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2.4.2 国内事例
 
(1)おだかe-まちタクシー(福島県小高町)
DRT等の新しい交通システム国内事例
 
 本事例は、小高町商工会連合会のホームページより内容を抜粋し、作成した。
 
1)小高町の概要
 小高町は福島県の東端部に位置しており、面積は91.95km2、人口は13,731人(平成15年3月31日現在、住民基本台帳による人口)で、65歳以上の高齢者人口は3,526人(全人口に対する高齢者比率は25.7%)である。
2)おだかe-まちタクシーの概要
 「おだかe-まちタクシー」は、国土交通省の平成13年度「交通不便者のシビルミニマム確保のためのデマンド交通システムのモデル実験事業」に採択され、最新のITを活用したデマンド型乗合タクシーである。住民は誰でも電話で「まち情報センター」へ利用の30分前までに乗車申込をするだけで、自宅から目的地までのドア・ツー・ドアの送迎サービスを100円または300円の均一料金で利用できる。
(1)運行システムの概要
 「おだかe-まちタクシー」の運営は町の補助を受けて小高町の商工会連合会が主体となって実施し、運行業務を地元のタクシー事業者へ委託している。利用者は、乗車受付と配車業務を行う「まち情報センター(オペレータ2名)」に、乗車場所、降車場所、利用希望時間を電話で申し込み、まち情報センターでは、同じ方面に移動する複数の利用者を乗り合わせるために、その情報をタクシー(3台)に伝える。タクシーのドライバーは、その情報を受け、各利用者をドア・ツー・ドアで送迎する。
 図2-35 に、運行イメージを示す。
 
図2-35 「おだかe-まちタクシー」の運行イメージ
 
(2)運行路線と運行時刻
 「おだかe-まちタクシー」は町内を郊外部の東西2エリア(東部線、西部線)と町中心部のまちなかエリア(まちなか線)の3つに区分し、利用料金は小高町の補助と乗合方式により、100円(まちなかエリア内)または300円(東部線、西部線)の均一料金で実施可能となった。運行時間帯は、まちなか線が午前8時から午後5時まで20分間隔で運行し、東部線と西部線は午前8時から午後4時30分までで、いずれも平日のみの運行である。時刻表は目安であり、予約の際の利用希望時間に合わせて利用者の移動に柔軟に対応し、運行する。予約がない場合は運行しない。図2-36は路線図と時刻表、図2-37は車両とまち情報センター(予約センター)を示す。
 
図2-36 「おだかe-まちタクシー」の路線図と時刻表
 
東部線 上り 下り
・浦尻 ・井田川
・下蛯沢 ・上蛯沢
・下浦 ・上浦
・行津 ・神山
・泉沢 ・福岡
・上耳谷 ・下耳谷
・女湯 ・村上
・角部内 ・塚原
・大井 ・川原田
・岡田 ・南町
・田町
8:00  
9:00  
10:00 10:30
11:00 11:30
12:00 12:30
13:00 13:00
14:30 14:30
15:00 15:00
15:30 15:30
16:00 16:00
16:30 16:30
 
西部線 上り 下り
・大富 ・金谷
・羽倉 ・川房
・大田和 ・摩辰
・北鳩原 ・南鳩原
・小谷 ・角間沢
・飯崎 ・小屋木
・片草 ・上根沢
・吉名 ・小高
・関湯
・西町
8:00  
9:00  
10:00 10:30
11:00 11:30
12:00 12:30
13:00 13:00
14:30 14:30
15:00 15:00
15:30 15:30
16:00 16:00
16:30 16:30
 
 
図2-37 「おだかe-まちタクシー」の車両、まち情報センター
 
(3)利用状況
 月ごとの変動はあるが、1ヵ月に約2,000人前後の乗車人数となっている。平成14年度の年間運行日数は245日で、1日平均95.6人/日(土曜運行を除く)の利用状況であった。図2-38に、平成14年度の利用状況を示した。
 
図2-38 「おだかe-まちタクシー」の利用状況(平成14年4月〜平成15年3月)
 
(4)収支状況
 平成14年度運行収支状況を、表2-24に示した。タクシー借上料やオペレータ人件費等を含めた総支出は、約1,600万円。
 
表2-24 「おだかe-まちタクシー」の決算収支(平成14年度)
 
○収入
科目 金額
乗車収入 6,740,600円
広告収入 350,000円
サービス収入 299,000円
雑収入 191,673円
町補助金 8,400,000円
商工会負担金 100,000円
合計 16,081,273 円
 
○支出
科目 金額
タクシー借上料(3.5台) 12,050,000円
人件費(2人) 2,747,500円
消耗品費 172,149円
水道光熱費(家屋費) 214,939円
申請委託料 136,500円
雑費 238,901円
その他 420,000円
合計 15,979,989 円
出典:国土交通省東北運輸局ホームページ(http://www.tht.mlit.go.jp/kk/0301syou.pdf
 
15年度はそれまでの試験運行から本格運行になるため、システム保守料に通信費が加わり、また家賃の支払いも増加する。そのため、14年度に比べて約150万円程度支出が増加する見込みになり、それに伴って町の補助金も増加している。







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