(3)青森市交通部管理課
地方自治体のSTS関連交通政策の現状
1)事業者特性
市営バスの運行・管理
運行拠点都市人口:約30万人
保有車両台数:220台(平成15年10月現在)
(うち、スロープ付ワンステップバスが11台、空港専用車7台、貸切バス26台)
2)利用状況
1日の利用者は3.1〜3.2万人/日で、そのうち約35%の1.1〜1.2万人/日が70歳以上である。70歳以上の高齢者の場合は、市健康福祉部が発行する市営バス福祉乗車証を利用して無料で市営バスに乗車している(平成15年度から交付手数料1,000円がかかる)。また、正確なデータではないが、障害者の利用は1日当たり約千人と推定する。
車いす使用者の利用は、平成13年度11人、14年度6人、15年度は10月現在2人と少ない。その理由としては、自家用車を利用する人が多いこと、歩道に積雪がない概ね4〜11月の利用に限られること、ノンステップバスが導入されていないこと(車いす使用者の全面的な介助が必要なワンステップバスは11台導入されている)等が挙げられる。また、ノンステップバスについては、車体底が雪道のわだちに接触することや、傾斜道では車両の前頭部が地面にあたることなどが心配されているため導入されていない。
3)経費等
・車両の平均使用年数は約11年である。(新車と古車の使用年数を平均)
・ドライバーの平均給与は、正職員700万円、退職後の再雇用、臨時職員等は330〜380万円。
・豪雪地帯なので、1年間の除雪費は17〜18億円程度かかっている。
(4)八戸市高齢福祉課、障害福祉課、政策推進室
地方自治体のSTS関連交通政策の現状
1)八戸市の概要
八戸市は、県の南東部に位置し、気候は比較的穏やかで冬期の積雪が少ない。面積は214.04km2、人口は244,075人(平成15年3月31日現在)で、人口密度は1,140人/km2である。65歳以上の高齢者数は42,524人(17.4%)である。要介護(要支援)認定者は6,602人(平成15年3月31日)である。身体障害者手帳所持者数は7,233人(平成15年3月31日)である。知障障害者(愛護手帳所持者)は1,154人であり、精神障害者手帳所持者数は771人である(表2-14、15、16)。
表2-14 身体障害者手帳所持者数 平成15.3.31現在(人)
障害の種類 |
計 |
割合 |
視覚障害 聴覚・平衡機能障害 音声・言語等機能障害 肢体不自由 内部障害 |
514 481 55 4,217 1,966 |
7.1% 6.7% 0.8% 58.3% 27.2% |
計 |
7,233 |
100% |
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表2-15 知的障害者数(愛護手帳所持者) 平成15.3.31現在(人)
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重度(A) |
中・軽度(B) |
計 |
割合 |
知的障害児(18歳未満) 知的障害者(18歳以上) |
131 468 |
154 401 |
285 869 |
24.7% 75.3% |
計 |
599 |
555 |
1,154 |
100% |
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表2-16 精神障害者保健福祉手帳所持者数 平成15.3.31現在(人)
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1級 |
2級 |
3級 |
計 |
精神障害者 |
414 |
290 |
67 |
771 |
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2)外出支援
(1)バス
公営1事業者(八戸市営バス)、民間3事業者(南部バス株式会社、十和田観光電鉄株式会社、JRバス東北株式会社)による路線バスが運行されている。
車いすを使用したまま乗車できる低床バス注(ワンステップバス)は、市営バスが150台中5台(スロープ付5台)、南部バスが119台中25台(スロープ付11台)、十和田観光電鉄が109台中34台(スロープ付29台)を導入している。
注:社団法人青森県バス協会「ワンステップバス導入状況」資料(平成15年2月1日)による。
○障害者特別乗車証等の助成事業(バス券)
・対象者:身体障害者手帳4級以上・愛護手帳・精神障害者保健福祉手帳を所持している者で6歳以上の人
・助成額:前年12月1日の交付者数(2,560人)に単価(23,660円)を乗じて助成する。(15年度予算額:60,570千円)
・所得制限はあり、利用制限はない。タクシー券との併用不可、手数料なし。
○高齢者特別乗車証及びバス回数券交付
○視覚障害者向けの音声合成放送装置による各停留所での車外放送
○その他のバスサービス
・「ワンコインバスうみねこ号」(市営バス)
・循環コミュニティバス「るるっぷ八戸」(南部バス)
(2)移送サービス・タクシー券等
バスが利用できない障害者対策として、重度心身障害者を対象にタクシー料金助成制度がある。重度障害者で、身体障害手帳1級・愛護手帳Aの人は、バス券とタクシー券のどちらかの選択となっている。
NPO移送サービスに対する補助は特にないが、福祉タクシー券でのNPO法人さわやかネットの利用を可能にした。
自家用自動車の給油券の助成について、障害者の要望があり、今後実施に向けて検討中である。
○福祉タクシー・移送サービス利用券の補助制度
・対象者:身体障害者手帳1級・愛護手帳Aの人
・助成額:1枚520円の利用券を月4枚の割合で、年間48枚を限度とする。
・利用制限・所得制限はないが、バス券との併用は不可
表2-17 福祉タクシー券の利用状況(平成14年度)
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交付者数 |
利用枚数 |
助成額 |
平成13年度 |
1,191人 |
35,653人 |
17,112,000円 |
平成14年度 |
1,254人 |
38,357人 |
18,411,000円 |
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※うち、NPO法人さわやかネットの平成14年度利用額は478,080円(996枚×480円)
3)課題及び今後の展望
・バス路線の撤退が進む中、交通弱者のモビリティ確保
・効率的な財源の活用(市営バス事業への一般会計からの補助、民営バスが運行する広域的幹線的生活路線に対する補助)
・平成15年8月から「八戸市営バス事業検討委員会」を設置し、今後のバス事業のあり方について検討している。
(5)六戸町保健福祉課、総務課
地方自治体のSTS関連交通政策の現状
1)六戸町の概要
六戸町は、青森県上北郡の東南部に位置し、面積は84.06km2、人口は11,058人(平成15年3月31日現在)で、人口密度は131.5人/km2である。65歳以上の高齢者人口は2,647人(23.9%)。要介護(要支援)認定者数は450人、身体障害者手帳所持者は641人、愛護手帳所持者は77人である。(平成15年3月31日)
2)外出支援
(1)町民バス
町民バス事業は、町の単独事業(道路運送法第80条による自治体の自家用バス運行)として、小学校の統廃合に伴うスクールバスに一般の人も乗車できるようにして、通学時間以外の空き時間を含め1日4〜5便の運行頻度を確保している(図2-7)。
図2-7 六戸町の町民バス、バス停、路線図
(拡大画面:115KB) |
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資料:六戸町「町民バス時刻表」資料(平成15年5月)による |
町民バスの利用料金は大人100円、子供(中学生以下)50円。H13年度から運行を開始し、現在6台(4台運行、2台予備)を町が所有し、タクシー会社に運行を委託(毎年入札)している。平成14年度の年間利用者数は、延べ51,133人で、1日平均利用者数に換算すると約140人である。
町民バス事業の収支内訳をみると、運賃収入(4,493千円)に対して支出(45,058千円)が多い。スクールバスに対する国の補助金(地方交付税として34,529千円)で補っている。
(2)移送サービス
六戸町社会福祉協議会(運転スタッフ1人、車両1台)が移送サービスを実施している。社会福祉協議会のほかに、民間交通事業者(つばめタクシー)がリフト付車両1台を運行している。
表2-18に社会福祉協議会のサービス事業概要をまとめた。
表2-18 六戸町社会福祉協議会の事業概要
事業開始 |
平成10年4月1日 |
運行範囲 |
六戸町以外に隣接する十和田市、三沢市、下田町及び百石町 |
サービス提供時間 |
月〜金 8時30分から午後5時まで |
利用料金 |
出発地から15km未満 1,000円、15km〜20km未満 2,000円 20km〜30km未満 3,000円 30km以上の場合、10km増すごとに500円を追加する。 |
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資料:六戸町「移送サービス事業実施要綱」資料(平成15年4月)による
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