| (4)つばめあんしんネット21(愛知県名古屋市) タクシー事業者   1)事業所特性 運行拠点都市人口: 約210万人(平成15年3月31日現在) 保有車両台数: 53台(うち、スロープタイプ車いす対応車両3台、回転シート付介護タクシー車両38台、 普通車12台) 8台(患者搬送用ストレッチャー・リフト対応車) 登録運転者数: 80名 ホームヘルパー2級: 57名 ガイドヘルパー: 17名(男性9名、女性8名)   2)介護・移送サービス  介護・移送サービスを、グループ内専門の会社で提供しており、営業社員に対しホームヘルパー2級養成研修を実施している。介護保険適用者や障害者支援費制度認定者には、以下の図2-22〜26のような利用料金でヘルパー付タクシーを利用できる。一方、認定を受けていない人は1時間3,600円からヘルパー付タクシーを利用できる。  通院後介護タクシーで帰宅し、入浴サービスを受ける利用者もいる。深夜の安否確認を兼ねたトイレ介助も行っている。通院先、疾患名等の個人情報を管理している。 (1)介護保険適用者の利用例 【例1】居宅内からN病院に通院。通常だと付き添い介助が必要だが、独居の為介助者がいない。病院内の介助を希望しているTさんの場合。(要介護3)   図2-22 介護保険適用者の利用例1   【料金の算出例】 身体介護2にて算定し、30分以上1時間未満の場合 :402単位×10.6(特甲地加算)=4,261円  ⇒ 介護保険の利用者一割負担=427円   【例2】公団住宅11階の居宅内からA病院の受付までの介助が必要なKさんの場合。(要介護2)   図2-23 介護保険適用者の利用例2   【料金の算出例】 お迎え料金+メーター料金が1,500円未満の場合 :1,500円-1,000円(介護保険)=500円 介護保険一割負担=106円 ⇒ 合計料金は、606円   【例3】居宅内からK病院まで毎週3回透析にて通院。身体状況は、手足腰が弱り、歩行ができず車いすで移動しており(要介護4)、透析前の着替え、体重測定、血圧測定等を希望しているAさんの場合。   図2-24 介護保険適用者の利用例3   【料金の算出例】 介護時間が20分以上30分未満の場合、 降車後に20分以上の介助がある為、身体介護1にて算定 :介護保険一割負担=245円   注) 但し、タクシー料金が介護料金を上回る場合は別途料金を収受   (2)障害者支援費制度の認定者の利用例   【例1】N病院に毎週3回通院を希望しているMさん。身体障害者手帳の交付を受けており、支援費制度の認定を受けたMさんの場合。   図2-25 障害者支援費制度の認定者の利用例1   【料金の算出例】 身体介護中心30分未満の算定 :身体介護にて算定を行う。   【例2】毎週月〜金曜日までH作業所までの通所を希望しているKさん。知的障害者の認定を受けたKさんの場合。   図2-26 障害者支援費制度の認定者の利用例2   【料金の算出例】移動介護1時間未満の算定
 :乗車前介護時間+降車後介護時間が30分以上1時間未満なので移動介護1時間未満の算定になる。   注) 但し、タクシー料金が介護料金を上回る場合は別途料金を収受   (3)介護保険制度改定(平成15年4月)以降の利用者の変化  介護保険で要支援認定の方は、4月以降新設された乗降介助の算定も対象外になり、介護タクシーの利用は実費負担を強いられ利用が減少した。  透析患者で、要介護1〜3の方は着替えから透析室のベットメイクまでをしても、降車後の介護時間は30分未満が多く、介護保険の身体介護での算定ができず乗降介助にて算定する為、やむなく一般介護料金600円/15分を収受し対応している。  全体的に、乗降介助の算定になり実費負担が増した為、今まで往復利用(透析・通院等で)されていた方が片道利用となるなど、介護タクシーの利用を控えて家族が対応するケースが増え、利用者の家族に負担がかかっている。  障害者支援費制度の利用は、当初の見込みよりも多い。介護タクシーだけでなく、地下鉄等公共交通機関を利用する場合や入浴介助・散歩等も多い。今まで家族の負担が大きかった事や、外出に困っていたことがうかがえる。  介護保険、支援費制度が適用できない利用者の利用が、介護・移送サービス全体の約10〜15%を占める。 3)緊急通報・位置情報支援サービス  高齢者・障害者を対象とした、生活支援・福祉型の24時間即応体制の緊急支援サービス事業を実施。ドライバーは法律で定めた警備員教育を受講し、資格を取得しており、6ヵ月ごとに再研修を受けている。また、ドライバー全員、市消防局が応急手当の一定の技術と知識を持つ人に対して認定する「市民救急員」の資格を持っている。 (1)緊急通報支援サービス(ホームセキュリティサービス)  無線指令センターを、「監視センター」としてコンピューターの監視装置を設置し、会員宅に緊急通報用のホームターミナルを設置し、監視装置とホームターミナルをオンライン(NTT回線)で結び、24時間即応体制で監視する。 (2)屋外緊急通報サービス(ポケットセキュリティ)  散歩中、突然発作など屋外での緊急時に、会員のGPS機能を搭載した携帯電話から緊急通報ボタンが押されると自動的に「指令センター」に通報され、「指令センター」では監視画面で会員の居場所を確認し会員の元にタクシーを急行させる。 (3)徘徊高齢者・子ども位置探索確保サービス(シルバー・こどもSOSサービス)  高齢者や子どもが衣服に受信専用PHSを身に付けることにより、家族からの依頼があった場合に、警備車両(タクシー)が急行して保護するシステム。 4)今後の展望 ・乗降介助だけの教育しか行っていないと、利用者・事業者双方の負担は増える。 ・必要以上に身体介護の時間を引き伸ばす訪問介護事業者がいることに疑問を感じる。 ・同じ時間帯に通院利用が集中する場合は、相乗りを含めて効率的に配車する。 |