添付資料−8
提案予定国際規格の調査・分析結果
項目タイトル |
IMO規則又は議題: 火災安全システムに関する性能試験及び試験基準 SOLAS第II-2章、FSSコード及びFTPコードの統一解釈 |
IMO-LINK-No.又は審議報告 |
ISO/TC8提案規格名:
規格の種類: |
審議番号又は担当部会TC8/SC1 |
IMO規則内容又は審議事項 |
SOLAS条約第II-2章の2000年改正に伴い、FSSコードが新たに作成されたことより、「現行の勧告とSOLAS/II-2及び強制コードを調和させることに対する検討(米国提案)」、及び「機関区域及び貨物ポンプ室の固定式ガス消火装置の同等性認証に関するガイドラインの見直し(イタリア提案)」が、FP小委員会の新規議題としてMSC74(2001/05-06)にて承認された。 2002年のFP46より検討が開始され、短期、中期及び長期的目標の下で、FSSコード全体にわたる見直しが行われている。(別紙参照) |
ISO規格内容又は提案事項 |
FSSコード等の見直し、IMO勧告との調和における作業は、FP小委員会にISOメンバーも参加し、ISO規格との整合も含めて検討している。 FSSコードに関連する分野としては、これまで主にISO/TC92、ISO/TC61等が担当してきているが(別紙参照)、我が国提案の消防員装具、炎探知器等TC8/SC1における活動が活発化し始めている。今後も、IMOと連携を取りながら活動を進める必要がある。 |
関連資料 |
1. IMO/FPにおけるFSSコード関連の審議状況 2. FSSコード関連のISO/TC92、ISO/TC61の動向 |
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵: |
その他意見: IMO勧告において、ISO規格を参照することは、規則を運用する上でISO規格の著作権問題が加わり、条約として入手できるIMO勧告と、規格購入を余儀なくされるISO規格の参照により、IMO勧告の適用においてマイナスにならないかが、議論されることが多い。ISO規格を、国際条約であるIMO勧告に組み込むことの是非については、これからも意見が分かれる点と考えられる。 |
備考: |
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IMOにおける火災安全設備の性能試験及び承認基準の見直し
<背景>
SOLAS条約第II-2章が採択されFSSコードが新たに作成されたことより、「現行の勧告とSOLAS/II-2及び強制コードを調和させることに対する検討(米国提案)」、及び「機関区域及び貨物ポンプ室の固定式ガス消火装置の同等性認証に関するガイドラインを見直し(イタリア提案)」が、FP小委員会の新規議題としてMSC74(2001/05-06)にて承認され、2002年のFP46から4年計画で検討されることとなった。
FP小委員会では、FP46において「火災安全設備コードの総合的な見直しに関するコレスポンデンス・グループ」が設立され、作業の進め方について中期作業及び長期作業に分類した。その結果を以下に示している。
火災安全設備の性能試験方法及び承認基準に関する作業の分類
1 短期作業
1.1 機関室およびカーゴポンプ室の消火システム
1. 1. 1 ミスト消火装置(MSC/Circ.668/728&FSS code C5)
1. 1. 2 カテゴリーA機関室の固定式局所消火装置(MSC/Circ. 913 & Solas Reg. II-22/10.5.6)
1. 1. 3 固定式加圧水噴霧消火装置(Solas Reg. II-2/10.4.1.3 & 10.9.1.1 & FSS code C7)
1. 1. 4 固定式ガス消火装置(MSC/Circ. 848 & Solas Reg. II-2/10.4.1.1.1 & 10.9.1.1)
1. 1. 5 固定式高膨張泡消火装置(MSC/Circ. 670 & Solas Reg. II-2/10.4.1.1.2 & 10.9.1.1)
1. 1. 6 固定式低膨張泡消火装置(FSS code C6.2.3)
1. 1. 7 ポータブル泡消火装置(Solas Reg. II-2/10.5.2.2.1)
1. 1. 8 固定式エアロゾル消火装置(MSC/Circ. 1107)
1. 2 コントロール室、居住区、サービススペースの消火装置
1. 2 .1 ミスト消火装置(IMO A800(19) & Solas Reg. II-2/10.6.1 & 10.6.2)
1. 3 固定式火災探知警報装置
1. 3. 1 固定式火災探知警報装置(Solas Reg. II-2/7)
1. 3. 2 試料抽出式煙探知装置(Solas Reg. II-2/7)
2 中期作業
2. 1 車両区画、Ro-Ro区画、スペシャルカテゴリースペースの消火装置
2. 1. 1 ミスト消火装置(MSC/Circ. 914 & Solas Reg. II-2/20.6.1.2)
2. 1. 2 固定式加圧水噴霧消火装置(IMO A123(5) & Solas Reg. II-2/19.3.9 & 20.6.1.2)
2. 1. 3 固定式ガス消火装置(Solas Reg. II-2/20.6.1.2)
2. 1. 4 固定式高膨張泡消火装置(MSC/Circ. 670 & Solas Reg. II-2/20.6.1.2)
2. 2 貨物区画の消火装置
2. 2. 1 固定式ガス消火装置(Solas Reg. II-2/10.7.1.1,10.7.13 and 10.7.2)
2. 2. 2 固定式高膨張泡消火装置(MSC/Circ. 670 & Solas Reg. II-2/10.7.1.1,10.7.1.3 and 10.7.2)
2. 2. 3 甲板下部水噴霧冷却装置(Solas Reg. II-2/19.3.1.3)
3 長期作業
3. 1 コントロール室、居住区、サービススペースの消火装置
3. 1. 1 自動スプリンクラー装置、火災探知警報装置(Solas Reg. II-2/10.6.1 & 10.6.2 & FSS code C8)
3. 1. 2 固定式ガス、及びその他の消火装置(New testing and approval standard)
3. 2 固定式甲板泡消火装置
3. 2. 1 固定式甲板泡消火装置(MSC/Circ. 582 & Solas Reg. II-2/10.8.1)
3. 2. 2 同等の固定式甲板泡消火装置(Solas Reg. II-2/10.8.2)
3. 2. 3 火災の危険性を含む貨物のための固定式甲板泡消火装置(アルコール耐性泡)
(MSC/Circ. 553 & 799 & Solas Reg. II-2/19.6.2.1)
3. 2. 4 同等の付加的処置(固定式ドライケミカル消火装置)(Solas Reg. II-2/19.6.6)
3. 3 消火器全般
3. 3. 1 ポータブル消火器(Solas Reg. II-2/10.3.1 & FSS code C4)
3. 3. 2 消火ホース及びノズル(Solas Reg. II-2/10.2.3.1 & 10.2.3.3)
3. 3. 3 消防員装具(Solas Reg. II-2/10.10.1 & FSS code C3)
3. 3. 4 可燃性液体を含む区画の消火装置(塗料及び可燃性液体保管)(Solas Reg. II-2/10.10.1)
3. 4 ヘリコプターデッキの消火装置
3. 4. 1 ヘリコプターデッキの消火装置(Solas Reg. II-2/18.5.1)
<FPにおける審議内容>
FPにおいては、「現行の勧告とSOLAS/II-2及び強制コードの調和」及び「機関区域及び貨物ポンプ室の固定式ガス消火装置の同等性認証に関するガイドラインの見直し」を検討するとともに、ISO規格との整合についても、ISOメンバーを加えて検討している。
昨年のFP47では、FTPコード関連のISO規格の最新版が紹介され、IMOとしても最新版ISO規格を参照することで合意した。(ISO1182およびISO1716については、IMO判定基準に影響がないことより、可能なかぎり最新版のISO規格を使用することとし、ISO1182は1990年版の替わりに2002年版を、ISO1716は1973年版の替わりに2002年版を使用すること)
ISO 1716 : 2002 Reaction to fire tests for building Products -- Determination of the heat of combustion
ISO 1182:2002 Reaction to fire tests for building Products -- Non-combustibility test
(TC 92 / SC 1 Fire initiation and growth)
今年のFP48では、FSSコード関連の固定式ガス消火装置の基準関連見直しにおいて、MSC/Circ. 848の標準カップバーナー試験ではISO14520-1を参照することが合意された。また、高膨張泡消火薬剤の試験方法としてのISO7203-1及びISO7203-2の検討については、今回のFPでは審議時間が無く検討出来なかったので、次回またはコレスポンデンス・グループでの検討となるものと思われる。
ISO 14520-1 : 2000 Gaseous fire-extinguishing systems -- Physical properties and system design -- Part 1 : General requirement
(TC21/SC8 - Gaseous media and firefighting systems using gas)
ISO 7203-1 : 1995 Fire extinguishing media -- Foam concentrates -- Part 1 : Specification for low expansion foam concentrates for top application to water-immiscible liquids
ISO 7203-2 : 1995 Fire extinguishing media -- Foam concentrates -- Part 2 : Specification for medium and high expansion foam concentrates for top application to water-immiscible liquids
(TC21/SC6 - Foam and powder media and fixed firefighting systems using foam and powder)
<ISO/TC92(火災安全)の動向>
ISO/TC92(Fire safety: 火災安全)は、火災安全に関するISO規格の作成作業に当っており、その活動はISOの中で、TC8(船舶海洋技術)、TC61(プラスチック)、TC98(建築設計)をはじめ種々の技術委員会に対して縦断的である。また、その使用者であるIMO、IEC等とリエゾンを結んで協調している。TC92は従来、建築物の火災安全を中心に扱ってきたが、ここ10年の間、IMOとも密接に連携してきた。IMOではSOLAS等に関連して、TC92が作成したISO規格を多く利用しており、IMOの指針等に引用している。
ISO/TC92が作成したISO規格は、SOLAS条約及びその関連基準等に引用されている。例えば、
・SOLAS条約II-2章の脚注に引用されている規格としては、ISO1716材料の熱量ポテンシャルの測定方法がある。
・SOLAS条約II-2章によって強制力のある火災試験方法コード(FTP Code)に引用されている規格としては、ISO1182不燃性材料試験方法、ISO5660-1燃焼発熱速度の測定方法、ISO9705実大火災室試験方法がある。
・SOLAS II-2章 第17規則に定めている同等火災安全設計及び措置の評価・承認のための指針MSC/Circ. 1023では、ISO TR 13387(TR=Technical Report 規格の前段階の技術報告書)シリーズが評価方法として使用されている。
・FTP CodeのPart3及びPart5に規定する試験方法は、ISO834構造物の標準火災試験方法及びISO5658-2火炎伝播製試験方法に基づいて開発された。また、Part2の燃焼毒性試験方法については、ISO/TC92で現在作成中である。
従って、ISO/TC92の活動はIMOにとっても極めて重要である。
ISO/TC92には、以下の4つの小委員会(Sub-Committee: SC)がある。
・SC1(火災の発生と発達)
・SC2(火災に対する構造保全)
・SC3(燃焼毒性及び環境影響)
・SC4(火災安全技術)
欧州では、鉄道に関する欧州規格の統一作業において、各国独自の規格に代えてISO規格を使用する動向にあり、火災安全に関してはTC92が作成したISO規格を利用している。今後は、航空分野にも積極的に働きかけることで合意し、ICAOとも連携する努力を推進することとなった。
火災安全については、仕様的標準が従来使われてきたが、現在では、仕様書的標準を性能基準として策定し、火災安全設計及び設備を性能的に評価する方向にある。IMOでは2000年のSOLAS条約II-2章改正ですでにそのような方向を取り入れている。TC92ではこのような動向を積極的に捉えて、SC4を中心に火災安全評価に関するISO規格の作成作業を推進しており、その作業の目標、TC92内の各小委員会(SC)における作業内容と互いの連携を取り決めて活動している。
<ISO/TC61/SC4(プラスチック/燃焼挙動)>
ISO TC61はプラスチックに関するISO規格を作成している。その中には、漁船の船体材料として多用しているガラス繊維強化プラスチック(FRP)に関するISO規格も含まれている。
TC61中のSub-Committee 4(SC4)はプラスチックの燃焼性に関する基準、試験方法及び火災安全指針に関するISO規格を作成している。ここで作成している「プラスチック材料及びプラスチックを含む製品の燃焼発煙性試験方法 ISO 5659-2」は、SOLAS条約の第II-2章及びその下で強制要件となっている火災試験方法コード(FTP Code)において、船舶内装材料の性能判定基準に使用されている。また、SC4のいくつかのISO規格の試験方法は、強化プラスチック船の特殊基準に使用されている。さらに、IMOの漁船条約の下での漁船安全コード及び非強制指針に引用されている。
TC61の直結の作業部会WG2は、プラスチックに起因する環境問題に関するISO規格を作成している。災等)についても含まれる。
<IEC/TC89(電気設備の火災安全)>
船舶の火災の半数は機関室で発生している。さらに、機関室火災の原因の第2位は、配電盤、電気モータ等の電気設備から発生している。従って、電気設備の火災安全は、船舶の安全の上で重要なテーマである。また、船舶の業務区域及び居住区域で使用される電気設備(調理器、生活用電気設備、及び配電盤、電線等)から発生する火災も業務・居住区域火災の原因の多くを占めており、それらの火災安全も船舶の安全上重要なテーマである。
IEC/TC89が作成しているIEC国際規格は、IEC 60695の番号の下に、次のようにPartとして分類されている。
Part1: 火災安全指針関係
Part2: 火炎以外の発火(電気による異常加熱)
Part4: 用語
Part5: 火災発生物の腐食性
Part6: 発煙性
Part7: 火災発生物の毒性
Part8: 発熱性
Part9: 燃焼の広がり
Part10: 熱による変成
Part11: 発火小火源に対する耐性
IEC/TC89は、IECの中で火災安全を扱うHorizontal Committeeとして重要な役割を担っている。その作成する規格は、家電製品、一般工業電気設備、及び船舶用電気設備・機器の規格に引用され、使用されている。SOLAS条約のもとで引用されている舶用電気設備の規格IEC 60092シリーズにおいてもIEC 60695シリーズの規格が引用され、間接的にSOLAS条約を補佐している。今後もIEC/TC89の活動及びIEC 60695シリーズの国際規格作成作業に関与していくことは、重要である。
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