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第3分科会 共同作業所・施設
偏見・差別のない地域に!
阿蘇きぼうの家指導員(熊本県) 湯浅聡子
 
1. 「阿蘇きぼうの家」開所までの道のり
 
昭和61年
 
阿蘇地域精神障害者家族会発足
平成10年
9月
作業所設立準備委員会発足
平成11年
10月
第2回作業所設立準備委員会
 
10月
精神保健福祉に関する課長会議
 
11月
共同作業所設立に伴う町村長へ説明会
平成12年
1月
蘇陽町への作業所の説明
 
1月
第3回作業所設立準備委員会
3月
共同作業所「阿蘇きぼうの家」開所
 
2. 「阿蘇きぼうの家」の概要
 
設置主体
:社団法人熊本県精神障害者福祉会連合会
運営主体
:阿蘇地域精神障害者家族会
対象者
:在宅の精神障害者
事業費
:国・県・阿蘇郡11町村の補助金
 
3. 活動内容
 
日課:
月曜〜金曜 週5日間 午前10時〜午後4時
活動内容:
内職作業(フルーツキャップ・黒川温泉セット・ゴマスティック)・ビーズ製品・ハムの販売
作業所行事:
花見・新・忘年会・七夕・クリスマス会・お誕生会・毎月ゴミ拾い
その他:
共同作業所文化交流会・熊本県家族大会・共同作業所スポーツ交流会
作業所新聞発行・阿蘇郡福祉祭り参加・保健所主催スポーツ大会参加
研修会・ふれあいピック・阿蘇町主催パソコン教室
 
4. 指導員として心がけていること
 
5. 地域での社会資源(共同作業所阿蘇ぎぼうの家)の果たす役割
 
第3分科会 共同作業所・施設
地域での社会資源の果たす役割
通所授産施設やまなみ施設長(大分県) 川口芳之
 
はじめに
 
 大分県は6ブロックの地域に分けられており、私共が属する豊肥地区は12市町村で人口約8万人余りです。その中でさらに三重地区と竹田地区の2つに分かれ、竹田地区は4つの市町村で成り立つ人口3万人弱の準農山村地域です。
 その中に、精神科病院(1)、精神科クリニック(1)、通所授産施設(1)、グループ・ホーム(1)があります。しかし、地域福祉を担うには支援センターも必要と考えています。
 
施設の概要
 
(1)運営方針等
 
施設名 精神障害者通所授産施設 やまなみ 事業開始年月日 平成14年4月1日
施設種類 第二種 通所授産施設 設置主体 社会福祉法人やまなみ福祉会
施設所在地 大分県竹田市大字飛田川2683 経営主体 同上
施設長氏名 川口芳之 定款登載年月日 平成13年7月
施設認可年月日 平成13年7月28日 認可定員 20人
(運営方針等について)

(1)当該年度の運営方針の基本
地域の障害をもつ人、家族が一人でも参画できるような場づくりを心がける。
地域生活者としての力量をつける(交流、学習、生産)。

(2)入所者処遇・プライバシーの配慮
一人一人の過去の病歴、家族状況、現実の課題などを丁寧に配慮し、専門分野の指導を受けつつ、自尊心を回復するよう考慮、策定中である。

(3)職員処遇の充実・士気高揚策・職員研修
個人の特色が充分生かされるよう、施設のピジョン設計に常にアイデアを提示させる。
そのために他分野の見学、施設間交流を通じて自己研修をする。

(4)地域開放・貢献等
農振地域で30名近いメンバーが地域行事に参加(草刈り、水路清掃、祭、運動会)。
ボランティア、NPO法人(学童保育、宅老所)、学校(高校、小中学校の職員)との交流を計画中でまわり全体が元気が出る職場づくりを目指している。

(5)施設の特徴・セールスポイント
景観がすばらしい(山々と田園風景)、地域の生産活動の姿が見えること、地域全体が保健休養の場になるように、地域の方々の指導を受けながらがんばりたい。
 
(2)施設を地域に開放・貢献等(偏見是正)
・一人でも多くの人に知って頂く為に30名近いメンバーが地域行事に積極的参加
 地区の草刈り、水路清掃、運動会、祭り
・学校教育との交わり
県教育事務所を通じて
小学校教頭先生の社会体験研修(2ヵ月)
中学生の体験学習の受入交流
・社会福祉協議会を通じて
 地区社協、福祉委員、民生委員、行政担当課、県権利擁護事業、精神保健ボランティア、市会議員(社会文教委員会)との交流実施
・それぞれの地区よりボランティアが多く参加
 
各グループ
寄付金
 
レクリエーション協力
 
弁当差し入れ
 
大会等行事への参加
 
料理指導交流
 
茶道指導交流
 
学習会を共に
コンサートに協力
 
 社会復帰を進めるために、いろいろな人達との交流を深める中で、施設を利用する人達は様々な体験をしながら自信をつけている。しかし、在宅支援長期入院患者とその家族が希望を持つためには、さらなる拠点の充実が望まれる。
 今年度中に施設の隣接地に交流館(10坪)を建設する計画であります。利用については地域障害者及びその家族が自由に利用できる施設にする予定です。
 
第3分科会 共同作業所・施設
地域での社会資源と病院
吉田病院 診療部長(熊本県) 村上良慈
 
I. 精神科医療・保健・福祉の変化
 
医療中心から福祉が担う方向へ
病院・施設から地域へ
国・県から市町村へ
大規模な施設ではなく小さな単位で(普通の場所で普通に暮らす)
 
II. 家族・当事者のあり方の変化
 
 病院にお任せから家族・当事者も治療者の一員へ。(心理教育。生活技能訓練。服薬教室)患者という立場からユーザー(利用者)、コンシューマー(消費者)へ。
 医療・保健・福祉は当事者が病体験を自己コントロールするための支援、障害による生活のしづらさに対して支援をする。自立支援の方向で。(自助グループ。ピアカウンセリング。自己決定。)
 
III. 地域で当たり前の人として当たり前の生活を当たり前に行うための支援
 
・失敗を前提とした支援
 失敗しないよう過度な管理・過干渉に走る傾向への自戒の意味。病棟での「患者管理」の延長とならないこと。地域では自己責任が前提。
・ニーズに基づいた支援
 利用者を主体としたサービス
 アリナミン訪問、ドリフターズ訪問から御用聞き訪問へ(仙台市生活支援センターほっとすぺーす石黒亨PSWの造語)
・安心の場や拠点づくり、仲間づくり、仲間の支えあい、支え手の重要性など踏まえて必要な資源や方策
 地域生活支援センター(ケアマネージメント)・ホームヘルプサービス・ショートステイ・グループホーム・生活訓練施設(援護寮)・福祉ホーム・小規模作業所・授産施設・その他
 
lV. 病院の役割
 
・病状の安定化:初発時、再発時の治療。急性期には入院治療。外来通院。精神科リハビリテーションを行う上で必要条件になる服薬の指導。短期休息入院(ショートステイ的な入院)の利用。訪問看護など。
・家族に対する援助、指導。院内や外来の家族会、家族教室。
・精神科での治療や社会資源の利用についての相談場所。
・保健、福祉、職業、教育、社会復帰施設、その他の関連施設との連携作り。
・管理的・過干渉・完璧主義になりがちというジレンマ
 パターナリズムをひきずっている部分がある。(結果、自立心をそぐ、責任を医療スタッフにあずける)
 医療事故防止は必要であるが、徹底するとスタッフ・患者とも息のつまる緊張状態にさらされるというマイナスの部分も残念ながら存在する。(患者を信用できないスタッフ・管理にいらだつ患者)
・地域社会資源と病院は補完関係
 お互い足りない部分を補いあう関係。どっちか片方ではうまく行かないケースは多い。
 ケース紹介 成功例・失敗例







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