土海の
ゴロ摺れの効用
たったの之丈の化粧ですから唐草模様など多々画かれる小さな造船所から見ますと全く飾りの無い・・・艀・・・と云われても仕方のない事かも知れません。
その他の取付材料と金物など
三伴船の舳部には倉曲りと云う根曲り材が入ります。(2ヶ所と記憶してますが図面には残っておりません。或いは板肋に替えられたかも知れません)倉曲りは90°以下のものを云い。90°位ものは金曲りと申してました。(90°以上のものゝ呼名は記憶しておりません。)三判起船の敷下面には滑りが付きます。約90×65程の堅材でその昔は白樫か赤樫でしたが、私達の頃はアサダ、アンチヤン(外材?)などでした。
金物 他船や母船などと接触への補強で、使用上、早く磨耗する個所へ鋼製の帯を取付けます。
呼名 場所
1 舳金物 舳の頭部(エボシ部)へ付ける土海、起、三伴の3種あり
2 舳バンド 上記の下方に続けて取付けられ、船底際まで
3 床金物 床と抜棚を水平に結ぶ 土海、起、三伴の3種あり
4 ・金物 床と上棚を垂直に結ぶ 土海、起、三伴の3種あり
5 ・バンド 土海船専用で下部通り前まで
6 曳立バンド 曳立頭部 各船用あり
1. 舵削り 2. 先櫂削り 3. ゴロ削り 4. 歩み板削りなどです。
舵削り
舵は現地に行かない者の考えるより案外と消耗が多いのかもしれません。船の種類は8〜9種でも舵は2〜3種の様でした。之は別表の様に軸径に同寸法のものが有るからで私達見習工は寸法の小さい土海船用を当てがわれ、全体の数は、その年に出来た隻数プラス予備舵の様でした。削るべき材料は次頁の図の様に造船所内の製材所であらかじめ挽いて来たものを型板の寸法に依って削り、仕上げます。材質が楢ですから、中々堅くてキツイ仕事です。私などは4〜5日以上も掛ったと思います。材料は殆んど1材ですが、中には矧ぎを必要とするものも有りました。(舵寸法は添付の各船各部寸法表 参照)
製材所から来る挽かれた原材料
舵の軸径は決められた寸法よりやゝ大きめとするので上図の様に若干ハネ上がりますが、程なく磨耗し定位置となり、やがてはガタガタとなるので帆布を何枚も巻き銅鋲を打って使う様になる由でした。舵束(かじづか)は長さ5尺〜5尺5寸×巾2寸×高2.5寸楢材です。 |
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