5)「地域コミュニティバス」に関する調査
ア)市民の交通行動、意識・ニーズの実態把握のための調査(導入前)
市民の交通行動ならびに交通に対する意識・ニーズを把握するため、以下の実態調査を実施した。
表2-32 実態調査の概要
調査名 |
調査対象 |
調査方法 |
回答数 |
市民交通意識調査 |
住民(16歳以上) |
住民基本台帳から2%をランダムサンプリングし、各個人に郵送で配布し、郵送で回収 |
710 |
自転車利用者調査 |
自転車駐車場利用者 |
市内の自転車駐車場で利用者に調査票を直接配布し、後日回収 |
1,005 |
公共施設利用者調査 |
公共施設利用者 |
市内の主要な公共施設の来訪者に調査票を直接配布し、その場で記入してもらい回収 |
1,518 |
グループインタビュー調査 |
住民(高齢者、主婦、学生) |
各地区ごと、各グループ毎に事前に通知した会場に集まってもらい、直接インタビューによる自由討議 |
140 |
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表2-33 グループインタビュー調査の結果(一部)
・バスについては、運賃、運行ダイヤ、路線、バスの遅れ、停留所の不備など、全般にわたって不満があり、特に中部、北部の人の不満が大きい。
・運賃については、わかりにくいこと、小銭を用意することが煩わしい、両替のプレッシャーなど、現行制度に不満が多く、地域内均一料金やバスカードの導入を希望している。
・バス要望では、最寄りの鉄道駅にアクセスする路線や地域をきめ細かく廻る路線を希望する声が大きい。
・市内循環バスについては、高齢者から希望の声がある一方で、路線が長くなり非効率との批判の声もある。
・早稲田や彦成で新設の希望が高く、松戸発市役所往きバスも三郷駅までの延伸の希望が高い。
・運行間隔15分位、バス停まで5分以内、運賃を100円とする、23時頃までの運行などを望んでいる。
・バスのボディのカラーリングやバス停表示板の番号表示をバスと同じカラーにする、識別しやすい方向幕などわかりやすさを求めている。
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イ)利用者調査(導入後)
(1)調査概要
新たなバス路線(6路線)に対して、路線ごとの利用実態や利用者の特性等を把握するために(1)バス利用者アンケート、(2)沿線住民アンケートを実施した。
表2-34 地域コミュニティバス対象調査の概要
調査名 |
調査方法 |
調査項目 |
a. バス利用者アンケート調査 |
調査票は、バスの利用者の乗車時に配布し、降車時に回収した。 なお、調査票は路線別に識別するために色で区分した。 |
・外出時の目的(通勤、通学、買物等) ・最寄のバス停までの手段 ・運賃の支払方法 ・バスによる外出頻度の変化 ・バスの利用頻度 ・バスが開通するまでの利用交通手段 ・バスに対する満足度 ・バスに対する意見 |
b. 沿線住民アンケート調査 |
路線2(早稲田循環)と路線6(新三郷東循環)の沿線を対象に調査票をポスティングによる配布・回収を行った。 |
・個人属性(性別、年齢、住所、職業、通勤・通学先) ・地域コミュニティバスの周知 ・地域コミュニティバスの利用 ・利用者、非利用者それぞれの不満 ・バスを使いやすくするための施策 ・バスに対する意見 |
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(2)調査結果
利用者調査の結果は表2-35のとおり。
表2-35 利用者調査の結果
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内容 |
a. 市民がバスに求めるもの(求められるバスの品質) |
・移動における所要時間の短縮=速達性 ・バスは時間通りに来て、時間通りに到着=定時性 ・運行時間帯が幅広いこと ・運行本数は1時間に4本は欲しい ・自宅の近くにバス停留所があること ・運賃の実負担額は150円位まで |
b. 市民がバスで移動する範囲 |
・自宅から指向する鉄道駅まで ・生活するコミュニティ内、あるいは隣のコミュニティ内 |
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ウ)求められるバス交通
・各コミュニティ内を、きめ細かく回り、高頻度で、短いルートで最寄りの鉄道駅にアクセスするバス。
・1路線だけでなく複数路線運行し、相互に連絡することによって、全体として一つの公共交通サービスを展開するシステム(既設路線も含む)。
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・利用者が便利と感じるバス=利用されるバス=採算性の高いバス
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6)事業の概要
計画、運営、運行の各段階における自治体とバス事業者の役割分担を表2-36に整理した。
表2-36 自治体と事業者の役割分担
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自治体 |
事業者 |
計画 |
路線、バス停位置(地元調整)、ダイヤ車両等の素案を策定 |
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運営 |
走行環境整備 路線図と時刻表全戸配布 運行開始後のフォローアップ調査 運行費補助はしない |
・市との協議に基づく運行サービスの決定 ・路線の新設、変更等の許可申請 ・バス停設置場所の住人への承諾 |
運行 |
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・道路運送法に基づく乗合バスの自主運行(独立採算制) ・市のバスフォローアップ調査による利用者の声に応え、随時運行サービスの見直しを図る |
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注)関東運輸局地域交通企画課から、三郷市のバス再編成計画の先進性、有効性が認められ、平成13年12月28日、国土交通省、警察庁から認定される。実験期間は、平成14年1月16日〜平成16年1月15日。
資料:中村文彦「バス輸送計画の新しい展開に関する考案」土木学会ワンデーセミナー38をもとに、三郷市ヒアリング調査で加筆
図2-47 金町駅南口〜三郷駅南口路線
規制緩和後に参入したマイスカイ交通が、三郷市のコミュニティバス(金町駅南口〜三郷駅南口路線)を京成タウンバスと共同運行している。
表2-37 三郷市の財政負担
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内容 |
支出額(円) |
調査費等 |
地域循環バス調査、バス路線道路調査、橋梁耐荷力調査、バスフォローアップ調査、TDM効果分析・バスフォローアップ調査 |
12,868,800 |
走行環境・バス停留所等整備 |
交差点改良、バス停整備、道路反射鏡整備、道路照明灯整備、上屋・ベンチ整備、市役所バス回転所整備、サイクルアンドバスライド自転車置き場整備等 |
12,902,666 |
インフォメーション関連経費 |
バス利用ガイドブック、バス利用促進ポスター、看板等 |
4,460,767 |
TDM 実証実験運行費補助 |
キスアンドライド、サイクルアンドバスライド |
55,389,000 |
計 |
85,621,233 |
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出典:三郷市資料
表2-38 バス事業者の運行コストの推計(地域コミュニティバスのみ)
平成15年度の推計 |
4.56億円 |
平成16年度の推計 |
5.26億円 |
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7)バス路線再編成の効果
バス路線再編成の効果を(1)〜(6)にまとめた。
(1)市民意識調査の結果、「良くなったと思われる施策」の第1位に(図2-48)
(2)予想以上の利用者の確保
(3)市民の外出頻度が増加
(4)キスアンドライドの減少(6:30〜8:30)
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台数(路線再編前⇒路線再編後) |
三郷駅南口 |
302台⇒168台 |
三郷駅北口 |
350台⇒176台 |
新三郷駅東口 |
100台⇒ 90台 |
新三郷駅西口 |
347台⇒267台 |
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(5)渋滞緩和効果を発揮
・三郷駅北口では渋滞長250〜300mから180m程度に緩和
・三郷駅南口では渋滞長250から150m程度に緩和
(6)地域コミュニティバスを広告媒体として活用
図2-48 市民意識調査における施策の評価
第14回調査(路線再編後の平成14年度実施)
第13回調査(平成11年度実施)
8)今後の課題
さらなる利便性向上のために、以下のようなサービスの展開を検討している。
(1)適正利潤を達成できる利用者の確保
⇒利用者を確保できる新たな商品開発、サービスの向上策の検討
⇒自転車利用者をどれだけ取り込めるか、自転車が最大の競争相手
(2)ICカードの導入、導入に伴う乗り継ぎ割引制度の検討
(3)利用者ニーズに基づく運行計画の見直し等素早い対応
(4)つくばエクスプレス三郷中央駅の開業、三郷インターチェーンジ周辺の大規模商業施設のオープンに併せた路線バスネットワークの再構築
⇒三郷中央駅アクセス20分構想
・三郷中央駅を境にした路線の分割、地域コミュニティバスの相互乗り入れ
・新たな路線の検討
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