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(3)奥日光湖沼群の概要
 奥日光には、標高1,200m〜1,500mに位置する中禅寺湖、湯ノ湖、切込湖、刈込湖、西ノ湖、蓼ノ湖、光徳沼などの湖沼群、湯川、外山沢川、柳沢川などの河川が分布している。また白根山の標高2,175mには五色沼がある。図3-1-7、8には模式的に各湖沼の位置を、表3-1-2に奥日光湖沼群の特徴を示す。
 
図3-1-7 奥日光湖沼群概略図(承認番号 平14総使、第431号)
 
図3-1-8 奥日光湖沼群の標高断面図
 
表3-1-2 奥日光湖沼群の特徴
湖沼群 成因 湖沼型 面積(km2) 最大水深(m) 標高(m) 透明度 (m) 湖岸周長(km) 結氷の有無
中禅寺湖 堰止湖 貧 11.62 163.0 1,269 13.5 22.4 無
湯ノ湖 堰止湖 中 0.32 12.5 1,475 2.1 3.0 有
蓼ノ湖 堰止湖 貧 0.02 2.0 1,530 - - -
西ノ湖 堰止湖 貧 0.17 17.1 1,305 5.3 1.8 有
五色沼 火山湖 貧 0.05 5.2 2,175 4.3 1.0 有
切込湖 堰止湖 貧 0.02 16.0 1,610 4.8 0.5 有
刈込湖 堰止湖 貧 0.06 15.2 1,610 4.5 1.1 有
光徳沼 堰止湖 貧 0.01 0.5 1,475 0.4 0.3 有
(出典:日本の湖沼環境II. 環境庁 自然保護局編)
 
<中禅寺湖>
 奥日光湖沼群の中では最大の湖で、別名を中宮祠湖、幸ノ湖、雪浪湖ともいう。数十万年前に男体山の噴火で流出した溶岩によって、大谷川が堰止められて形成された「堰止湖」とされている。中禅寺湖は標高1,269m、面積11.62km2、東西に長く6.7km、南北は2.7km、周囲22.4kmあり、湖の北岸は概して溶岩もしくは火山岩屑の堆積により成っているが、東南岸は石英班岩と花崗岩よりなり、湖底は浅所では砂礫または細砂が主で、深くなるに従い腐植土となっている。
 流入する河川は、男体山西麓から湧出する地獄川、前白根山に発する外山沢川、錫が岳や大岳に発して、時に西ノ湖の水を合わせる柳沢川である。流出は、華厳滝を含む東岸の大谷川のみである。冬季でも西風が強く、全面結氷することはほとんどない。
 
<湯ノ湖>
 中禅寺湖の上流に位置する周囲約3kmの小湖で、三ッ岳の溶岩によって作られた。標高は1,475m、面積0.32km2、最大水深は12.5mである。湖盆はかなり複雑で、南側に副湖盆がある。流入河川は、蓼ノ湖付近より流入するものと、白根山及び金精山の谷合に発する白根沢の2本である。また、西岸からは多量の湧水がある。
 北岸に古くから知られた湯元温泉があり、近年、金精道路の建設後急激に増加した観光客によって、旅館街も大きくなり排出される温泉排水、生活及びし尿排水が増加し、これが流入したため、湯ノ湖の水質は著しく汚濁が進行した。
 湯ノ湖については、古くから研究が多く、しかもIBP1の研究対象湖沼であったこともあり、今日までに公表された陸水学的並びに陸水生物学的な研究報告が非常に多い。
 
1 IBP:国際生物学事業計画(International Biological Program)
 
<西ノ湖>
 西ノ湖は、小田代原の奥、中禅寺湖の西にあり、標高は1,305m、面積0.17km2である。最大水深は17.1mで、満水時には19.7mと南岸で深く、北岸は浅い砂底が遠く延びている。
 流入河川としては西岸には南沢がある。南岸にはわずかな湧水がある。本湖は柳沢川、外山沢川と共に、昭和元年頃より「東京アングリング・アンド・カントリークラブ2」に貸与されたが、昭和19年に返還されている。一時、同クラブが柳沢川の水を北岸からひき入れ、相当の流量があったが、洪水時には常に破壊され、放置された。昭和20年に国費で柳沢の川道変更を行い、全川を西ノ湖へ導入したが、翌々年の台風で破壊され、河道は再びもとの状態にかえった。流出口は湖の東端にあり、柳沢川と合流して中禅寺湖の西端に注いでいる(日光の植物と動物、奥日光における水産事業、観光協会)。
 
西ノ湖
 
<切込湖と刈込湖>
 三ッ岳の溶岩流による堰止湖である。両湖は狭い水路でつながり、ひょうたん型の湖となっている。切込湖は面積0.02km2、最深部16.0m、刈込湖は面積0.06km2、最深部は15.2mで、標高1,610mの高所にある。
 刈込湖の北岸金田峠側より常時流入する沢があり、台風時には西方ドビン沢からも流入するが、地上流出はなく地下浸透するものと思われる。従って、台風などに見舞われると1ヶ月位は濁ったままである。また、日照時間が短い湖水で、両湖とも春から秋にかけて湖底の泥は真土3で還元性が強い(田中:日光の水産事業)。
 
切込湖
 
刈込湖
 
2 1924年にイギリス人貿易商と日本人を両親に持つハンス・ハンターが中心となり、千手ヶ浜一帯の広大なエリアを借り受け、マス釣りやゴルフを目的としたクラブのこと。
3 耕作に適した良質の土。
 
<蓼ノ湖>
 溶岩流による堰止湖とされている。標高は1,530m、面積0.02km2、深さ約2mである。北側はヤチボウズ4が密生する湿地で、細い流れではあるが、かなりの水量を持つ流入水があり、かつ湧水も存在するといわれるが、流出口はなく切込湖、刈込湖同様に地下に浸透するものと思われる。地元の人の話によると、この水は地下を通って、山をひとつ越えた光徳沼に湧き出ているのだといわれている。
 水は透明で湖底を覗きみることができる。
 
蓼ノ湖
 
<光徳沼>
 逆川の水源となっている湧泉池である。標高は1,475m、面積0.01km2、深さ約0.5mで、流速が大きく水は停滞しない。
 
<五色沼>
 白根山腹の標高2,175mに位置する周囲約1kmの火山湖である。湖面の面積は0.05km2、最大水深5.2mである。
 
(4)利根川流域界における奥日光湖沼群の位置付け
 栃木県の水系は、利根川水系、那珂川水系、久慈川水系の3つに大別され、関東平野を下り、太平洋に注いでいる。利根川水系の主河川は鬼怒川、渡良瀬川、思川の3河川があり、鬼怒川の源流は群馬県境の鬼怒湖に源を発している。
 奥日光湖沼群の水は、湯川、外山沢川、柳沢川などを伝って中禅寺湖に集まり、華厳の滝を通って大谷川となり、日光市街を下って鬼怒川へ注いでいる
 
4 漢字で谷地坊主と書き、谷地(湿地帯)にある坊主頭のように丸くでっぱった所。湿原植物のスゲ類の古株。







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