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 家大工さんでは人間国宝級の人の作った鉋を持っている人も有りますが、船大工さんには少いでしょう。建築物の様にピカピカに仕上げる事が少い?事に依るのではないでしょうか。荒っぽい棚板の鉋がけではこの鉋刃でなければというものの有る事も知りました。4分鉋刃で一般の刃より1.5倍位も長く、切れ良く、節にも強いと・・・。鉋台は相手が硬木が多いからか、案外と減りが早いものです。従って、購入するか、自分で作るか、入れこを嵌めるか、などが有ります。海具用として持っている鉋台は厚さを深くして作ります。尚且つ、下図の様に猟銃の先台の様な凹みや滑り止を入れて掴み易くするのもあります。凹みは手前の親指用はやゝ短く、向う側は4本の指ですからやゝ長めとなります。私の見習工時代の事を少し話しました。鉋は歴史が古いので色々の文献が有る筈です。
 
 
のみ、ダメ切のみ
 一般大工さん用ののみは、その全てを余り見ておりませんので詳しくお話しする資格は有りません。但し、船大工の持つのみで家大工さんと同じものは、1分〜6分位までの叩きのみと、表に有る突きのみ位ではないでしょうか。ダメ切のみと一般の平のみと全く違う所は、ハガネと軟鉄の打ち物ではなく、始めから全体が鋼であり、ウラが無い事です。(一般の平のみは裏側がやゝ凹んでおり之をウラと申してます)更には、非常に頑丈に出来ている事でしょう。1寸2分というのが一番良く用われます。和船の項33には両刃型のダメ切りのみが大工さんの特注で有った事を話しました。ダメ切りのみの発祥の地が当、函館の様です。この小さな町に、当時船大工道具専門の鍛冶屋が4軒も有ったのですからその隆盛が訳ります。
 
 
鍔のみ
 両、片、丸、角は何れも形を表します。両、片は和釘用で、丸、角は洋釘(タック)用のものです。何れも木柄付ですが、無玉敷用は大きなハンマーで打込むので全鋼製でなければ破損するので工場側での購入品でした。細丸鍔は職人の特注品です。
 
 
 両鍔に似て打抜というものが有ります。当地方では木造艀の棚板釘孔を打抜く道具です。前頁の両鍔は、材料の木目方向に無理に材木を圧縮して一様の孔を開けますが、打抜はこの部分の木材を抜いて終う訳です。紙や皮に丸孔をあける孔ポンチの様な役割道具です。私は使った事も有りません。無玉や敷も大きな船釘を用いますが打拔は使いません。之等の鍔のみ類を造る4軒の鍛冶屋のものは4軒ともそれぞれ幾分、形が違います。関西の釘が合うが、地元釘は合わないとか、焼入が硬いとか甘いとか、薄いとか、厚過ぎるとか・・・優秀な職人が認める店は只の1軒丈、他はどうしてもランクが落ちます。ランクの落ちる店の品物は、皆が買わないか・・・と云うとそうでは無く、No.1ランクの品物は高価でNo.2、No.3となればそれなりに安くなります。見習工でも出来るならNo.1ランクの物を使いたい・・・でも¥の点で手が出ないのです。
 
 この鍔のみは見た通りの細造りです。寒く気温の特に低い日は火で暖めて使わないと、時には折れて終う事が有ります。丸鍔のみの5厘とか1分と云うのは、木棯子、鋲、丸釘など、色々の為の孔開け具となります。とても使い勝手の便利な道具であるからです。(職人の手で5厘1分鍔を改造して使う方もあります)
 2分両鍔のみとなれば7寸程の落釘用ですから、小さなハンマーでは椈の敷には刺さりません。いきおい2K以上の玄能を使う事になります。
 樋のみ均しのみ、桧皮のみかえきのみ先のみポンコチのみホーコン起しパテかき出しポンコチ、・・・之等は全てのみうち道具(コーキング)ですが、その昔の呼名と、この表が一致しない所が出て来まして、経験者にお尋ねし、一部を訂正して下記説明します。#6も#9も木船が殆ど無くなりつゝある現在は、一部の地方で使用されている丈となりつゝあります。
#1 樋のみ 和式ののみうち道具の総称である
2 均しのみ 桧皮のみの欄にする(記入間違いの様)
3 檜皮のみ この名称を特定した道具は無い#1を桧皮のみと呼んでも可と思う
4 先のみ 樋のみの内、一番先に使うもので先が薄い(口あけのみ)とも云う。
 口あけ兼先のみで通用すると考える。
5 かえきのみ
和船の昔々からの道具である。鎹のかげとか、上記の道具で届かない所に桧皮をつめる道具。
6 ポンコチのみ 洋型船用であり、全鋼製である。(当地方ではヤットコとも云う)
7 ホーコン起し   〃  〃  〃   〃
8 パテかき出し 手製が多い
9 ポンコチ 洋型船のコーキングマレットで和船はを使う。
 和船ののみうち道具は、本来和船は摺合せが殆んどで新船では前記のダメ廻り以外はのみうちは無いものです。従って、この作業は補修時が殆んどです。但し、ポンコチ、ポンコチのみが有りますから、洋型船も対称としている表です。樋のみ類は左手で握る様にしての作業ですから長さ13〜15糎程のものです。
 







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