日本財団 図書館


1997/06/06 毎日新聞朝刊
ガイドライン見直しの中間報告最終案<骨子>
 
 「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)見直しの中間報告書最終案の骨子は以下の通り。
1・新たな指針の目的
 日米各々の役割及び相互の協議・調整の在り方について一般的な大枠ないし方向性を示す▽日米両国の共同作業に対してガイダンスを与える▽中間とりまとめは、見直しに対する理解の促進と国内における議論の基礎を提供すること
2・指針見直しの基本的な前提条件及び考え方
 ▽日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利・義務並びに日米同盟関係の基本的枠組みは変更せず
 ▽日本の行為は、憲法の制約の範囲内で、専守防衛、非核3原則等の基本的方針に従って実施
 ▽日米両国の行為は、国際法の基本原則及び国連憲章等の国際約束に合致
 ▽立法、予算ないし行政上の措置を義務づけないが、両国政府が各々の判断に従い具体的施策に適切に反映させることを期待
3・日米防衛協力小委員会(SDC)における協議の概要
(1)平素から行う協力
 日本=自衛に必要な範囲内での防衛力の保持
 米国=核抑止力の保持▽アジア太平洋地域の前方展開兵力の維持▽来援兵力の保持
 ◆情報交換・政策協議等
 国際情勢について情報及び意見交換の強化▽防衛政策及び軍事態勢についての緊密な協議の継続
 ◆安全保障面の協力
 安全保障対話・防衛交流及び国際的な軍備管理・軍縮の推進▽PKO及び人道的な国際救援活動▽関係政府又は国際機関の要請による緊急援助活動
 ◆共同作業の推進
 日本への武力攻撃及び周辺事態についての共同検討作業の推進▽共同演習・訓練の強化▽日米両国間の調整メカニズムの構築
(2)日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等
 日本は、即応して主体的に行動し、極力早期に侵略を排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する
 ◆共同作戦の構想
 自衛隊及び米軍は適時、適切にそれぞれの防衛力を運用▽自衛隊は日本領域及びその周辺海空域における防勢作戦▽米軍は自衛隊の作戦を支援するとともにその機能を補完
 新たな作戦、装備技術の進展や新たな脅威等の要素を勘案▽各々の統合運用の重要性に留意
(3)周辺事態における協力
 ◆人道的活動
 現地政府の同意と協力を前提、日米各々の判断で人道的援助活動を実施(必要に応じ協力)▽避難民の取り扱いについて協力
 ◆捜索・救難
 日本周辺海域における捜索・救難活動に協力
 ◆国際の平和と安定のための経済制裁活動
 経済制裁の実効性確保のための船舶検査等及びこれに関する情報の交換(各々の能力を勘案、必要に応じ協力)
 ◆非戦闘員退避活動
 日米両国の非戦闘員を安全な地域に迅速に輸送(各々の能力・資源を活用し、適切に協力)
 ◆米軍の活動に対する日本の支援
 (1)施設の利用▽施設・区域の追加提供▽米軍による自衛隊及び民間港湾・空港の一時的使用の確保
 (2)後方地域支援▽日米安保条約の目的達成のため活動する米軍を支援▽主に日本領域、一部は戦闘活動が行われている地域と一線を画した日本周辺の公海とその上空▽政府、地方公共団体、民間の能力を活用して支援
 ◆運用面の日米協力
 自衛隊は国民の生命・財産の保護及び航行の安全確保のため情報収集、監視及び機雷の除去等の活動を実施▽関係機関を含む協力・調整により、自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性を強化
 「周辺事態」における日米協力についての検討項目の例
 ◆人道的活動
 人員、物資の輸送▽活動現場における医療、輸送▽避難民の援助
 ◆捜索・救難
 日本周辺海域における捜索・救難活動
 ◆経済制裁の実効性確保のための活動
 船舶の検査
 ◆非戦闘員を退避させるための活動
 紛争国の後送地点から日本までの非戦闘員の退避のための輸送▽日本における通関、出入国管理、検疫
 ◆施設の使用
 施設・区域の追加提供▽自衛隊・民間の空港及び港湾の運用時間の延長
 ◆後方地域支援
 人員、物資、燃料の提供、国内輸送▽米軍車両・艦船・航空機の修理・整備▽国内における傷病者の治療▽米軍施設・区域、輸送経路の警備▽通信のための周波数、器材の提供▽港湾・空港における物資の陸揚げ・搭載作業▽在日米軍従業員の一時増員
 ◆運用面における日米協力
 警戒監視▽機雷除去▽海域・空域使用の調整
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION