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1996/04/17 毎日新聞朝刊
日米安保共同宣言案の要旨
 
 安保共同宣言案の要旨は次の通り。
 一、クリントン大統領と橋本首相は歴史上最も成功した2国間関係を築いた。我々の同盟関係はこの地域のダイナミックな経済成長を支え続け、将来の安全保障と繁栄がアジア太平洋地域の将来に結び付くという点で合意した。
 同盟関係から生じる平和と繁栄の利益は、両国政府の関与のみでなく、自由と民主主義の負担を分かち合う日米両国民の貢献に負う。両首脳は同盟を維持している人々、米軍を受け入れている日本人社会、そして自国から遠く離れて平和と自由の防衛に献身している米国人に謝意を表する。
 一、両国政府は1年以上も、アジア太平洋地域を巡る政治および安全保障環境と、日米安全保障関係の諸点を集中的に見直してきた。この作業の基盤に立ったうえで、両首脳は自由の維持、民主主義の遂行、人権尊重など、互いの国内政治の規範となる根底での共通の価値の尊重を再確認。パートナーシップは21世紀にも必須(ひっす)のものとなるとの点で合意した。
【地域の概観】
 一、冷戦終了後、地球規模の武力紛争の可能性は後退した。この地域の国々は過去数年間、政治面、安全保障面での対話を重ねてきた。民主的原則の尊重は広がりつつある。繁栄はかつてない広がりを持ちつつあり、我々は今、アジア太平洋コミュニティーの出現を目前にしている。アジア太平洋地域は地球上で最もダイナミックな地域となっていると同時に、不安定と不確定が共存する。核兵器を含む膨大な軍事力の集中が存在している。未解決の国境論争、潜在的な地域紛争、大量破壊兵器とその拡散は不安定を構成している。
【日米同盟と、日米安全保障条約】
 一、両首脳はこの地域での安定促進の重要性と、両国が直面する安全保障問題の重要性を強調した。両首脳は日米両国の同盟関係の重要な価値を繰り返した。両者は、アジア太平洋地域が21世紀に向けて安定し繁栄した環境を維持するために、日米安全保障条約に基づく安全保障関係が共通の安全保障のかなめ石である点を再確認した。
 一、橋本首相は昨年11月採択の新防衛大綱による日本の基本的防衛政策を確認した。同大綱は日本の防衛能力は冷戦後の安全保障環境の中で適当な役割を果たすべきだと強調。両首脳は、日本の防衛の最も効果的な枠組みは両国の緊密な防衛協力にある点で同意した。この協力は、日本の自衛隊の適切な防衛能力と日米安全保障協定の併用に基づいている。
【地域協力】
 一、両首脳は日米両政府が密接かつ個別に平和のためのアジア太平洋地域の環境を保っていくことを合意した。
 一、両首脳は問題を平和的に解決する重要性を強調。とりわけこの地域の安定には中国が肯定的、建設的な役割を果たし、互いに中国に協力することだとした。ロシア改革に対する貢献策は地域的かつグローバルに安定への協力を続けていくことになる。両首脳は、日露関係がアジア太平洋地域の平和と安定に基づいていることを確認した。
 一、朝鮮半島の重要性にも踏み込んだ。米国と日本が互いに、あらゆる努力を続けることを韓国に要望。
 一、両首脳は両国が同地域の諸国に対し、安全保障対話と協力を東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムのように続けていくだろう。そして、その対話は北東アジアが念頭に置かれている。
【地球的協力】
 一、大統領と首相は相互協力と安全保障は日米協調の核とみなす。そして、世界的な問題に協力する基礎が安保条約なのだ。
 一、両首脳が国連と他の国際組織に平和維持活動や人的貢献を通して援助していくことで合意した。
 一、両政府は兵器削減や核実験全面禁止条約(CTBT)を含んだ交渉を進める。両者は国連とアジア太平洋経済協力会議(APEC)の協力で北朝鮮の核問題、中東の和平交渉、旧ユーゴ和平などの支援で合意。
 一、日米安保条約の下での米抑止力は、日本の安全を保障する。
 一、米軍の継続的存在はアジア太平洋地域の平和と安定の維持に不可欠である。
 一、米国の安全保障の義務を果たすには、この地域に約10万人の前方展開兵力が必要であり、この中にはほぼ現在の水準の在日米軍が含まれる。
 一、首相と大統領は、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しを開始することで一致した。
 一、両国政府は、支援戦闘機(F2)の配備など技術分野での協力を強化する。
 一、両国政府は自衛隊と在日米軍の相互機能の重要性を踏まえ、大量破壊兵器の拡散防止に努力し、弾道ミサイル防衛に関する協力を継続する。
 一、首相と大統領は、沖縄基地問題に関する特別行動委員会(SACO)の中間報告を歓迎し、11月をめどにSACOの作業が成果を収めることを約束する。
 まとめ
 一、両首脳は、日米関係の安全保障、政治、経済の3点で合意した。共に強い決意で、21世紀の安全保障協力を未来の世代につなげていくことを決めた。
 
 
 
 
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