMOへの提案も並行的に行う。
緊急度 やや急ぐ
参考資料 平成14年度膨脹式救命いかだ及び救命胴衣艤装用の小型軽量SARTに関する調査研究報告書(平成14年3月、(社)日本船舶品質管理協会)
備考 品管は先ず国内での普及を目指しており、整合性を図る必要がある。
 
標準化が予期される分野・項目の補足(2)
分野 環境・資源循環分野
項目 NOxの船上における測定方法
現況 (1)IMOの審議状況
・船舶からの大気汚染物質の排出規制について、1997年にIMOにおいてMARPOL条約付属書VI(船舶からの大気汚染防止)を採択した。
・2003年7月開催のMEPC49では多くの国が批准のための国内作業を進めているとの報告があり、2004年中には発効要件をみたすのではないかと思われる。(発効要件を満たしてから1年後に発効)。(発効要件:15ヵ国、世界商船船腹量35%以上、2004年1月末現在:12ヵ国、54.25%)
・舶用ディーゼルエンジンからのNOx排出に関しては、排出制限値に適合することを確認するための試験、検査及び認証の手順を規定したテクニカルコード(Technical Code on Control of Emission of Nitrogen Oxides from Marine Diesel Engines)が採択され、発効に備えて運用されている。
・DE46にて「船上におけるNOx検証方法のためのガイドライン−直接計測及びモニタリング法」(Guidelines for on-board NOx verification procedure − Direct measurement and monitoring method )案を合意し、決議MEPC. 103(49)として、MEPC49において採択された。
・DEの作業計画では、以下のガイドラインの構築が予定されている。
 (1)船上排気ガス清浄装置のガイドライン
 (2)船上NOx排出削減のための同等手段のガイドライン
 (3)SOx排出規制の立証可能な、又は、実施可能なその他の技術的手段のガイドライン
(2)国内の対応状況
・(社)日本造船研究協会(造研)RRでNOx実船計測、燃料油分析などを行っている。(H13、14、15年度)
・IMO審議に際して、我が国から新しいNOxセンサ(ジルコニア式センサ)、燃料油中の窒素含有率の制限値の必要性を提案している。
規格化の可能性 IMOにおいて採択された「船上におけるNOx検証方法のためのガイドライン−直接計測及びモニタリング法」等を基に、耐振性・耐衝撃性・保守性・信頼性に優れ、安価なジルコニア式NOxセンサを用いた船上NOx直接測定及びモニタリング法の標準化提案が考えられる。ただし、IMOの審議状況から、すぐに特定の計測器を提案するのは難しいので、当面の目標はJIS化とし、その後国際化を検討するのが適当と考えられる。
規格の内容 ・IMOの船上NOx計測・モニタリングガイドラインを基に、分析計の要件・試験基準、センサ取付条件・場所のガイダンス(マニュアル)、計測方法等を盛り込んだ標準案を作成する。
・ジルコニア式センサを用いて実船にて検証試験を行い、実用性の検証を行う。
緊急度 急ぐ
参考資料 1. (MP/CONF 3/34) CONSIDERATION AND ADOPTION OF THE PROTOCOL OF 1997 TO AMEND THE INTERNATIONAL CONVENTION FOR THE PREVENTION OF POLLUTION FROM SHIPS, 1973, AS MODIFIED BY THE PROTOCOL OF 1978 RELATING THERETO (Text of the Protocol of 1997 to amend the International Convention for the prevention of Pollution from Ships, 1973, as modified by the Protocol of 1978 relating thereto as adopted by the Conference)
2. (MP/CONF 3/35) CONSIDERATION AND ADOPTION OF RESOLUTIONS AND RECOMMENDATIONS AND RELATED MATTERS (Texts of Conference Resolutions 1 to 8 and the Technical Code on Control of Emission of Nitrogen Oxides from Marine Diesel Engines as adopted by the Conference)
3. (MEPC49/22 ANNEX 5) RESOLUTION MEPC.103(49) − GUIDELINES FOR ON-BOARD NOx VERIFICATION PROCEDURE − DIRECT MEASUREMENT AND MONITORING METHOD
備考 ・造研RRにおいて、IMO対応のため、NOx実船計測、燃料油分析などが行われており、分担調整が必要と思われる。
・MEPC49において、韓国からドライケミミル式(化学発光式)の提案があったが、一つだけの計器の標準を作るのはふさわしくないとの結論になった。従ってジルコニア式を提案することは日本としては有り難いが、同様なことになる。従って、モニタリングのガイドラインを先ずJIS化し、その後国際化を検討するのが適当である。内航船ではテクニカルファイル法の適用は無理で、モニタリング法で安く簡単で安定的なものが出来れば好ましい。IMO並みの検証が必要である。(日本内燃機関連合会 田山経二郎常務理事談)
・燃料油中の窒素分が最近増加傾向にあり、燃料油中の窒素含有率の制限値に関する標準化も考えられるが、石油業界からの反発が予想され、相当難しいと思われる。(日本内燃機関連合会 田山経二郎常務理事談)
 
「船上におけるNOx検証方法のためのガイドライン−直接計測及びモニタリング法」
決議MEPC.103(49)のANNEXの目次
 
安全注記
原則
1 分析機器
.1 排ガス成分計測
.2 分析器の仕様
.3 純及び校正ガス
.4 ガスサンプリング及び移送システム
2 エンジン性能及び周囲条件計測
.1 エンジン性能計測
.2 周囲条件の計測
.3 エンジン性能及び周囲条件のモニタリング機器
.4 電気機器:材料及び設計
3 排気ガス計測
.1 テストサイクル
.2 試験条件パラメータ
.3 分析器の使用時の性能
.4 排出計算のためのデータ
4 データの評価
.1 燃料組成
.2 排気ガス濃度
.3 乾き/湿りの補正
.4 湿度と温度に関するNOx補正
.5 排気ガス流量
.6 排気排出物流量と具体的排出物の計算
5 適合要件
.1 限界値及び許容値
.2 適合証明のためのデータ
.3 証書の様式
.4 機器と方法の検査
 
付録1-サンプリング場所の接続フランジ
付録2-負荷点の選択と重み付け係数の修正
付録3-負荷設定点の安定度







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