政府はモザンビークでの国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を参加させるための具体的検討を始めたという。カンボジアに続く本格的な人的国際貢献として、ぜひとも実現させるべきである。
モザンビークはアフリカ南東部のインド洋に面した国だ。面積は日本の二倍強、人口千五百万、熱帯ないし亜熱帯性の気候という。一九七五年にポルトガルから独立して社会主義政権が発足、反政府ゲリラとの間で十六年に及ぶ内戦が展開され、昨年十月、ようやく停戦にこぎつけた。冷戦終結がその背景にあったのはいうまでもない。
これを受けて国連は昨年暮れ、国連モザンビーク活動(ONUMOZ)を決議した。七千−八千人規模の要員を派遣する計画で、三月中には国連から各国に要請がある見通しだ。
カンボジア暫定統治機構(UNTAC)への自衛隊派遣はPKO協力法によって可能になったが、法案審議の過程でさまざまな制約をつけたため、カンボジア以外への派遣は困難とも見られてきた。しかし、ONUMOZの場合は、停戦合意、紛争当事者の受け入れ同意といった「参加五原則」を満たしており、初歩的PKOともいえる。
ガリ国連事務総長は紛争当事国の同意を得ない平和執行部隊や紛争の未然防止を目的としたPKOの予防展開などを提唱しており、国連による平和維持活動は一段と拡充されていくものとみられる。そうした情勢のなかで、ONUMOZにすら参加できないとなれば、日本のPKOはまやかしであったとも見られかねない。
現状では輸送の問題やPKO協力法で派遣定員を二千人に限定したことがネックとなるおそれも出ているという。PKO協力法の欠陥が改めて浮き彫りにされたわけで、「三年後見直し」の規定にとらわれず、今国会中にも改善に着手すべきであろう。
モザンビークを含め世界中で展開されているPKOは、旧ユーゴ、ソマリアなど十三件に達する。日本はこのうち、カンボジアを除くとアンゴラに少数の選挙監視要員を出しただけだ。
アフリカ訪問中の柿沢外務政務次官は三十一日にソマリア入りし、その後、モザンビークで実情を視察するが、関係当局はあらゆる工夫をこらし、実現に向けて努力してほしい。
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