表3 ブラウンマスの胃内容物
採集年月日 |
体長(cm) |
体重(g) |
胃内容物の概要 |
1980.3.6 |
29.3 |
455 |
ワカサギ(体長8.5cm)2、(85cm)1、アセルス1、トビケラ1 |
31.4 |
480 |
ワカサギ(7.5cm)3、アセルス1、トビケラ1 |
32.1 |
530 |
ワカサギ(8.5cm)2、(10cm)1、ユスリカ29、トビケラ4 |
31.4 |
537 |
ワカサギ骨のみ(9.5cm)1、ヨシノボリ(2.5cm)1 |
29.0 |
348 |
ワカサギ(9cm)1、トビケラ2 |
26.8 |
249 |
ユスリカ1 |
26.8 |
260 |
ワカサギ(9cm)1、ヨシノボリ(3cm)2 |
27.2 |
204 |
ワカサギ(8cm)1、ヨシノボリ(3cm)1、アセルス4、ユスリカ2、トビケラ1 |
26.5 |
266 |
ワカサギ(9cm)2、(7.5cm)3、ヨシノボリ(30cm)1、アセルス2、トビケラ3 |
40.0 |
726 |
ウグイ(10cm)1 |
34.3 |
536 |
ユスリカ37 |
30.4 |
471 |
ワカサギ(9cm)2、ワカサギ骨のみ(9cm)1 |
1980.4.15 |
35.3 |
617 |
ワカサギ(9cm)1、ワカサギ(8cm)1 |
35.8 |
721 |
ワカサギ(9cm)2 |
31.3 |
486 |
ユスリカ 89 |
28.6 |
344 |
ワカサギ(9cm)2、ワカサギ骨のみ(9cm)1 |
37.7 |
814 |
ワカサギ(9cm)2、ワカサギ骨のみ(9cm)2 |
28.0 |
325 |
ワカサギ(9.5cm)1 |
28.3 |
321 |
ワカサギ(9.5cm)1、ワカサギ骨のみ(9cm)3 |
41.7 |
974 |
ワカサギ(8.5cm)1、ワカサギ骨のみ(8cm)1、ウグイ(15cm)2 |
30.7 |
464 |
ワカサギ(8.5cm)3、ワカサギ骨のみ(8cm)1 |
27.6 |
289 |
ワカサギ(9cm)3 |
30.6 |
424 |
ワカサギ(9cm)3、(8.5cm)2 |
25.8 |
246 |
ワカサギ(7.5cm)3、ユスリカ蛹3 |
1980.5.17 |
35.0 |
750 |
ワカサギ骨のみ(8cm)1 |
35.3 |
715 |
ワカサギ骨のみ(8cm)1、ユスリカ蛹1 |
32.7 |
530 |
ユスリカ蛹49 |
34.0 |
585 |
なし |
30.6 |
450 |
ワカサギ(8cm)2、ヨシノボリ(4cm)2、(2cm)2 |
32.7 |
575 |
ワカサギ(12cm)2、(13cm)3、ヨシノボリ(4.5cm)2 |
27.6 |
335 |
ヨシノボリ(4cm)1 |
29.0 |
320 |
なし |
27.5 |
285 |
ヨシノボリ(4cm)2、ユスリカ25 |
42.8 |
1,370 |
ワカサギ(8cm)2、(8.5cm)1、アオミドロ?4.7g |
34.2 |
775 |
ワカサギ(9.5cm)1、(8.5cm)1、アオミドロ?9.3g |
33.6 |
650 |
ワカサギ骨のみ(8cm)1 |
34.3 |
735 |
ワカサギ(8.5cm)2、ワカサギ骨のみ(8cm)13 |
32.6 |
535 |
ワカサギ(8.5cm)3、(9cm)2、ユスリカ8 |
29.3 |
340 |
ユスリカ13、トビケラ1 |
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II. イワナ
1 イワナの概要
イワナは、本州では河川の最上部に生息するマス類である。イワナは肉食性で河川では、水生昆虫や小魚を好んで食べる。人工湖では、大型のイワナが釣れた話を時々聞くことがあるが、人工湖のイワナは湛水前の河川に生息していたものが、生活圏の拡大により大型化したものと考えられる。今回ここで述べる中禅寺湖産のイワナは、サンプル数が23尾と必ずしも多くはないが、前記ブラウンマスと同様、外部形態の測定を行っているのでここに記す。
2 外部形態について
体長と全長の関係は図7のようになり、その関係は、TL=1.159BL−0.5787で表される。即ち体長30cmのイワナは全長が約34cm、40cmのものは約46cmであることがわかる。ここでは、ブラウンマスと同様に、体長と、全長、尾叉長、標準体長、頭長、顎長、体高、体幅、尾柄高、体重、等についても求めた。
図7 体長と全長の関係
表4 体長と各測定器官との関係
関係 |
関係式 |
R2 |
尾叉長(FL)−体長(BL) |
FL=1.0648 BL+0.3544 |
0.9958 |
標準体長(SL)−体長(BL) |
SL=0.8741 BL+2.5183 |
0.9309 |
頭長(HL)−体長(BL) |
HL=0.2303 BL−0.2556 |
0.8596 |
上顎長(PL)−体長(BL) |
PL=0.1249 BL−0.2403 |
0.6613 |
体高(BH)−体長(BL) |
BH=0.2304 BL−0.5407 |
0.7641 |
体幅(BD)−体長(BL) |
BD=0.146 BL−0.6393 |
0.6917 |
尾柄高(CPD)−体長(BL) |
CPD=0.0984 BL−0.1372 |
0.8549 |
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次に、体長と体重の関係を求めると図8のようになり、その関係は、BW=0.0082.BL3.1732で表される。体長30cmの魚の体重は、400g、体長40cmの魚の体重は985gであることがわかる。
図8 体長と体重の関係
3. 肥満度
各月の肥満度の季節変化を調べると、図9のようになり、5〜6月に高く、9〜10月にやや低下するような変化傾向を示した。
図9 肥満度の季節変化
4 成熟度指数の季節変化
成熟課程に入った雌のG.S.Iは、6月に1.0前後であったものが8月には3.0、10月には10.0前後に増加する変化を示した(図10)。このように雌のG.S.Iは、産卵期の向かって急激に増加し、卵は完熟し産卵される。
雄のG.S.Iは、7月に1.0以下であったものが、10月には、2.0〜4.0に増加した。
図10 成熟度指数の季節変化
あとがき
以上、未完成のままになっていた日光中禅寺湖のブラウンマスとイワナの測定資料を取りまとめた。ブラウンマスの外部形態調査には、測定尾数もかなりあるのでよかったと思うが、肥満度、成熟度指数等の季節変化をみる上では、やや不足の面もある。イワナは、調査尾数が、不足していることはわかっていたが、湖産魚の測定例がないとのことで載せることにした。
最後に、このような発表の機会を与えられた日本水産資源保護協会原武史専務、試験魚の漁獲・測定に協力いただいた、当時の養殖研究所日光支所の島田武技官に謝意を表する。
引用文献
1 長沢和也・鳥沢雅編(1992)北のさかなたち、p.56-57.
2 白石芳一・田中実(1967)中禅寺湖におけるブラウンマスの食性について淡水研報17.287-95.
3 白石芳一・鈴木規夫(1957)三重県馬野川のアマゴに関する水産生物学的研究第1報外部形態学的研究淡水研業績第40号・1-18.
4 田中実(1969)養殖ヒメマスの成熟過程と親魚の大きさについて淡水研報19, 1, 1-7.
5 中禅寺湖漁業協同組合(2002)漁獲量の変遷(ます類以外の魚種)中禅寺湖漁業協同組合内水面漁業調査票
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