日本財団 図書館


(2)需要動向分析(計画フローチャート、ステップ4)
 需要動向分析では、対象者を仮定し、対象者の外出交通量の推計を行った。
 
注)交通機関については、本来はバス交通を含めた高齢者・障害者の利用できる公共交通の整備促進とあわせたサービスの検討が望ましいが、計算上ドア・ツー・ドアSTSのみで100%対応すると仮定し、必要な供給量を推計した。
 
 試算は、以下のA、B二つの方法でA方法は9ケース、B方法は2ケース設定した。
A. 対象者比率、外出頻度の設定による推計
 ケース1〜ケース9は、対象者を人口の一定割合と仮定し、外出頻度を月4トリップ等のように任意設定した。(フィンランドでは、STS対象者に月18トリップを最低保障)
 
B. 既存アンケート調査の介助必要度と外出頻度からの推計
 ケース10とケース11は、高齢者・障害者に対して行われた既存調査の属性別介助の必要度と外出頻度を反映した設定である。例えば、身体障害者の場合、障害の種類と程度別に外出頻度を試算し、トリップ数を算出した。
 
表9 各ケース別対象者、外出交通量(総トリップ数)、供給量の推計結果
ケース 対象者(人) 外出頻度
(トリップ/月)
総トリップ数/日 (参考)
必要な供給量/日
A. 対象者比率、外出頻度の設定による推計
ケース1 人口の5%
(19,756人)
4トリップ/月 2,633 658台
ケース2 8トリップ/月 5,267 1,317台
ケース3 16トリップ/月 10,533 2,633台
ケース4 人口の2%
(7,903人)
4トリップ/月 1,053 263台
ケース5 8トリップ/月 2,107 527台
ケース6 16トリップ/月 4,213 1,053台
ケース7 24トリップ/月 6,320 1,580台
ケース8 人口の1%
(3,951人)
4トリップ/月 527 132台
ケース9 24トリップ/月 3,160 790台
B. 既存アンケート調査の介助必要度と外出頻度からの推計
ケース10 介助が必要な者
(6,328人)
障害者
3,588人
(平均外出頻度)
約22トリップ/月
4,528 1,132台
高齢者
2,740人
ケース11 全面的な介助が必要な者
(3,247人)
障害者
2,227人
(平均外出頻度)
約21トリップ/月
2,261 565台
高齢者
1,020人
注)町田市の場合、現状のNPO等ボランティア団体以外にも町田市で通所介護(デイサービス)送迎を行う団体は43の事業所があり、各団体は車いす対応のリフト付車両は少なくとも1台以上保有している。上記の各ケース別試算結果(供給車両台数)は、これらの施設送迎の車両台数を含めた規模と考えられる。
 
A. 対象者比率、外出頻度の設定による推計
 
 総人口に占める一定比率を以下のような実態を考慮し、仮に対象者と設定した。
・総人口の5%とは、「地域福祉交通サービスの対象者」と想定した。
スウェーデンでは人口の5%がSTS利用対象者である。
わが国では、障害者と要介護高齢者を合わせた人数に相当する。
・総人口の2%とは、「外出の際に介助を必要とする者」と想定した。
・総人口の1%とは、「外出の際に全面的な介助を必要とする者」と想定した。
 
※仮定した外出頻度のケース設定は、NPO法人福祉交通支援センターが実施した「平成14年度移送サービス実態調査報告書」のアンケート調査結果等を参考にした。移送サービスの利用者は「希望する移送サービスの利用回数」を見ると、「月2〜3回」と回答した人が要介護高齢者の49.1%、障害者の44.1%である。次に、月4回の回答が多い。ケース設定では最低に月4トリップとした。
 
1)対象者の推計
 以下の方法を用いて、対象者を推計した。
 
総人口に占める一定比率を対象者と仮定した推計
 
 総人口に対する一定の比率を対象者として仮定した。
 本ケーススタディでは、次のケースを設定した。
 
・総人口の5% ⇒ Us = P × 0.05
・総人口の2% ⇒ Us = P × 0.02
・総人口の1% ⇒ Us = P × 0.01
 
Us:対象者  P:総人口
 
 推計結果を表10に示す。
 
表10 総人口に占める比率による対象者数
対象者 人数
総人口(町田市) 395,129人
・総人口の5% 19,756人
・総人口の2% 7,903人
・総人口の1% 3,951人
 
参考:町田市の場合、平成15年7月1日現在、総人口が395,195人で、総人口の5%は19,756人、2%は7,903人、1%は3,951人である。障害者は約1万人(身体障害者は8,554人、知的障害者は1,885人)、要介護高齢者は9,188人である。障害者と要介護高齢者を合わせると総人口の約5%である。
 
2)外出交通量の推計
 
 対象者の推計結果を基に、その対象者の外出交通量(総トリップ数)を推計した。
 全ての対象者に一定の外出回数(頻度)を保障すると仮定して算出した。
 
仮定した外出頻度による推計
 
 一定比率で定めた対象者に、仮定した外出頻度を乗じ、総トリップを求める。
 
Ts = Us × T
 
外出交通量 = 対象者 × 外出頻度
注)推計結果は、表9に掲載。
 
参考:供給量の推計
 
 対象者の外出交通量に対して、必要な供給量を算出した。ここでは、供給者が仮に100%のドア・ツー・ドア型STSで対応すると仮定して検討する。ただし、対象者は私的交通(自家用車等)や公共交通(バス、電車、タクシー等)を利用して日常の外出を行っている。
 
【必要な供給量(車両台数)の試算方法】
 
a. 前提:STSで保障する外出対象(1日の総トリップ数 Ts)を全て
ドア・ツー・ドア型STSにより対応。
b. 計算式: Cs = Ts / Tc
Cs : 必要な供給量(車両台数)
Ts : 1日の総トリップ数(トリップ/日)
Tc : 1台あたり1日の供給可能トリップ数(トリップ/日/台)
c. ・外出1回は、往復トリップと見なし、2トリップとなる。
・1カ月は30日と見なす。(Ts=Tms/30)
・1台あたり1日の供給可能トリップ数(Tc)は、STSの現状の実態を考慮し、
 午前1回(2トリップ)と午後1回の運行を想定し、「4トリップ/日」と仮定。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION