分野 |
環境・資源循環分野 |
項目 |
TBT塗料の検査方法 |
現況 |
(1)IMOの審議状況
・「International Convention on the Control of Harmful Anti-fouling Systems for
ships,2001」船舶についての有害な防汚方法の管理に関する国際条約(AFS条約)(2001年10月1日〜5日 国際会議:IMO)においてTBT船舶用塗料を2003年1月1日以降船舶に新たに塗布することの禁止、及び2008年1月1日以降船舶に存在することの禁止について、2001年10月5日に採択された。ただし、2008年以後の存在の禁止については、TBT塗料溶出防止のための塗料を上塗りすることは認められることとなった。
条約は、25ヵ国以上が批准し、かつ、その合計商船船腹量が世界の25%以上となった日の12ヵ月後に発効する。(2004.1.31現在、日本を含めて7ヵ国、船腹量8.92%が批准)
・2001年AFS条約で引用され、IMOが作成することになっている次のガイドライン(指針)が、FSI 10及びFSI 11での検討を経て、MEPC48及びMEPC49において採択された。
「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」
「船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン」
「船舶の防汚方法のサンプリングに関するガイドライン」
・「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」は、MEPC48において、決議MEPC. 102(48)として採択された。規制対象となる防汚方法の解釈については、閾値として有機スズ量が乾燥塗料量の0.25%以下の防汚方法は規制の対象とならないことが、ガイドラインの附録(appendix)として規定された。(
Resolution MEPC. 102(48) Guidelines for Survey and Certification of Anti-fouling
Systems on Ships )
・「船舶の防汚方法のサンプリングに関するガイドライン」は、MEPC49において、FSI 11において作成された案が、一部修正の上、決議MEPC. 104(49)として採択された。(
Resolution MEPC. 104(49) Guidelines for Brief Sampling of Anti-fouling Systems
on Ships )
我が国は、一次検査方法として研磨紙を用いて塗膜表面から試料を採取して蛍光X線分析装置を使用してスズ含有を定量分析し、スズ含有が認められた場合にはさらに、二次検査方法としてガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を使用して有機スズを定量分析する2段階手法の主張してきたが、この検査方法が認められ、ドイツ提案の方法と共に、附録(appendix)に盛り込まれた。
・「船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン」は、MEPC49において、FSI 11において作成された案が、一部修正の上、決議MEPC. 105(49)として採択された。(
Resolution MEPC.105(49) Guidelines for Inspection of Anti-fouling Systems on Ships
)なお、このガイドラインは、PSCのための手順に係わるガイドラインである決議A. 787(19)に、船舶の防汚方法の監督に関する部分として追加されることになっている。
(2)国内の対応状況
・海上技術安全研究所(海技研)が造研RRで塗膜検査の方法を試験研究している。
1次検査のサンプリング装置を平成13年度に開発し、スズの含有量を蛍光X線で調べ、まず、スズが0.25%含まれるか否かの判定が可能になった。その後、スズを含む塗料の分析によりTBTと同定する方法について研究を行っている。この2次検査には、CG-MSを使った方法で対応可能だと思われるが、すべての塗料に対して有効な前処理方法など課題が残っている。
・平成15年7月10日、AFS条約を国内法に取り入れるため、船舶安全法施行規則、船舶構造規則等を一部改正し、公布した。(国土交通省令第82号、国土交通省告示第1034号、第1035号、第1036号)(なお、省令等では、AFS条約は「2001年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約」(有害防汚方法規制条約)としている。) |
規格化の可能性 |
AFS条約に引用されている3つのガイドラインが合意・採択され、方向が見えてきたので、次の標準化が必要と思われる。
・船底塗料の1次検査方法の標準化−塗料のサンプリング、スズ含有量測定
・2次検査方法の標準化−サンプリング塗料の前処理、化学分析の方法の標準化
・製品の検査方法の標準化−防汚塗料の分析方法の標準化
(製品の検査は(MSDS(Material Safety Data Sheet)で 良いことになっているが、製品を出荷段階で、ロット毎に検査する方法が最も確実である。また、塗料の種類が多い(約800種類)ので、これをカテゴリー分け(分類分け)し、その代表塗料を試験すれば良いシステムが出来れば負担を減ずることが出来る。)(製品の検査については、日本塗料工業会は評価委員会で評価し証明書を出すと言っているが、世界的には第三者機関の証明がいるのではないかとの議論が造研RRで行われている。) |
規格の内容 |
IMOが定めたガイドラインに沿って、(1)防汚塗料の分析方法の標準化、(2)製品の検査方法の標準化 を目標に調査研究を行い、防汚塗料の分析方法、製品の検査方法等の手法の規格原案を作成する。 |
緊急度 |
急ぐ |
参考資料 |
1. (MEPC48/21 ANNEX 8) RESOLUTION MEPC. 102(48) - GUIDELINES
FOR SURVEY AND CERTIFICATION OF ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS
2. (MEPC49/22 ANNEX 9) RESOLUTION MEPC. 104(49) - GUIDELINES FOR BRIEF SAMPLING
OF ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS
3. (MEPC49/22 ANNEX 10) RESOLUTION MEPC. 105(49) - GUIDELINES FOR INSPECTION OF
ANTI-FOULING SYSTEMS IN SHIPS
4. (AFS/CONF/25) ADOPTION OF THE FINAL ACT OF THE CONFERENCE AND ANY INSTRUMENTS,
RECOMMENDATIONS AND RESOLUTIONS RESULTING FROM THE WORK OF THE CONFERENCE
FINAL ACT OF THE INTERNATIONAL CONFERENCE ON THE CONTROL OF HARMFUL ANTI-FOULING
SYSTEMS FOR SHIPS, 2001 - Text adopted by the Conference
5. (AFS/CONF/26) ADOPTION OF THE FINAL ACT OF THE CONFERENCE AND ANY INSTRUMENTS,
RECOMMENDATIONS AND RESOLUTIONS RESULTING FROM THE WORK OF THE CONFERENCE
INTERNATIONAL CONVENTION ON THE CONTROL OF HARMFUL ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS,
2001 - Text adopted by the Conference |
備考 |
・造研RRにおいて、IMO対応のため、試験等が行われており、整合性を図る必要がある。 ・1次検査の標準化については、ガイドラインでほぼ確立していると考えられるので、規格化には含めていない。 ・機器メーカ、塗料メーカのメリットに結びつくかどうかが問題。 |