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作業部会の設置
 
16.23 当委員会は、全般的審議の後、次の付託事項をもって、作業部会を設置することで合意した。
 
 プレナリーにおける関連提出文書及び審議を考慮して、
 
.1 MARPOL改正分の作成を意図して、Category 1、Category 2及びCategory 3タンカーのphasing-out年月日の前倒し提案について、さらに議論すること。
 
.2 single-hullタンカーによる重油輸送の禁止を、MARPOL附属書Iの下の地球規模方策として受け入れることの可否について、さらに議論すること。
 
.3 Condition Assesment Scheme(CAS)適用問題について議論すること。
 
.4 7月17日(木)に、プレナリーに結果報告すること。
 
16.24 当委員会は、作業部会報告書を受け取った時点で、12月の特別会期開催の可否について議論することで合意した。
 
作業部会の結果
 
16.25 当委員会は、作業部会報告書(MEPC 49/WP.8)の紹介を受けて、以下の作業部会討議の主要点を銘記した。
 
Category 1タンカー
 
 作業部会は、改正提案の下のCategory 1タンカーの前倒しphase-outについては、海運界にとって大きな問題とはならないことを認識して、当委員会に対し、2007〜2005年の最終期限を前倒しするphase-out計画を促進することで合意するよう勧告した。
 
Category 2及びCategory 3タンカー
 
 作業部会は、これらのタンカーの前倒し計画については、合意に達することができなかった。欧州連合加盟国の改正提案により生ずる、2010年の約6千700万DWT(タンカー700隻)のphase-outトン数という甚だしく高いピークに関するExpert Group Impact Studyの所見(MEPC 49/INF.34及びAdd.1)については、業界オブザーバー及びいくつかの代表団が容認できないものとして、作業部会議論の過程でしばしば引用されている。
 
 EU提案共同スポンサーが、主管庁の取り計らいで、CASへの応諾及び入港拒否の権利付条件で、しかも妥協不可能条件で、最大限引渡し日の25年後又は2015年の早いほうの日まで、比較的新たに建造されたタンカーの運航寿命を延長する検討を準備するであろうことを示唆した。
 
 日本代表団が、いくつかの代表団の支持を受けて、最終的に、とりわけて“Heavy grade oil tankers”のphase-out規定を編入した、MARPOL第13F及び13G規則を改正する代替提案を推し進めることを決定した。このことにより新たな追加規則は不要となる。
 
Heavy Grades Oil(HGO)
 
 作業部会は、流出後分散しないか又は目下利用可能な分散剤に反作用しないheavy grades of oilだけを含むように、HGOの定義を規定する必要があることで合意した。作業部会は、重質原油及び燃料油の定義における、“比重”及び“運動学的粘性”パラメータの組み合わせ利用の可能性に関する件について、さらに作業すべきことで合意した。
 
 作業部会は、EU提案におけるHGO運搬小型タンカーに対する2008年の禁止日提案については、合意できなかった。600〜5,000 DWT小型タンカーに対する当該提案における厳格なdouble-hull要件についても、コンセンサスを得る障害となっていることが判明した。作業部会は、EU提案の下のもっぱら港内事業に従事するタンカーへの免除認可の内国貿易への拡張の可能性を取り扱ったが、このことは、2003年12月のMEPCで決定すべき政策事項であると決定した。
 
Condition Assesment Scheme(CAS)の適用
 
 作業部会は、2005年からの、15歳以上のCategory 2及びCategory 3へのCAS要件の適用で合意した。作業部会は、現行要件を超えた拡大適用が、MARPOL第13G規則改正提案の結果としてCASの改正を必然的に伴うことを認識して、当委員会に対し、特別会期MEPCにおける審議及び採択のため、CAS改正提案を回章に付すよう要請した。
 
 作業部会は、CASの範囲にdouble-hullタンカーを含めるというさらなるCASの強化について、また、タンカー内でより腐食しやすい、加熱貨物タンクに隣接するバラストタンク等の区画に対するより厳しい検査制度について議論した。作業部会は、この動きが、さらなる徹底的な作業を必然的に伴うことを認識し、また、この方策に関する複雑な問題の進展のため、産業界及び関係主管庁による会合を主催するという英国代表団の申し出を、感謝の意を込めて銘記した。
 
他の事項
 
 作業部会は、当委員会が、事務局長に対し、Expert Groupを再開し、MARPOL附属書Iの改正提案の観点から、Impact Studyを見直しかつ最新化するよう指図するよう要請すべきことを提案した。
 
 作業部会は、IOPP(国際油汚染防止)証書に必然的改正が必要となることを認識したが、今会期においては、時間的余裕がないためこの件の検討が不可能であった。
 
特別会期MEPC
 
 作業部会は、MARPOL附属書Iの改正提案の審議及び採択の観点から、理事会による承認の下に、第23会期総会と同時にMEPCの特別会期を開催すべきことを勧告した。
 
作業部会結果に関するコメント
 
16.26 いくつかの代表団が、作業部会結果についてコメントした。この議論の要約については、以下のとおりである。
 
16.27 日本が、EU提案におけるHGO運搬の禁止提案は実際的にphase-out規定であり、現行MARPOL附属書Iの枠組内の提案の履行による13F及び13G両規則の改正の組み合わせが、最も適切な方法と考えられるということを改めて表明した。予定されている12月の特別会期MEPCにおける審議では、作業部会報告書の付属1に記載の提案が基本文書となるが、日本は、作業部会報告書付属2における日本提案についても、当該特別会期での情報として含まれるべきことを強調した。
 
16.28 イタリア代表団が、欧州連合加盟16ヶ国を代表して、作業部会報告書の付属1については、文書MEPC 49/16/1に記載の提案から発展したものであり、作業部会に参加した代表団の大多数により合意されているものであると述べた。付属1内の本文は、12月の特別会期における2つの未解決問題すなわち、Category 2及びCategory 3タンカーのphase-out並びにsingle-hullタンカーによるHGO運搬についてのさらなる議論への良いたたき台となる。結果として伴う付属3内のCondition Assesment Schemeの改正も、さらなる議論のため特別会期に回すべきである。
 
16.29 関連討論において、重要点は次のとおりであった。
 
.1 複数の業界代表が、高品質海運への業界の責務、また、CASの強化に関して企画されている会合に参加及び寄与するという業界の意欲について再確認した。
 
.2 いくつかの代表団が、国内貿易におけるsingle-hullタンカーによるHGO運搬問題については、正当化される場合には、より厳しい規則適用の緩和を主管庁に容認しているMARPOL附属書IIの第2(7)規則と同様な手段をもって対応できるという見解を表明した。
 
当委員会のとった措置
 
16.30 当委員会は、Category 1タンカーのphase-out計画前倒しのための勧告に同意した。
 
16.31 当委員会は、Category 2及びCaretory 3タンカーのphase-out計画前倒しに関する進捗状況を銘記した。
 
16.33 当委員会は、第90会期理事会における理事会承認(MEPC 49/22/9、第21項)を想起して、12月の第23会期総会の間に特別会期を開催することで合意した(第19.14項参照)。
 
16.34 当委員会は、Condition Assesment Scheme(CAS)については、15歳以上のに適用されるべきという作業部会見解を是認した。
 
16.35 当委員会は、CASへの改正提案(MEPC 49/WP.8の付属3)を承認し、付属19に記載の当該改正を、当該特別会期での採択のためのさらなる審議を意図して、回章に付すことで合意した。
 
16.36 当委員会は、CAS増強提案に関するグループの見解を銘記した。さらに、当委員会は、double-hullタンカーへの適用の可能性又は加熱貨物運搬タンカー要件強化のような将来の課題に応ずるためには集中的作業が必要であることも銘記して、この点で、12月の特別MEPC会合に先立って、産業界及び関係官庁から成る非公式会合を主催するという英国代表団からの申し出を感謝の意を持って銘記した。当該非公式会合に参加希望の関係代表団に対し、英国のfocal point*に連絡するよう要請した。
 
16.37 当委員会は、single-hullタンカーでのHeavy Grades Oil(HGO)運搬に関する規則案の審議の進捗状況を銘記し、国内貿易に従事するタンカー問題について表明された見解を銘記した。
 
16.38 当委員会は、事務局長に対し、第13G規則の改正及び新たな第13H規則が提案されていることに鑑み、Impact Studyについての見直しかつ最新化を委任しているImpact Assecement(影響評価)専門家グループを再開するよう要請することで合意した。
 
16.39 当委員会は、小型タンカーによるHGO国内貿易問題に関するグループへの参加者の内の若干数の見解(MEPC 49/WP.8の第32及び36項)を銘記して、この件については、当委員会にとって後日の段階で決定すべき政策的事項であることで合意した。
 
16.40 当委員会は、MARPOL附属書Iの第13G規則の改正及び新第13H規則の提案(MEPC 49/WP.8の付属1)については、これらの改正提案が作業部会における大多数の意見を代表していることに鑑み、12月のMEPC特別会期でのさらなる議論のための基本文書となるべきことで合意した。当委員会は、事務局に対し、MEPC 50による採択を意図したさらなる審議のため改正提案を加工するよう指示し、加工した文案については付属20に記載されている。加盟諸国及び関係組織は、このMEPC 50への基本文書に関するコメントを提出するよう要請された。
 
16.41 当委員会は、作業部会の見解(MEPC 49/WP.8の第52〜54項)を銘記して、IOPP証書(Form B)への補完については、どのような改正が必要となるかがより容易に明確となる当該改正提案採択の時点で改正すべきことで合意した。
 
16.42 当委員会は、改正提案(MEPC 49/WP.8の付属1)に関するサウジアラビアの立場を銘記した。
 
16.43 日本代表団が、日本及びすべて若しくは若干数の共同支持者が、代替提案(MEPC 49/WP.8の付属2)をMEPC 50提出することになると述べた。
 

* この会合の連絡先: peter.parr@dft.gsi.gov.uk.







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