日本財団 図書館


標準化が予期される分野・項目の補足(3)
分野 環境・資源循環分野
項目 糞尿処理装置
現況 ・MARPOL73/78条約 附属書IV(船舶からの糞尿・汚水の排出規制)が2003年9月27日に発効した。
 なお、MEPC44において、発効後、規制内容を大幅に緩和した改正附属書に置き換えられることが採択されている。(改正附属書 MEPC 44/20 ANNEX 10、 附属書IV実施のための決議 決議MEPC. 88(44))また、MEPC51(2004年3月開催)において、改正付属書が正式に採択される予定である。
・改正附属書は、国際航海に従事する船舶のうち、総トン数400トン以上の新船及び最大搭載人員15人を超える新船に適用される。ただし、附属書発効の5年後には、現存船にも適用される。
・国内法に取り入れるため、海洋汚染防止法施行令、施行規則の関係法令が改正された。(政令第402号(平成15年9月10日)、国土交通省令第93号(平成15年9月19日))
・(財)日本舶用品検定協会(HK)において作成作業中であった糞尿処理装置(ふん尿等浄化装置、ふん尿等処理装置)の型式承認基準案が、国土交通省から「ふん尿等浄化装置の型式承認試験基準」として制定された。(国海査第324号、平成15年9月26日)
・処理装置の性能基準は、決議MEPC. 2(VI) the International Specifications for Effluent Standards, Construction and Testing of Sewage Treatment Systems(1976.12.3採択)による。
・現在は最大搭載人員100人以上の船舶が規制の対象になっていることから、大型のものが製品化されているものと思われるが、今後は小型のものも必要になってくると思われる。
規格化の可能性 MARPOL73/78条約 附属書IV(船舶からの糞尿・汚水の排出規制)の発効にあわせて、糞尿処理装置の標準化が必要と思われる。
規格の内容 糞尿処理装置について、IMOの性能基準、ふん尿等浄化装置の型式承認基準等に基づき性能基準、試験基準、製品基準等を規定した国際規格案を作成するとともに、規格案の試験基準に基づき確認試験を実施する。
緊急度 急ぐ
参考資料 1. (MEPC44/20 ANNEX 10) TEXT OF THE REVISED ANNEX IV OF MARPOL 73/78
2. (MEPC44/20 ANNEX 11) RESOLUTION MEPC. 88(44) - IMPLEMENTATION OF ANNEX IV OFMARPOL 73/78
備考  
 
標準化が予期される分野・項目の補足(4)
分野 環境・資源循環分野
項目 油水分離器
現況 (IMOの審議等)
 船舶の機関区域ビルジには乳化油が含まれており、現在の油水分離器ではこの乳化油が分離できずに排出される問題及び油分濃度計の信頼性に対する問題が指摘され、MARPOL条約附属書I第15規則及び第16規則で要求される油水分離器及び油分監視装置の試験基準及び仕様指針(決議MEPC. 60(33)及びA. 586(14))の見直しが決定され、DEにおいて検討が行われてきた。
 2003年3月開催のDE46において、決議MEPC. 60(33)及びA. 586(14)の改正案が合意され、2003年7月開催のMEPC49に提出され、決議MEPC. 107(49)「船舶の機関区域ビルジの汚染防止装置の改訂指針及び仕様」及び決議MEPC. 108(49)「油タンカー用油排出監視制御装置の改訂指針及び仕様」として、採択された。
 この改訂指針及び仕様は2005年1月1日以降建造の新船に適用される。
 油水分離装置の型式承認試験に新たに3,000ppmのエマルジョン試験液を用いて試験する等厳しい試験方法が導入された。
規格化の可能性 発効に合わせて、標準化が必要と思われる。
規格の内容 IMOの性能基準等に基づき、性能基準・試験基準・製品基準等を規定した国際標準を作成する。
 規格案の試験基準に基づき確認試験を実施する。
緊急度 急ぐ
参考資料 1. (MEPC49/22 ANNEX 13) RESOLUTION MEPC. 107(49)-REVISED GUIDELINES AND SPECIFICATIONS FOR POLLUTION PREVENTION EQUIPMENT FOR MACHINERY SPACE BILGES OF SHIPS
2. (MEPC49/22 ANNEX 14) RESOLUTION MEPC. 108(49) − REVISED GUIDELINES AND SPECIFICATIONS FOR OIL DISCHARGE MONITORING AND CONTROL SYSTEMS FOR OIL TANKERS
備考 日本は、今回の改正でも機関区域の乳化ビルジの問題の根本解決になっていないため、「総合ビルジ処理システム」(IBTS: Integrated Bilge water Treatment System)(機関室のビルジを、水、油及び油分混じりビルジに分けて収集し、処理することにより、油水分離装置で処理する油分混じりビルジを根本から減少させるシステム。)を取り入れることを提案している。
 
標準化が予期される分野・項目の補足(5)
分野 環境・資源循環分野
項目 統合ビルジ処理システム
現況 (IMOの審議等)
 油水分離器の項で述べたように、船舶の機関区域ビルジには乳化油が含まれており、現在の油水分離器ではこの乳化油が分離できずに排出される問題及び油分濃度計の信頼性に対する問題が指摘され、MARPOL条約附属書I第15規則及び第16規則で要求される油水分離器及び油分監視装置の試験基準及び仕様指針(決議MEPC. 60(33)及びA. 586(14))が見直され、2003年7月開催のMEPC49において、決議MEPC. 107(49)「船舶の機関区域ビルジの汚染防止装置の改訂指針及び仕様」として、採択された。
 この改訂指針及び仕様は2005年1月1日以降建造の新船に適用され、油水分離装置の型式承認試験に新たに3,000ppmのエマルジョン試験液を用いて試験する等厳しい試験方法が導入された。
 しかしながら、これは機関区域の乳化油ビルジの根本的な問題解決にはならず、日本はこれまでもDEにおいて「総合ビルジ処理システム」(IBTS: Integrated Bilge water Treatment System)(機関室のビルジを、水、油及び油分混じりビルジに分けて収集し、処理することにより、油水分離装置で処理する油分混じりビルジを根本から減少させるシステム。)を取り入れるように指摘してきた。
 日本は、この「総合ビルジ処理システム」(IBTS)を、MEPC/Circ. 235 「機関室の油水による汚染防止手段に関するガイドライン」を改正し、盛り込むことをDEの新規議題に追加するよう2004年3月開催のMEPC51に提案している。
規格化の可能性 「総合ビルジ処理システム」(IBTS)は、油分混じりビルジを減少させることにより、油水分離装置の負担を軽減するとともに、処理作業の負担を軽減し、環境保全に資する有効なシステムである。従って、このシステムを標準化すれば、さらに有効なものとなりうる。
 今後の国際標準化のテーマとして取り組むことは有意義なことである。
規格の内容 日本提案の「総合ビルジ処理システム」(IBTS)に沿って、日本の船社が取り入れている実績を調査し、IMOの審議状況を考慮しつつ、機関区域のビルジを総合的に処理するための設計指針・基準、運用指針、評価基準等を規定した国際標準を作成する。
緊急度 やや急ぐ
参考資料 1. (MEPC 51/20) Revision of MEPC/Circ. 235 (Guidelines for systems for handling oily waters in machinery spaces of ships) incorporating the design concepts of the integrated bilge water treatment system (IBTS)
備考  
 
標準化が予期される分野・項目の補足(6)
分野 環境・資源循環分野
項目 TBT塗料の検査方法
現況 (1)IMOの審議状況
・「International Convention on the Control of Harmful Anti-fouling Systems for ships,2001」船舶についての有害な防汚方法の管理に関する国際条約(AFS条約)(2001年10月1日〜5日 国際会議:IMO)においてTBT船舶用塗料を2003年1月1日以降船舶に新たに塗布することの禁止、及び2008年1月1日以降船舶に存在することの禁止について、2001年10月5日に採択された。ただし、2008年以後の存在の禁止については、TBT塗料溶出防止のための塗料を上塗りすることは認められることとなった。
 条約は、25ヵ国以上が批准し、かつ、その合計商船船腹量が世界の25%以上となった日の12ヵ月後に発効する。(2004.1.31現在、日本を含めて7ヵ国、船腹量8.92%が批准)
・2001年AFS条約で引用され、IMOが作成することになっている次のガイドライン(指針)が、FSI 10及びFSI 11での検討を経て、MEPC48及びMEPC49において採択された。
 「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」
 「船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン」
 「船舶の防汚方法のサンプリングに関するガイドライン」
・「船舶の防汚方法の検査及び証書に関するガイドライン」は、MEPC48において、決議MEPC. 102(48)として採択された。規制対象となる防汚方法の解釈については、閾値として有機スズ量が乾燥塗料量の0.25%以下の防汚方法は規制の対象とならないことが、ガイドラインの附録(appendix)として規定された。( Resolution MEPC. 102(48) Guidelines for Survey and Certification of Anti-fouling Systems on Ships )
・「船舶の防汚方法のサンプリングに関するガイドライン」は、MEPC49において、FSI 11において作成された案が、一部修正の上、決議MEPC. 104(49)として採択された。( Resolution MEPC. 104(49) Guidelines for Brief Sampling of Anti-fouling Systems on Ships )
我が国は、一次検査方法として研磨紙を用いて塗膜表面から試料を採取して蛍光X線分析装置を使用してスズ含有を定量分析し、スズ含有が認められた場合にはさらに、二次検査方法としてガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を使用して有機スズを定量分析する2段階手法の主張してきたが、この検査方法が認められ、ドイツ提案の方法と共に、附録(appendix)に盛り込まれた。
・「船舶の防汚方法の監督(PSC)に関するガイドライン」は、MEPC49において、FSI 11において作成された案が、一部修正の上、決議MEPC. 105(49)として採択された。( Resolution MEPC.105(49) Guidelines for Inspection of Anti-fouling Systems on Ships )なお、このガイドラインは、PSCのための手順に係わるガイドラインである決議A. 787(19)に、船舶の防汚方法の監督に関する部分として追加されることになっている。
(2)国内の対応状況
・海上技術安全研究所(海技研)が造研RRで塗膜検査の方法を試験研究している。
 1次検査のサンプリング装置を平成13年度に開発し、スズの含有量を蛍光X線で調べ、まず、スズが0.25%含まれるか否かの判定が可能になった。その後、スズを含む塗料の分析によりTBTと同定する方法について研究を行っている。この2次検査には、CG-MSを使った方法で対応可能だと思われるが、すべての塗料に対して有効な前処理方法など課題が残っている。
・平成15年7月10日、AFS条約を国内法に取り入れるため、船舶安全法施行規則、船舶構造規則等を一部改正し、公布した。(国土交通省令第82号、国土交通省告示第1034号、第1035号、第1036号)(なお、省令等では、AFS条約は「2001年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約」(有害防汚方法規制条約)としている。)
規格化の可能性  AFS条約に引用されている3つのガイドラインが合意・採択され、方向が見えてきたので、次の標準化が必要と思われる。
・船底塗料の1次検査方法の標準化−塗料のサンプリング、スズ含有量測定
・2次検査方法の標準化−サンプリング塗料の前処理、化学分析の方法の標準化
・製品の検査方法の標準化−防汚塗料の分析方法の標準化
(製品の検査は(MSDS(Material Safety Data Sheet)で 良いことになっているが、製品を出荷段階で、ロット毎に検査する方法が最も確実である。また、塗料の種類が多い(約800種類)ので、これをカテゴリー分け(分類分け)し、その代表塗料を試験すれば良いシステムが出来れば負担を減ずることが出来る。)(製品の検査については、日本塗料工業会は評価委員会で評価し証明書を出すと言っているが、世界的には第三者機関の証明がいるのではないかとの議論が造研RRで行われている。)
規格の内容 IMOが定めたガイドラインに沿って、(1)防汚塗料の分析方法の標準化、(2)製品の検査方法の標準化 を目標に調査研究を行い、防汚塗料の分析方法、製品の検査方法等の手法の規格原案を作成する。
緊急度 急ぐ
参考資料 1. (MEPC48/21 ANNEX 8) RESOLUTION MEPC. 102(48) - GUIDELINES FOR SURVEY AND CERTIFICATION OF ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS
2. (MEPC49/22 ANNEX 9) RESOLUTION MEPC. 104(49) - GUIDELINES FOR BRIEF SAMPLING OF ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS
3. (MEPC49/22 ANNEX 10) RESOLUTION MEPC. 105(49) - GUIDELINES FOR INSPECTION OF ANTI-FOULING SYSTEMS IN SHIPS
4. (AFS/CONF/25) ADOPTION OF THE FINAL ACT OF THE CONFERENCE AND ANY INSTRUMENTS, RECOMMENDATIONS AND RESOLUTIONS RESULTING FROM THE WORK OF THE CONFERENCE
FINAL ACT OF THE INTERNATIONAL CONFERENCE ON THE CONTROL OF HARMFUL ANTI-FOULING SYSTEMS FOR SHIPS, 2001 - Text adopted by the Conference
5. (AFS/CONF/26) ADOPTION OF THE FINAL ACT OF THE CONFERENCE AND ANY INSTRUMENTS, RECOMMENDATIONS AND RESOLUTIONS RESULTING FROM THE WORK OF THE CONFERENCE
INTERNATIONAL CONVENTION ON THE CONTROL OF HARMFUL ANTI-FOULING SYSTEMS ON SHIPS, 2001 - Text adopted by the Conference
備考 ・造研RRにおいて、IMO対応のため、試験等が行われており、整合性を図る必要がある。
・1次検査の標準化については、ガイドラインでほぼ確立していると考えられるので、規格化には含めていない。
・機器メーカ、塗料メーカのメリットに結びつくかどうかが問題。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION