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鉞、手斧
 この隻方の道具は、一般家大工用とも、又、小さな造船場で使うものとも異っていたであらうと思われます。無玉、敷が全て椈という特殊性と、之の大量生産?という情況追われた職人の対策が、之を生んで来たのかも知れません。表に有る重量の鉞は、おそらく家大工のものより遥に重いものである筈ですが、更に420刃という様な物を持つ職人も居ります。之丈のウエイトが無ければ、大きな材料は削れないとして・・・。
 
 
 
 鉞の作業はゴルフのウッドとパターの様に大上段に振りかぶる時と手先の細やかな作業まで有り、手斧も同様なのです。何れも大振りの時は、力一ぱいの作業です。家大工さんのそれはパター専用と云えましょう。船大工の手斧は両刃です。(でも裏表は決まっております)が家大工の方は片刃型です。削れる面の形も船大工は凹面となり家大工の方は平面に近いものです。又、重量は全く違ってきます。柄は、作業の姿勢の上からも船大工は長く柄も太目(之は長時間の作業に耐えるためです。)、家大工の方は短く細目です。船大工の手斧作業は一日中連続の事も有り、握った手のひらが、なかなか開かない事もあります。船大工の手斧柄は、自分で山の木を採り作る人も多く、自分の中腰での長さに合せます。船大工でも家大工手斧を持ち作業する人もあります。鉞の柄は、各自、樫材の目の通った予備は必ず用意していたものです。堅い材料削りの作業中、柄が折れる事も時々発生します。柄は、ちょうなぶりと呼んでました。
 
船大工用
 
家大工用







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