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造舟工ニ対スル必要ナル道具名称及び所要数量
  名称 寸法(尺) 記事
1 曲尺(まがりかね) (指金(さしがね)) 1 眞鍮とステンレスあり
2 斜角定規 大、小 2 (手製)
3 墨壺   1 (すみさしを含めて)
4 木製折尺 尺、米、吋、六ツ折 1  
5 鉞(まさかり) 船大工用 360刃〜380刃 1 (追加)
6 手斧(ちょうな) 刃巾3.8寸〜4.0寸 1 (〃〃)
7 がんがり鋸 細 1.0尺 1.3尺 大 1.3尺 1.5尺 2 縦挽鋸
8 ばら目鋸 1.0尺、1.2尺、1.4尺 3 横挽鋸
9 通し鋸 大、中、小 3  
10 両刃鋸 0.8尺、0.9尺、1.0尺 3  
11 さくり鋸 0.7尺 1 0.5尺位も必要
12 引廻し鋸 0.8尺、1.2尺 2  
13 金切鋸   1 市販の弓式のもの
14 平鉋 0.4寸 0.6 1.2 1.4 1.6 1.8 6 一般は0.4〜1.2寸
15 反り鉋 0.8寸 1.0 1.2 3  
16 きわ鉋 1.4寸  左 右 2  
17 目違い鉋 0.4寸 1  
18 底取鉋 0.4寸 0.5 0.6 0.7 0.8 1.0 6 使用頻度少なし
19 脇取鉋 左 右 2  
20 小穴つき鉋 0.3寸 0.4寸 2 同上
21 小鉋 0.8寸 1.0寸 2  
22 外丸鉋 0.6寸 0.8 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.6 8 一般に1.2寸まで
23 外反鉋 0.8寸 1 使用頻度少なし
24 内丸鉋 0.6寸 1.0 1.2 1.4 4  
25 ぎんな面鉋 0.25寸 0.3寸 2 使用度少なし
26 ごまがら面鉋 0.2寸 0.25 0.3 3  〃  〃
27 さわ面鉋 0.6寸 1  
28 ひょうたん面鉋 1.0寸 1 使用度少なし
29 台ならし鉋 1.4寸位 1  
30 のみ 0.1寸〜1.0寸 10 (追加)
31 突のみ 0.2寸 0.4 0.8 1.2 1.4(他に0.8のうすノミ) 5 一般は0.8〜1.4
32 外丸のみ 0.3寸 0.4 0.6 0.8 1.2 5  
33 内丸のみ 0.4寸 0.6 2  
34 ダメ切のみ 0.8寸 1.0 1.2 14 1.8 5 一般は1.4まで
35 両鍔のみ 0.05寸 0.1 0.15 0.2 4  
36 片鍔のみ   〃  〃  〃 4  
37 丸鍔のみ 0.05寸 0.1 0.15 0.25 4  
38 角鍔のみ 0.2寸 0.25寸 0.3寸 3 (追加)
39 樋(トヨ)のみ   1 木柄付
40 ならしのみ   1 〃 〃
41 桧皮のみ 0.05 0.1 0.15寸 3 〃 〃
42 かえきのみ   1 〃 〃
43 先のみ   1 〃 〃
44 ポンコチのみ 0.05 0.1 0.15 0.2 0.3 6  
45 ホーコン起し   1 (追加)
46 パテかき出し   1 (〃〃)手製
47 ポンコチ  大 小 2  
48 頭錐(かしらきり) 0.2寸〜1.2 11  
49 長錐 3分8、4分8 3  
50 つぼ錐 0.5分〜3分(5厘きざみ) 6  
51 三つ目錐 大、中、小 3  
52 先錐 0.5分〜3分 6  
53 四つ目錐   3  
54 玄能 80刃、180刃、200刃、500刃 4  
55 ハンマー 1封度 1/2封度 2  
56 キリンキハンマー  小 1 (追加)
57 目振り槌 ガラス釘用、鋸目振用 2  
58 鋸目立金敷 (あさり振出用) 1  
59 鋸挟み (目立道具) 1 手製(追加)
60 角釘締め 起、胴海用、磯舟用 2  
61 丸釘締め 0.1寸 0.3 0.4 0.5 4  
62 ボールト錐 2〜8分   市販(柄手製)
63 ボールト抜 0.3寸 0.4 0.5 3  
64 木棯子まわし (ドライバー)6 . 12 2  
65 クルック ハンドドリル 1  
66 ばり (釘抜付てこ)亟ばり、割ばり 2  
67 鋲おこし 0.5尺 1 銅鋲用
68 目通し   1 銅板孔あけ
69 コッパー鋏   1 銅板用
70 こわしテコ 1 主として修理用
71 パテこて 1 パテ用(手製)
72 くつ引   2 (手製)
73 自由金 大、小 2 (手製)
74 小刀   1  
75 たがね 平、細 2  
76 スパナー 3/8 2/1 5/8 3 モンキーレンチを持つ人あり
77 寸取棒   1 (手製)
78 砥石 荒、中、合せ、金剛砂 4  
79 金石   1 (金バンとも呼ぶ)
80 穴パス 0.5尺 1  
81 丸パス 0.5尺 1  
82 ブン廻し 0.6尺 1  
83 目立やすり   一式  
84 やっとこ   1  
85 鋲切 銅鋲用 1 (追加)
86 ワッシャ締め 銅ワッシャ用 25φ×120位鋼 1 (追加)
87 コーキンたがね ボールトのキリンキ作業の仕上げ用として 1   平型
88 水糸 ツホ糸又は綿糸 一式 (追加)
89 分銅   1 (追加)
90 水平器   1 (追加)
91 尺杖(シャクヅエ) 5尺 1 (手製)
92 鉋ならし定木 L1.0尺 1.2尺 1 手製(追加)
93 道具袋     (〃〃)
94 浅亟     (〃〃)
95 道具亟     (〃〃)
96 油壺   1  
(注1)記事欄は旧表には無い (注2)手製とは職人が作製するもので市販には無い。
(注3)記事欄の追加としているのは旧表になく脱落と考えられるものと追記した物である。
 
 この様に並んで終いましたが、中には全く使う事なく終る道具もあります。それは、この表が、本来船大工がどの様な大工仕事もやれる様に・・・として記したからです。従って尚且つ必要なもの・・・も挙げれば、ペンチもニッパーも、場合に依り磁石も・・・となりましょう。概して船大工さん(特にこの造船所)の持つ道具は頑固でなければ長続きがしません。材料が堅く、大きく、玄能も従って大きいものを使う事になり、ノミの負担も大きくなります。家大工さんの様な、小さな斧、小さな玄能、柄の細いのみはハネ返ったり、折れたりして終うでしょう。特に鉞、手斧、ダメ切のみ、は独特のものでしょう。
 表の順に従って説明を必要とするものを述べます。
 
墨壺
 直線の線引道具ですが、和形船の項53ページの様に曲線を引いたり、分銅の替りとしたりもします。当時も市販品は多く有りましたが、自分に使い易いもの、木材の余りで出来るもの・・・で殆んどは手製でした。芸術品の様なものから、単に角型のものまで多々、又、大きなものと、小さなものを分ける職人さんも居りました。
 自作し、楢、かば、ケヤキ(欅)、など様々です。墨は墨汁を入れますが冬期は凍りますので塩を入れます。(絹糸は腐るので時々取替える必要が有った)
 (当時在席していた堀江さんという家大工さんの墨壺は鶴亀を配した大型のものであり凄い芸術品のものでした)
 
市販の壺
 
がんがり鋸
 (雁狩?)木目に添って挽く縦挽鋸の事ですが、表に2種が有るのは、前者は厚い材料用で後者は一般工作用です。バンドソーが少ない造船場や、挽落し材を重要視する所では、多く利用された様ですが、能率を主としたこの造船所は、相当に小さなもの迄バンドソーで挽けましたから、大がんがり鋸は、手持ちの大工さんも殆んど使わなかった筈です。一般工作は1尺3寸の細がんがりで充分に間に合います。使用した場所は海具の割、各接手の製作、船梁の嵌込部の工作など。
 
大がんがり鋸
 
細がんがり鋸







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