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 この様な事が普通の和型漁船と違う所であらう・・・と思います。人に依っては『この造船所の舟は船ぢやなく艀だ』というひとも有ります。
 しなやかで優雅な形の舟から見ますと、そうであったかも知れません。
 今手元の資料『各船各部寸法表』を見ますと、昭和初期の図には有るが、この寸法表には無い・・・という部材が有ります。又、少しあやふやな面も出て来ます。(関係者に聞いても)当時見習工であり土海船と起船を少々より手掛けておりませんので或いは思い違いも有ると思います。
 中央部縦通材は釘止は行わず三の間、腰当の船梁下面から支柱で押え固定し、直接にボルト孔を開け、ボルト締めとします。梁下縦通材は三ノ間船梁下部から腰当船梁を通って戸立てまで通す縦通材で、腰当辺から戸立まで通る弯曲部厚板と共に縦強力補充の材料の様です。この材料は堅材で寸法も大きいので蒸して柔かくしてから取付けます。釘とボルトを使っての固着ですが、船内ではこの部材に限り洋式の角タックを使用しておりました。堅い肋骨に直接打込むには、和釘は少し弱かったのかも知れません。(角タック打込作業には角ツバノミを使ってますが道具の項で説明。)
 ナットボールト は船底材から打込むもの以外は(短いもの)メッキの無い(通称 なま=生と云う)ものです。ボールト類には座金を使用し角座金です。但し内部のナット部は丸座金とします。洋型木船の様に敲釘(クリンチボルト)は用いません。この角座金は、3粍程の厚さですが、杉材である海具部の個所は、ノミで座金を彫込む事なく、きつめのボルトを叩き込む事に依り海具へめり込みます。この際、座金の四つ角をハンマーで狙いを付けて叩き、角をやゝ内曲りとします。
 その上で最終の打込を行い、下図の様に埋め込んだ形とします。
 
 
曳立、・立
 之は楢材とし平均に5寸〜6寸角です。・曳立は盤船梁に連結し、・立はけあげ船梁に連結します。(・立は三伴船のみ)。
 
 ねり場は左舷未端に付きますが、・櫂の環網孔として1寸4分の孔を開けます。(一般の櫂摺は1寸2分の孔)
 
廻渕
 盤船梁の后から、けあげ船梁の前まで取付けられます。防舷材兼網摺れと云えましょう。土海、起船は角を丸面としますが、三伴船は、いわゆる艀の様なものですから角面です。廻渕は蒸し曲げ取付です。直材を舷の反りに添って取付ける訳ですから、堅材(楢)の角材は蒸す必要が有ります。釘孔は前以て開けておき釘頭も彫り、打付け釘頭を締めながら順に船尾方向へ取付けて参ります。廻渕を丸面(大きく)とするのは、この種の船は海から魚の入った網を舷側で揚げるからです。従って三伴船は其の必要は有りません。
 
廻り渕
 
曳立
 
立(三伴船のみ)
 
ねり場(起、土海)







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