2.3.3 タクシー事業者
(1)げんき交通(青森県青森市)
タクシー事業者
1)事業所特性
運行拠点都市人口:約30万人(平成15年3月31日現在)
保有車両台数:リフト付車両2台(1BOX 2台、中型バン1台、軽自動車1台)
登録運転者数:3名(冬期にはボランティア2名が加わる)
利用料金:基本650円(1.5kmまで)+加算運賃80円(262m毎)、迎車料金なし。ストレッチャー使用の場合は、3,100円(30分毎)
2)特徴
平成14年4月から運行を開始した、車いすのまま乗車できる福祉タクシー専門の会社。市の発行する社会福祉協議会、ボランティア、タクシー会社共通の「福祉タクシー・移送サービス利用券」が利用できる。
1日1台当たりの平均運行回数は2〜3回、多い時は1日1台当たり5〜6回の利用もある。利用目的は「通院」が多く、1回の平均利用料金は1〜2千円。「通院」の後に、買物など複数の場所を移動する人は3〜5千円となる場合が多い。
冬期の降雪時には、利用者数の増加により、売上が3〜4割アップする。
3)収支
車両購入補助は受けておらず、介護保険制度は利用していない。ドライバー3人への給与は、1人当たり約15〜20万円/月である。
年間走行距離が、1万キロに満たない福祉車両の車検間隔を、現状の1年より長く(例えば3年)する規制緩和を希望している。
【売上】
福祉タクシー1日の売上は、1台平均約5千円(4台で1ヵ月約65万円)であり、同市内他社のセダンタクシー1日の売上は、1台平均約2万円である。
4)今後の展望
市の「福祉タクシー・移送サービス利用券」導入、ボランティアの移送サービスの運行開始、タクシー事業者の福祉タクシー部門への参入等により、家に閉じこもりがちだった人が外出するようになった。当該タクシーは、社会福祉協議会の移送サービス提供時間外も利用できるので、今後の利用者増加を希望している。
将来、県からのバス運行委託を受け、安定収入を得たいので、ドライバーに大型2種免許の取得をすすめている。
※参考:同地域には、病院と契約して透析患者の送迎を行っている事業者もある。
図2-20 車いす対応のリフト付車両
(上:リフト付1BOX 下:軽自動車(左)、中型バン(右))
(2)松竹タクシー(青森県青森市)
タクシー事業者
1)事業所特性
運行拠点都市人口:約30万人(平成15年3月31日現在)
高齢者・障害者対応可能な保有車両台数:
回転シート付セダン車両2台、車いす対応軽自動車1台
ホームヘルパー2級有資格者/登録運転者数:5名/46名
車いす対応軽自動車の料金:タクシー料金以外に指定料500円が必要
2階以上の住宅の居住者への介助:1,200円/30分
利用資格:特に制限なし
2)特徴
平成14年8月から回転シートを有するセダンタクシー車両、平成15年8月から車いすのまま乗車できる軽自動車タクシーの運行を開始した。利用者のうち、障害者は2名だけで、他は高齢者である。ほとんどの利用者には、介助者が同乗している。降雪時は普段より利用者が増加する。
3)収支
介護保険制度や障害者支援費制度を現在は利用していないが、今後利用する予定。福祉輸送を担う会社として、将来はドライバーの歩合制の見直しを考えている。
4)今後の展望
病院からの委託を含め、利用者の増加を希望している。単なる地点間輸送だけでは、タクシー業界の将来は見えないので、多角的な輸送を行いたい。
【制度への対応】
・利用者の乗降介助は乗車、降車それぞれ平均10分位かかるが、時間のかかる場合、もし介護保険制度の「通院等乗降介助」を導入しても採算はとれない。
・タクシードライバーが、高齢者・障害者を通常のメーター料金のみで介助する「ケア輸送士」注)の資格では本来のヘルパー業務はできないので、ホームヘルパーの資格を取得させている。地方都市でもタクシー業界が研修等でホームヘルパーの資格取得のためのサポートを行ってほしい。
注)民間の介護サービス事業者らがつくる社団法人「シルバーサービス復興会」の認定する制度。
※参考:同一地域の他社は、ヘルパー資格を持っていないドライバーが介助しても、介助料金3,000円を徴収している。
(3)つばめタクシー(青森県六戸町)
タクシー事業者
1)事業所特性
運行拠点都市人口:約1万人(平成15年3月31日現在)
保有車両台数:リフト付車両1台
登録運転者数:15名(ホームヘルパー有資格者はいない)
2)特徴
(1)リフト付タクシーの運行
リフト付タクシー1台を運行し、月別利用者数は約50人である。運賃は小型タクシーと同額で、介護保険制度は利用していない。利用者は、社会福祉協議会の予約が取れない時にタクシーを利用することが多い。
三沢市内の病院利用者にも対応しており、片道2,600円/30分(迎車費用含む)である。
(2)町民バスの委託運行事業
大型2種免許保有運転手(7人)が町民バスを担当しており、町民バスを担当している運転手は、空いている時間にタクシーを運転する場合もある。
町民バスの運行により、通院する高齢者がタクシーの利用から100円の町民バスにシフトし、タクシーの売上は35%の減少となった。一方、バスの運行自体をつばめタクシーが受託した増収により、経営のバランスが取れている。
3)今後の展望
平成15年8月15日からシャトルバスを1日6便で運行している(図2-21)。
図2-21 八戸駅〜下田SC間のシャトルバス (運行:つばめタクシー)
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